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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第1章:ACL エディタ
第2章:会計情報ユーティリティ
第3章:ディスク構造分析ユーティリティ
第4章:監査分析ユーティリティ
第5章:登録ユーティリティ
第6章:AUTOGENコマンド・プロシージャ
第7章:バックアップ・ユーティリティ
第8章:CDDVDユーティリティ
第9章:EFIユーティリティ
第10章:Error Log Viewer
第11章:InfoServer
第12章:インストール・ユーティリティ
第13章:LAN制御プログラム・ユーティリティ
第14章:LAT制御プログラム・ユーティリティ
第15章:ログ・マネージャ制御プログラム・ユーティリティ
第16章:Monitor
第17章:MSAユーティリティ
第18章:Point-to-Point
第19章:PCSI
第20章:SASコントローラ
第21章:SCA Control Programユーティリティ
第22章:Show Clusterユーティリティ
第23章:System Generationユーティリティ
第24章:System Managementユーティリティ
第25章:USB構成ユーティリティ
第26章:XA Gateway Control Programユーティリティ
付録A:ACLエディタのキーパッド編集コマンド
付録B:ACL エディタのカスタマイズ
付録C:プログラマのための会計情報
付録D:ANALYZE
/DISK_STRUCTURE
- 段階チェック
付録E:ANALYZE
/DISK_STRUCTURE
- 使用量ファイル
付録F:セキュリティ監査メッセージの形式
付録G:BACKUP 修飾子の組み合わせ方
付録H:MONITOR におけるレコード形式
付録I:HP OpenVMS I64 シリアル・マルチプレクサのサポート
付録J:SHOW CLUSTER キーパッド・コマンド
付録K:システム・パラメータ
索引
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HP OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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第 25 章
UCM (USB Configuration Manager)



UCM (USB (Universal Serial Bus) Configuration Manager) ユーティリティを使用すると,1 本の 4 芯ケーブルを使用して,コンピュータをさまざまなデバイスに接続できます。 UCM (USB Configuration Manager) は,以下の機能を備えた OpenVMS のユーティリティです。

  • デバイスの接続や切断などのイベントや,USB バスで発生したエラーを記録します。これは UCM の USB イベント・ログ機能です。

  • シリアル番号またはバスの位置をもとに,物理デバイスを永続的なデバイス名に変換します。

  • 既知のデバイス・タイプに対して, OpenVMS デバイス・ドライバを自動的に構成してロードします。

  • システムで構成されているデバイスの追加,削除,変更を管理します。

UCM 構成の種類

OpenVMS Version 8.3 から,UCM は新しい (永続的でない) デバイスを自動的に構成し,適切な OpenVMS デバイス・ドライバをロードし,デバイスを永続化するようになりました。そのため,デバイスを差し込むだけで,新しいデバイスがシステムに追加されます。これを自動構成と呼びます。

しかし,新しいデバイスの自動的な認識と構成を無効にしたり,特定のデバイスだけを自動的に認識するようにしたい場合があります。そのためには,まず UCM SET AUTO コマンドを使用します。次に,手動構成のために必要ないくつかの手順を実行します。

この章の構成

USB と UCM の概念の説明に続いて,UCM を使用してデバイスを自動および手動で構成する方法を説明します。さらに,デバイスの構成に関係するイベントの表示方法を説明します。最後に,UCM コマンドについて詳しく説明し,コマンドの例を示します。

25.2 USB と UCM の概念

OpenVMS は, HP Integrity サーバ上で HP が提供する特定の USB デバイスをサポートします。

一部の他社製デバイスについても OpenVMS でテストされサポートされています。これらのデバイスに関しては,報告される問題に対処し,ドライバを修正します。サポートする USB デバイスの一覧は『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の付録を参照してください。

USB の性質上,さまざまな種類のデバイスが 1 つの汎用ドライバでサポートされます。 OpenVMS は,そのような未知の他社製デバイスの構成および使用を制限することはしません。しかし,そのようなテストされていないデバイスの動作を保証するものではありません。このようなデバイスで問題が発生した場合,お客様のサポート窓口を通して報告できますが,問題の修正や ECO パッチキットの提供を約束するものではありません。

ここでは,USB と UCM の概念について説明します。

25.2.1 USB の概要

USB (Universal Serial Bus) は,1 本の 4 芯ケーブルを使用して,コンピュータをさまざまなデバイスに接続できるようにする通信アーキテクチャです。USB は,ユーザにとって使いやすい方法で,低速および中速のデバイスをホスト・コンピュータに接続できるようにすることを目的にしています。

USB は USB デバイスを USB ホストに接続し, USB ホストはホスト・コンピュータ・システムに接続されます。各 USB にはホストが 1 つだけあります。 図 25-1 で「USB ホスト」と示されているのがホストです (ただし, 1 つのホストに複数の USB コントローラが搭載されている場合があります)。

図 25-1 USB 構成


USB ホストはルート・ハブと一体化されています。ルート・ハブにはデバイス用に 1 つ以上の接続ポイントがあります。各ハブからの USB 物理接続は "スター形" であり,各スターの中心にハブがあります。

ポイント・ツー・ポイント接続は,USB ホストをハブまたはファンクションにリンクするか,またはハブを別のハブまたはファンクションにリンクします。ハブとファンクションは,以下の動作を実行する USB デバイスです。

  • ハブは,追加接続ポイントを USB に提供します。

  • ファンクションは,マウスやキーボードなどの機能をシステムに提供します。

図 25-2 では,最大 6 つのハブをチェーン接続して階層構造を構成できることを示しています (ここで示すデバイスは,例示のためのものです。実際にサポートされる USB デバイスについては,ハードウェアの QuickSpecs を参照してください)。デバイスのパスは,構造内での位置によって決定されます。たとえば, 図 25-2 でプリンタ LPA0 へのパスは 1.1.2.3.1.4 です (ただし,物理ハブに印刷されている番号は,UCM で表示される番号と一致しませんので注意してください)。

図 25-2 ハブの階層構成


UCM はハブ・ドライバと連携して, USB でサポートされるデバイスを構成します。ハブ・ドライバはデバイスを検出し,UCM サーバに要求を送信します。 UCM サーバでは,実行すべき処理が決定されます。デフォルトでは, UCM はデバイス用の OpenVMS デバイス・ドライバを構成してロードし,活動をログに記録します。 UCM では,デバイス・ドライバのロードを禁止または制限したり,デバイス・ドライバのロードとデバイスの命名規則を手動で調整し変更することができます。

25.2.2 UCM の概念

UCM はクライアント・レイヤとサーバ・レイヤで構成されています。ユーザはクライアント・レイヤと対話し,クライアント・レイヤはサーバ・レイヤとやり取りします。 USB とやり取りするのはサーバ・レイヤです。 図 25-3 はこれらのレイヤの相互関係を示しています。

図 25-3 UCM アーキテクチャ


この図に示すように,UCM サーバはイベント・ログ・ファイル,ジェネリック・リスト・ファイル,パーマネント・リスト・ファイルを管理します。これらのファイルは UCM サーバに渡され,サーバによってリスト・ファイルが表示されます (UCM サーバが使用するリストの種類については, UCMリスト を参照してください)。UCM サーバは,アーキテクチャの他のレイヤとの接続を管理する UCM ドライバ SYS$HUBDRIVER とやり取りします。

25.2.3 デバイスの検出

USB デバイスの OpenVMS デバイス名は次のとおりです。

デバイス名 説明
AGA n 1 ジョイスティック
DNA n 1 ディスクまたはその他のマス・ストレージ・デバイス (ペン・デバイスなど)
KBD n 1 キーボード
MOU n 1 マウス
TXA n 1 モデム
TXB n 1 Prolific ドライバ
TXC n 1 シリアル・ポート (FTDI)
TXD n 1 シリアル・ポート (Edgeport/DIGI)
LPA n 1 プリンタ・ドライバ
HID0 ユーザがアクセスできない特別なドライバ
UCE0 Edgeport/DIGI で動作する特別なドライバ
UCM0 ハブ・ドライバ (システムあたり 1 つ)
UGA n 1 USB 汎用ドライバ。カスタム・デバイスのサポートで使用

1n の値は 0 〜 9999 です。

ほとんどのバックプレーン・バスと異なり, USB バスでのデバイスの検出は非同期処理であるため,完了までに要する時間は決まっていません。デバイスを検出するためには, SYSMAN において OpenVMS の自動構成で提供されるレイヤ以外の,追加の検出レイヤが必要です。 UCM は,デバイスを検出してデバイス・ドライバをロードするための,この第 2 のレイヤを提供します。そのため,システムに接続されている USB デバイスはブート時に検出されますが,実際の検出タイミングは,デバイスの数や構成,タイミングに影響を与えるその他のシステム・イベントに依存します。

USB デバイスを検出したり,USB デバイスを使用するコードや DCL プロシージャを作成する場合は,デバイスが検出されていなかったり構成されていない状況に対処し,デバイスが外された (オフラインになる) 場合にも対処する必要があります。そのため,コードや DCL プロシージャは,デバイスが見つかるまでリトライしたり待つ必要があります。また,デバイスが接続されている (オンラインである) ことを確認する必要もあります。

また,ハブ・ドライバは,ブート後の実行時にシステムに挿入されたデバイスを検出し,UCM がこれらのデバイスを構成します。構成後に外されたデバイスはオフラインになり,デバイスをシステムに再度接続するまでは使用できなくなります。

UCM クライアントは,UCM サーバと会話し,デバイスや発生している USB イベントについての情報を表示するためのコマンド行インタフェースを提供します。

UCMリスト

UCM サーバは, USB デバイスを構成するために使用するいくつかのリストをメモリ上で管理しています。

  • ジェネリック・リスト - UCM が知っているデバイス・タイプが格納されています。システム構成データベースから構築されます。

  • テンタティブ・リスト - HUB ドライバによって検出され, UCM によってまだ構成されておらず,永続化されていないデバイスが格納されます。通常このリストは空です。

  • パーマネント・リスト - UCM によって永続化されたデバイスが格納されています。このデバイスが見つかると,同じ OpenVMS デバイス名が付与されます。

次の表で,UCM リストについて詳しく説明します。

リスト 説明
ジェネリック・リスト このリストには,UCM がサポートするデバイスの説明が登録されています。ジェネリック・リストは,システムで管理されているファイル・ベースのデバイス構成情報の一部です ( 『OpenVMS システム管理者マニュアル』の第 8 章を参照)。

インストールの段階でこのリストが作成されます。ジェネリック・リスト内に対応するエントリのないデバイスは不明デバイス・タイプであり,構成することができません。

テンタティブ・リスト これは,UCM がまだ構成していないデバイスのリストです。 UCM はデバイスを自動的に構成して永続化するため,通常このリストは空です。ただし,自動的なロードや自動的な永続化が無効になっている場合や, SET AUTO コマンドでデバイスがロードから除外されている場合は,デバイスはこのリストに登録されます。システム管理者はデバイスに関する情報を表示し,パーマネント・デバイスとして手動で追加することができます。テンタティブ・リストはメモリ上のリストであり,サーバの再起動時 (RELOAD コマンドの実行時) やシステムのリブート時に消去されます。
パーマネント・リスト このリストには,デバイスがバスに接続されたときに UCM が常に構成するデバイスが登録されています。パーマネント・リストには,USB デバイスの永続的な名前,つまり,リブートやサーバの再起動でも維持される名前が登録されています。

永続的な名前は,シリアル番号のあるデバイスとシリアル番号のないデバイスでは,少し異なる動作をします。

  • シリアル番号のあるデバイスでは,永続的な名前が常に機能します。

  • シリアル番号のないデバイスでは,デバイスをハブの同じ場所に接続した場合だけ,名前は維持されます。

動作しているシステムには,パーマネント・リストは 1 つしかなく,UCM はこのリストを SYS$SYSTEM:USB$UCM_DEVICES.DAT から読み込みます。ほとんどのお客様の場合,このファイルは,OpenVMS が SYS$COMMON:[SYSEXE] に提供する小さなファイルです。

  注意
USB$UCM_DEVICES.DAT は決して削除しないでください。このファイルを削除すると, USB で接続されるデバイスを使用できなくなる可能性があります。



UCM による構成には自動と手動があります。ここでは,デバイスを自動的に構成する方法について説明します。デバイスを手動で構成する方法については, 第 25.4 節 を参照してください。

デバイスを自動的に構成するのは簡単です。デバイスを挿入するだけでデバイスが構成されます。 UCM は,ジェネリック・リストに登録されている新しい (永続化されていない) デバイスを自動的に構成し,そのデバイス用の OpenVMS デバイス・ドライバをロードし,デバイスを永続化します。

次のリストでは,システムの起動時から始まり自動的に実行される実際の手順を説明します。

  1. OpenVMS は UCM サーバを起動します。 UCM サーバは次の操作を実行します。

    1. 自動ロードと永続化の設定内容,除外リストと対象リストを読み込みます。

    2. サポートされているデバイスが登録されているジェネリック・リストを読み込みます。

    3. パーマネント・リストからすでに構成済みのデバイスの記述を読み込みます。

  2. UCM は空白のテンタティブ・リストを初期化します。

  3. UCM は USB バスを起動し,バス上のデバイスは自己の存在を示します。

  4. UCM はパーマネント・リストでデバイス・データを確認します。デバイス・データがパーマネント・リストに登録されている場合は,そのデータをロードし,使用できるようにします。
    デバイス・データがリストにない場合は,UCM は次のステップを実行します。

  5. UCM はジェネリック・リストでデータを確認します。デバイス・データがこのリストに登録されている場合は,そのデータを使用して,テンタティブ・リストにエントリを作成します。

  6. 自動的なロードが有効になっている場合 (デフォルト), UCM はそのデバイス用の OpenVMS デバイス・ドライバをロードして接続し, OpenVMS デバイス・インスタンスを作成しようとします。

  7. 自動的な永続化が有効になっている場合 (デフォルト), UCM はデバイスをテンタティブ・リストからパーマネント・リストに移動し,ディスク上の構成済みデバイスのデータベースを更新します。

  8. SET AUTO コマンドで自動的なロードが無効になっている場合は,ユーザがデバイスをパーマネント・リストに追加するか,またはこのリストからデバイスを削除するまで,データはテンタティブ・リストに残されます。

      注意

    • デバイスを切断しても,テンタティブ・リストのエントリは削除されません。

    • 自動的なロードと永続化が無効になっているときには, UCM の起動後,パーマネント・リストに追加されたデバイスは,その後,デバイスが切断されて再接続されるまで構成されません (つまり,使用可能な状態になりません)。

    • パーマネント・リストを変更すると,ファイルの新バージョンが作成されます。

  9. すべてのバスのすべてのデバイスが処理されるまで,ステップ 3〜8 を繰り返します。

  10. 次に UCM は,ユーザから要求があるか,またはデバイスが接続されるか切断されるまで待機します。

ログ・ファイル

UCM は以下のファイルを使用して,切断,接続,エラーを記録します。

SYS$MANAGER:USB$UCM_EVENTS.LOG 

イベント・ログにアクセスするために,特殊なアクセス権は必要ありません。しかし,UCM コマンド SET LOG/NEW を使用して新しいログ・ファイルを作成するには,OPER 特権が必要です (UCM コマンドの一覧,および各コマンドを実行するのに必要な特権を記載した表が 第 25.7 節 に示されていますので参照してください)。

25.4 手動でのデバイスの構成

新しいデバイスの自動的な認識と構成を無効にしたい場合や,特定のデバイスだけを自動的に構成したい場合があります。

25.4.1 自動的な構成を無効にする

自動的な構成をすべて無効にする場合は, UCM SET AUTO/DISABLE コマンドを使用します。

    UCM> SET AUTO/DISABLE=(LOAD) 

このコマンドを実行すると,パーマネント・データベースに登録されていない すべてのデバイスの自動的なロードが すべて無効になります。

つまり,いったんデバイスが構成されパーマネント・データベースに追加されると,システムにデバイスを接続するたびに, UCM はそのデバイス用のドライバをロードし,デバイスを作成します。パーマネント・データベースに登録されていないデバイスは,通常は自動的にロードされ,デバイスが作成されて,パーマネント・データベースに登録されます。

SET AUTO/DISABLE=LOAD コマンドで自動的なロードを無効にすると,デバイス・ドライバはロードされず,デバイスが作成されず,パーマネント・データベースに登録されません。代わりに,ユーザが手動で操作できるように,テンタティブ・リストに登録されます。

あるタイプのデバイスをロードから除外する

デバイスをロードから除外する 1 つの方法は, SET AUTO コマンドで /EXCLUDE スイッチを使用することです。これにより,特定のデバイスがロードされなくなります。

特定のタイプのデバイスのロードを無効にするには,たとえば次のコマンドを実行します。

   UCM> SET AUTO/DISABLE=DNA 

このコマンドを実行すると,DNA ディスクが自動的にロードされなくなります。

SET AUTO コマンドの修飾子についての詳細は,このコマンドの説明を参照してください。


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