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OpenVMS マニュアル |
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HP OpenVMS
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目次 | 索引 |
付録 I
Integrity サーバ向けの HP OpenVMS Integrity シリアル・マルチプレクサ (MUX) のサポート
RS232 シリアル回線とマルチプレクサは,従来の端末接続から,低速のシステム間通信,さらには遠隔機器との通信まで,さまざまな作業で使用されます。 OpenVMS では,従来からシリアル回線の追加と,オプション・カードのマルチプレクサをサポートしてきました。このソリューションでは,専用の入出力スロットが必要で,使用できるオプション・カードの選択肢が限られています。
ユニバーサル・シリアル・バス (USB) が業界標準のプラットフォームで広く採用されるに従い,さまざまな USB ベースのシリアル回線のドングルやマルチプレクサが利用可能になりました。 (ドングルとは,1 つのコネクタを持つ単機能のデバイスです。) OpenVMS では,HP Integrity サーバにシリアル回線を追加するにあたり,オプション・カードのシリアル・マルチプレクサから USB へ実現方法を移行しました。
USB ベースのシリアル・デバイスにはさまざまな構成があります。 1 回線のドングルから,ラック・マウントの 16 回線 (またはそれ以上) のマルチプレクサまであります。すべての構成に対して 8 回線または 16 回線が収容できるオプション・カードを 1 枚または 2 枚使用して対処する方法とは違い,要件に最も適合するように USB を構成できるようになりました。
テストの結果,USB ベースのシリアル・マルチプレクサは,オプション・カードと同等 (またはそれ以上) の性能を発揮し,システムのオーバヘッドも少ないことが分かりました。実際に,オプション・カードのマルチプレクサよりもオーバヘッドが小さいという結果が出ています。
OpenVMS では,市場で最も普及している,以下の 3 つの RS232 チップセット用の USB インタフェース・ドライバが開発されています。
これらのチップを採用しているベンダや供給元は多数あります。 OpenVMS では,一般の市場で代表的な製品をいくつか購入し,その動作を検証しました。 OpenVMS でテスト済みのデバイスの一覧と,その機能および制限事項の概要については,「テスト済みのデバイス」の項を参照してください。 (将来,この一覧は定期的に更新され,Web サイトに掲載される予定です。)
民生品は寿命が短いことが多いため,弊社では定期的に市場から製品を選んでテストする予定です。特定の製品の検証を希望する場合は,次の Web サイトから弊社に直接ご連絡ください。
I.1 準拠しているデバイス
http://h20219.www2.hp.com/services/cache/77481-0-0-225-121.html |
「テスト済みのデバイス」に記載されているデバイスに対しては,弊社はユーザからのバグ・レポートを受け付けており,必要に応じてドライバの ECO の修正を作成しています。これらのデバイスに対するドライバのサポートは,基本オペレーティング・システムに含まれており,個別のレイヤード・プロダクト・キットやライセンスは必要ありません。
OpenVMS でテスト済みのデバイスは以下のとおりです。
これらのデバイスはラック・マウントが可能です。どちらのデバイスも,固有のシリアル番号が設定され,どの USB ポートに接続しても常に同じ名前が割り当てられます。これらのデバイスのテストでは,ソフトウェアによるフロー制御モードと raw バイナリ (フロー制御なし) モードのどちらでも,最大 115,200 ボーでの信頼性の高い動作が可能でした。
システム・パラメータ TTY_SILOTIME は,遅延を制御します。スループットとシステムのオーバヘッドは,遅延とのトレード・オフとなります。 TTY_SILOTIME のデフォルト値は 8 です。この値を 100 倍した値が,文字の送受信を実行した後でデバイスに他のデータがないかクエリーを送信する回数として使用されます。
クエリーに対して 800 回の応答を受信した後でも入力 (または以降の出力) がないと,ドライバはデバイスにクエリーを送るのをやめ,入力割り込みを待ちます。 TTY_SILOTIME の値を小さくすれば,デバイスはより多くのデータをバッファリングすることができますが,遅延が少し長くなります。
TTY_SILOTIME の値を大きくすると,デバイスが遅延に敏感になりますが,バッファリングの量が減少し全体のスループットが低下します。また,システムと USB のオーバヘッドが増えます。 TTY_SILOTIME にゼロを設定すると,ドライバは入力クエリーを連続的にデバイスに送信します。この設定では遅延が最も小さくなりますが,システムのオーバヘッドが最大となり,スループットが最も小さくなります。
注意 システム・パラメータ TTY_SILOTIME は, Prolific デバイスや FTDI デバイスでは効果がありません。 EDGEPORT コントローラの設計は,デバイスにデータが入力されバッファがタイムアウトになるまで要求に応答しないデバイスとは違います。これは,可能な限り常に入力データがバッファリングされることを意味します。 これに対し EDGEPORT は,入力可能なデータ量にかかわらず,入力要求に対してすぐに応答し,新しいデータの有無に関する非同期レポートを送信します。これにより,バッファを多用した実装と,ポーリングと同等の実装のどちらも可能になります。 |
このデバイスは,回線が 1 つしか必要なく,パラレル・ポート, PS2 キーボードまたはマウスの接続,追加の USB ポートが必要な場合に便利です。
このデバイスにはシリアル番号がありません。同じ名前になるのは,同じ場所 (パス・トポロジ) にデバイスを差し込んだ場合だけです。そのため,デバイスを別の場所に差し込むと,別のデバイス・インスタンスのように見えます。
このデバイスのテストでは,ソフトウェアによるフロー制御モードと raw バイナリ (フロー制御なし) モードのどちらでも,最大 115,200 ボーでの信頼性の高い動作が可能でした。
ローレンジとミッドレンジの Integrity サーバでは,組み込みの USB コントローラと少なくとも 2 つのポートがシステムに搭載されています。ハイエンドのセル・ベース・システムでは, USB コントローラが組み込まれていないことが多いため,オプションのカード (HP の部品番号は A6869A) で USB ポートを追加する必要があります。
システムでキーボードとマウスを使用しない場合は, USB シリアル・デバイスを直接システムの USB ポートのいずれかに接続することができます。 USB の設計では,階層的にハブを接続して利用可能なポートを拡張することができます。通常ハブは,1 個の USB ポートを 4 個の USB ポートに拡張するため,追加のハブ・デバイスを使用することで,ほとんどのシステムに搭載されている 2 個のポートは,最大 128 個に拡張することができます。デフォルトでは,OpenVMS は USB デバイスを認識し,ユーザの介入なしに自動的にデバイスを設定します。
UCM は,検出された USB デバイスに対してデバイス名を割り当てます。同じデバイスを複数使用した場合は,検出の順番によって名前が決まります。システムがブートしてデバイスが見つかるたびに,パーマネント (永続的な名前)・データベースから,同じ OpenVMS デバイス名が取得されます。
固有のシリアル番号を持つデバイスは,いったんパーマネント・データベースに登録されると,常に同じ名前が割り当てられます。シリアル番号を持たないデバイスは,USB バスの階層構造中で,名前が永続的になったときと同じ場所に差し込まれた場合にだけ同じ名前が割り当てられます。デバイスを別の USB ポートに移動すると, UCM はそれを新しいデバイスとして認識し,別の固有の名前を割り当てます。
USB デバイスの構成を制御する方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
シリアル・マルチプレクサを設定するために必要な作業は以下のとおりです。
回線が使用可能な状態になり, OpenVMS のブート時またはデバイスの接続時に同じ名前が割り当てられます。 (ただし,シリアル番号を持たないデバイスでは,異なるポートに接続すると別のデバイスと見なされます。)
I.2 デバイスの取り付け
$ SHOW DEVICE TX
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