この付録では OpenVMS Alpha システムだけを対象に,オペレーティング・システムを停止,ブート,およびシャットダウンする方法を説明します。 また関連情報として,システムを自動ブートさせるための設定方法や Writeboot ユーティリティの使用方法なども説明します。さらに,トラブルシューティングの手順についても,簡単に説明します。
この節では,OpenVMS Alpha システムのさまざまなブート方法について説明します。
A.1.1 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD のブート |
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インストールやアップグレードを実行するために OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をブートする必要がある場合や,システム・ディスクのマウントやバックアップといった関連作業を行うために OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をブートする必要がある場合は,ローカルにブートするか InfoServer からブートするかに合わせて,以下の手順を実行します。
ローカル・ドライブからブートする場合は,次の手順を実行します。
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オペレーティング・システム CD をローカル CD ドライブに挿入します。
-
コンソール・プロンプト (>>>) に対して SHOW DEVICE コマンドを入力し,CD ドライブの名前を確認します (例: DKA400:)。
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ブート・コマンドを次の形式で実行します。
BOOT -FLAGS 0,0 source-drive
source-drive には,SHOW DEVICE コマンドの出力で確認した CD ドライブのデバイス名を指定します。
たとえば,SHOW DEVICE で出力された CD ドライブのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,0 DKA400
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ブートした後にシステムから表示されるメニュー・オプションを選択することで,次のような作業を実行できます。
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PCSI ユーティリティを使用して行うオペレーティング・システムのインストールまたはアップグレード
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DCL 環境への切り替え (DCL 環境では,デバイスのマウントや表示,システム・ディスクにあるファイルのバックアップやリストアといった,インストール前の作業や保守作業を実行できます)
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A.1.1.2 InfoServer からのブート
オペレーティング・システム CD を InfoServer ハードウェアまたは InfoServer ユーティリティからブートする場合は,次の手順を実行します。 InfoServer ユーティリティを使用する場合は,付録 C 「ネットワーク・ブートの準備と実行」 に説明してある設定を事前に行っておく必要があります (1 回だけで十分です)。 また,オペレーティング・システム CD は,システム全体にわたってマウントしておく必要があります。
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コンソール・プロンプト (>>>) に対して SHOW DEVICE コマンドを実行し,その出力リストから CD ドライブのデバイス名を調べます。 その際,次の例にある最後の行のように,ハードウェア・アドレスの付いたデバイスを探します。 見つかった情報を,手順 2 の表に示されている情報と比較します。
>>>SHOW DEVICE
dva0.0.0.1000.0 DVA0 RX23
dka200.2.0.5.0 DKA200 RZ28M 1004
dka300.3.0.5.0 DKA300 RZ29B 0016
dka400.4.0.5.0 DKA400 RZ26L 442E
ewa0.0.0.3.0 EWA0 00-00-F8-1F-70-3D
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詳細は,『HP OpenVMS Version 8.3 for Alpha and Integrity Servers Software Product Description』(SPD 82.35.xx) と,Alpha コンピュータに付属しているハードウェア・マニュアルを参照してください。
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コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。 lan-device-name には,使用しているコンピュータで調べた LAN デバイス (例: EWA0) を指定します。
>>> B -FLAGS 0,0 -FILE APB_083 lan-device-name
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システムで使用できる LAN デバイスについては,表 A-1 「サポートされている LAN デバイス」 を参照してください。 Ethernet デバイス EWA0 は 1 番目の EW デバイスを表しており,2 番目のデバイス名は EWB0,3 番目は EWC0 というように表わされていきます。 ほとんどのシステムでは,SHOW CONFIGURATION コンソール・コマンドを実行することで,ブートに使用できる LAN デバイスのリストを表示できます。 その他の情報については,Alpha コンピュータに付属しているハードウェア・マニュアルと,OpenVMS のソフトウェア製品説明 (SPD) を参照してください。 上記のコマンドで先頭が APB になっているファイル名は,APB.EXE ファイルがオペレーティング・システム CD から InfoServer
へコピーされたときに割り当てられたユニークなファイル名です。 このファイル名が,初期システム・ロード (ISL) ブートストラップ・プログラムに使用される APB プログラムの名前になります。
表 A-1 サポートされている LAN デバイス
Alpha コンピュータのモデル | Ethernet デバイス | FDDI デバイス |
---|
ALPHAbook 1 | EOA0 | ― |
AlphaServer 400 シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaServer 1000 シリーズ | ERA0,EWA0 | FRA0 |
AlphaServer 1000A シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaServer 1200 シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaServer 2000 シリーズ | ERA0,EWA0 | FRA0 |
AlphaServer 2100/2100A シリーズ | ERA0,EWA0 | FRA0 |
AlphaServer 4100 シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaServer 8200 シリーズ | EXA0,EWA0 | FXA0 |
AlphaServer 8400 シリーズ | EXA0,EWA0 | FXA0 |
AlphaStation 200 シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaStation 400 シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaStation 500 シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaStation 600 シリーズ | ERA0,EWA0 | FWA0 |
DEC 2000 シリーズ | ERA0 | ― |
DEC 3000 シリーズ | ESA0 | "n/ESA0" |
DEC 4000 シリーズ | EZA0 | ― |
DEC 7000 シリーズ | EXA0 | FXA0 |
DEC 10000 シリーズ | EXA0 | FXA0 |
DIGITAL Personal Workstation (DPWS) シリーズ | EWA0 | FWA0 |
AlphaServer DS15 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer DS20 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer DS20e | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer DS25 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer ES40 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer ES45 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer ES47 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer ES80 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer GS60 | EWA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer GS80 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer GS140 | EWA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer GS160 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer GS320 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
AlphaServer GS1280 | EWA0,EIA0,EGA0 | FWA0 |
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InfoServer ISL プログラムから,次のメニューが表示されます。
Network Initial System Load Function
Version 1.2
FUNCTION FUNCTION
ID
1 - Display Menu
2 - Help
3 - Choose Service
4 - Select Options
5 - Stop
Enter a function ID value:
|
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表示される各プロンプトに対して,次のように回答して,Enter を押します。
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機能 ID として 3 を入力します。
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オプション ID として 2 を入力します。
-
サービス名を入力します。 InfoServer ハードウェアの場合,デフォルトのサービス名は ALPHA083 です。 InfoServer ユーティリティのサービス名については,システム管理者またはネットワーク管理者に問い合わせてください。
次に,その出力例を示します。
Enter a function ID value: 3
OPTION OPTION
ID
1 - Find Services
2 - Enter known Service Name
Enter an Option ID value: 2
Enter a Known Service Name: ALPHA083
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ブートした後にシステムから表示されるメニュー・オプションを選択することで,次のような作業を実行できます。
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PCSI ユーティリティを使用して行うオペレーティング・システムのインストールまたはアップグレード
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DCL 環境への切り替え (DCL 環境では,デバイスのマウントや表示,システム・ディスクにあるファイルのバックアップやリストアといった,インストール前の作業や保守作業を実行できます)
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| 注意: InfoServer から OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をブートしてインストール手順やアップグレード手順を実行しているときに接続が切れた場合 (システムが応答しなくなって,Ctrl/Y を押してもメニューに戻らない場合) は,次のように対処してください。 条件 | 対処方法 |
---|
INITIALIZE オプションを選択して手順を進めていた場合 | -
OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をリブートする。 -
メニューからインストール/アップグレード・オプション (1) を選択して,インストールまたはアップグレードを再実行する。
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PRESERVE オプションを選択して手順を進めていた場合 | -
OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をリブートする。 -
メニューからオプション 8 を選択して,DCL 環境に入る。 -
ターゲット・ディスクのバックアップ・コピーが入っているデバイスと,ターゲット・ディスクを入れるデバイスをマウントする。 -
BACKUP コマンドを実行して,バックアップ・コピーからターゲット・ディスクをリストアする (MOUNT コマンドと BACKUP コマンドを使用してシステム・ディスクをリストアする詳細な方法については,付録 F 「システム・ディスクのバックアップとリストア」 を参照のこと)。 -
DCL 環境からログアウトする。 -
メニューからインストール/アップグレード・オプション (1) を選択し,インストールまたはアップグレードを再実行する。
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A.1.2 PMAZB TURBOchannel アダプタまたは PMAZC TURBOchannel アダプタによるブート |
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PMAZB TURBOchannel アダプタと PMAZC TURBOchannel アダプタは,DEC 3000 Alpha シリーズ・システムに装備されている統合 SCSI ポートとソフトウェア・レベルで互換性のある TURBOchannel アダプタです。 使用しているシステムが DEC 3000 Alpha シリーズ以外の場合は,次の項に進んでください。
DEC 3000 Alpha シリーズ・システムのコンソールには SHOW CONFIGURATION コンソール・コマンドが実装されているので,このコマンドを使用して TURBOchannel オプションとシステムに内蔵されているアダプタの情報を表示することができます。 PMAZB または PMAZC を TURBOchannel に実装すると,SHOW CONFIGURATION を実行したときに「PMAZB-AA」または「PMAZC-AA」という文字列,TURBOchannel のスロット番号,およびデバイス・ステータスが表示されます。
また,DEC 3000 Alpha シリーズのコンソールには SHOW DEVICE コマンドも実装されているので,このコマンドを使用してシステム内の組み込みデバイス情報を表示することができます。 DEC 3000 Alpha シリーズのモデルにはすべて,統合 SCSI アダプタが組み込まれているため,SHOW DEVICE コマンドを使用すれば,統合 SCSI ポートに接続されている SCSI デバイスも表示できます。 ただし,SHOW DEVICE コマンドでは,PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタの SCSI ポートに接続されている SCSI デバイスは表示できません。
PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタの SCSI ポートに接続されているデバイスをコンソールへ表示するには,コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを実行します (x には,PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタが実装されている TURBOchannel のスロット番号を指定します)。
このコマンドを実行すると,PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタの各 SCSI ポートに接続されているデバイスが表示されます。 これらのデバイスが PMAZB ポートまたは PMAZC ポートのどちらに接続されているかは,デバイスを表す文字に A (PMAZB ポートに接続) が使用されているか B (PMAZC ポートに接続) が使用されているかで区別できます (これらの文字をデバイス識別文字と呼びます)。 このデバイスと,SHOW DEVICE コマンドで表示される DKAxxx デバイスや DKBxxx デバイスを混同しないように注意してください。 SHOW DEVICE コマンドで表示されるのは,統合 SCSI ポートに接続されている SCSI デバイスだけです。
PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタに接続されているデバイスからブートする場合は,ブート・コマンドを次の形式で実行します。
コマンド行は次の仕様に従って入力します。
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x: PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタが実装されている TURBOchannel のスロット番号
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y: ブート・デバイスが接続されている PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタの SCSI ポートに対応した文字 (A または B)
-
zzz: ブート・デバイスの SCSI ユニット番号
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムでは,PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタと統合 SCSI アダプタを区別しないで,どちらも同じアダプタとして扱います。 オペレーティング・システムでは,バックプレーンのスロット番号順に I/O アダプタを探します。 そのため,デバイス識別文字は,バックプレーンにおける TURBOchannel の順で PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタに割り当てられた後,統合アダプタに割り当てられます。 この名前の付け方は,コンソール SCSI デバイスの場合とは異なっています。 コンソール SCSI デバイスでは,統合 SCSI ポートに接続されている SCSI デバイスを,常に A ポート・デバイスまたは B ポート・デバイスとして指定します。
DEC 3000 シリーズ・モデル 500 Alpha システムの TURBOchannel に PMAZB アダプタも PMAZC アダプタもインストールされていないと,OpenVMS Alpha オペレーティング・システムでは統合 SCSI ポートに PKA0,PKB0 という名前を付けます。 これらのポートに接続されているデバイスの識別文字には,対応するポートの識別文字 (A,B) がそのまま使用されます。 一方,TURBOchannel に PMAZB アダプタまたは PMAZC アダプタが実装されている場合は,PMAZB アダプタと PMAZC アダプタの SCSI ポートにそれぞれ PKA0,PKB0 という名前が付けられ,統合 SCSI ポートには PKC0,PKD0 という名前が付けられます。 これらのポートに接続されている各デバイスの識別文字には,対応するポートの識別文字
(A,B,C,D) がそのまま使用されます。
A.1.3 システム・ディスクからの手動ブート |
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システム・ディスクから手動でブートする場合は,次の表に示されている手順から操作を実行します。
-
SYSTEM アカウントでログインします。
-
次のコマンドを入力して Enter を押します。
-
表示されるプロンプトに順次応答していきます。 自動リブートを実行してもよいかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら,Enter を押します (デフォルトの NO を選択したことになります)。 プロシージャの処理が完了すると,次のメッセージが表示されます。
-
Ctrl/P (または Halt ボタン) を押してシステムを停止します (Alpha コンピュータの停止方法についての詳細は,A.3.1 項 「システムの停止方法」を参照してください)。
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BOOT コマンドを次の形式で実行します。
BOOT device-name
device-name には,システム・ディスクのデバイス名を指定します。 たとえば,ドライブ名が DKA400 のドライブからブートする場合は,次のコマンドを入力して Enter を押します。
ネットワーク経由でブートする場合は,次のコマンドを入力して Enter を押します。
A.1.4 会話型ブート |
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研究開発 (R&D) の環境でソフトウェアをアップグレードする場合は,会話型のブートが最もよく使用されます。 会話型ブートを使用する理由は,ブート・プロセスが終了する前にその処理を一時的に停止させるためです。 ブート・プロセスは,SYS$SYSTEM:SYSBOOT.EXE をロードした後停止して,SYSBOOT> プロンプトを表示してきます。 この SYSBOOT> プロンプトに対して,OpenVMS System Generation ユーティリティ (SYSGEN) のコマンドを実行することで,次の作業を実行できます。
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別のシステム・スタートアップ・コマンド・プロシージャを指定する
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デフォルトのシステム・パラメータ・ファイル (ALPHAVMSSYS.PAR) を選択する (システム・パラメータの値を変更した結果,システムがブートできなくなった場合)
-
会話型ブートは,いくつかの方法で実行できます。 その中で最も直接的な手順を次に示します。
条件 | 開始手順 |
---|
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムが動作している場合 | 手順 1 |
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムが動作していない場合 | 手順 4 |
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SYSTEM アカウントでログインします。
-
次のコマンドを入力して Enter を押します。
-
表示されるプロンプトに順次応答していきます。 自動リブートを実行してもよいかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら,Enter を押します (デフォルトの NO を選択したことになります)。 プロシージャの処理が完了すると,次のメッセージが表示されます。
-
Ctrl/P (または Halt ボタン) を押してシステムを停止します (Alpha コンピュータの停止方法についての詳細は,A.3.1 項 「システムの停止方法」を参照してください)。
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BOOT コマンドを次の形式で実行して,会話型ブートを開始します。
BOOT -FLAGS 0,1 [device-name]
device-name には,ブートに使用するドライブのデバイス名を指定します。 たとえば,システム・ディスクのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,1 DKA400
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デバイス名を省略すると,システムは SET BOOTDEF_DEV コマンドで割り当てられたブート・デバイスからブートします。
-
SYSBOOT> プロンプトに対して,表 A-2 「SYSBOOT プロシージャで使用する SYSGEN コマンド」 に示されている SYSGEN コマンドの中から必要なものを選んで実行します。 これら SYSGEN コマンドについての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻)』を参照してください。
-
SYSGEN コマンドを使用して作業を終えたら,CONTINUE コマンドを実行して,ブート・プロセスを終了させます。
表 A-2 SYSBOOT プロシージャで使用する SYSGEN コマンド
コマンド | 説明 |
---|
CONTINUE | ブート・プロシージャを再開する。 |
DISABLE CHECKS | SET コマンドで指定したパラメータの値を,チェックしないようにする。 |
ENABLE CHECKS | SET コマンドで指定したパラメータの値を,チェックするようにする。 |
HELP | SYSBOOT コマンドの概要をターミナルの画面に表示する。 |
SET parameter-name | システム・パラメータの値を確定する。 |
SET/STARTUP | システム・スタートアップ・コマンド・プロシージャの名前を設定する。 |
SHOW [parameter] | 特定のパラメータについて,アクティブな値,最新の値,デフォルトの値,最大の値,および最小の値を表示する。 修飾子を使用することで,同じカテゴリに属するパラメータの特性を表示できる。 |
USE [file-spec] | 値のソースとして使用するパラメータ・ファイルを指定する。パラメータ ファイルの場所はデバイスとディレクトリを完全な形で指定する。 論理名は使用できない。 |
会話型ブートの使用例については,A.1.5 項 「最小スタートアップでのブート」と A.1.9 項 「緊急時のブート」を参照してください。
A.1.5 最小スタートアップでのブート |
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システムのブートでは,実行される一連のスタートアップ・イベントを部分的に省略した方がよい場合もあります。 たとえば,あるスタートアップ・イベントが原因でログインできない場合は,そのイベントを省略してシステムをブートします。そうすれば,ログインが可能になって問題を解決できます。 会話型ブートを使用すれば,システムが最小限のスタートアップ・イベントでブートするように指定できます。
最小スタートアップでブートする手順は次のとおりです。
-
BOOT コマンドを次の形式で実行し,会話型ブートを開始します。
BOOT -FLAGS 0,1 [device-name]
device-name には,ブートに使用するドライブのデバイス名を指定します。 たとえば,システム・ディスクのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,1 DKA400
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次のコマンドを入力して Enter を押します。
SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
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次のコマンドを実行して,パラメータの値が記録されないようにします。 その結果,手順 2 で行った STARTUP_P1 パラメータの変更が次回以降に行うシステムのリブートへ反映されないようになります。
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
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-
次のコマンドを実行してブートを再開します。
A.1.6 XDelta ユーティリティ (XDELTA) を有効にした状態でのブート |
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XDelta ユーティリティ (XDELTA) は,システム・プログラマ向けのデバッグ・ツールです。 どの Alpha コンピュータでも,XDELTA を有効にしてブートする手順は同じです。
XDELTA を有効にした状態でブートする場合は,ブート・コマンドで次の表に示す値を指定できます。
値 | システムで行われる処理 |
---|
0 | 途中で停止することなく,通常どおりにブートする (デフォルト) |
1 | 会話型ブートを開始して,SYSBOOT プロンプトを表示する |
2 | XDELTA をインクルード,つまり有効にするが,最初のブレークポイントは無視する |
3 | SYSBOOT プロンプトを表示するとともに XDELTA を有効にするが,最初のブレークポイントは無視する |
6 | XDELTA を有効にするとともに,最初のブレークポイントでデバッグ・モードに入る |
7 | XDELTA を有効にするとともに SYSBOOT プロンプトを表示して,システムを初期化する時の最初のブレークポイントでデバッグ・モードに入る |
次に示すコマンド入力の例では,コンソール・プロンプトから XDELTA を有効にしてブートしています。
XDELTA の使用方法についての詳細は,『HP OpenVMS Delta/XDelta Debugger Manual』を参照してください。
A.1.7 別のルート・ディレクトリからのブート |
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特に指定しない限り,OpenVMS Alpha オペレーティング・システムはシステム・ルート・ディレクトリ [SYS0] にインストールされます。 ただし,クラスタ・システム・ディスクを作成してある場合は,SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャを使用することで,オペレーティング・システムのコピーを別のルート・ディレクトリに追加することができます (SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャについての詳細は,『HP OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください)。
別のディレクトリ (例: [SYS3]) からブートする場合は,次の形式で BOOT コマンドを実行します。
>>> BOOT -FLAGS 3,0 DKA200
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A.1.8 その他の TURBOchannel アダプタによるネットワーク経由のブート |
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InfoServer または OpenVMS Cluster 環境にある DEC 3000 シリーズの Alpha コンピュータ (TURBOchannel オプション付き) は,別の TURBOchannel アダプタを使用して,ネットワーク経由でブートできます。 そのような TURBOchannel アダプタとしては,PMAD (Ethernet アダプタ) や DEFTA (FDDI アダプタ) などが使用できます。
これらの別アダプタに接続されているデバイスからブートする場合は,次の形式でブート・コマンドを実行します。
n は,そのデバイスが接続されている TURBOchannel のスロット番号です。 この値は,コンソール・プロンプト (>>>) に対して SHOW CONFIGURATION コマンドを実行することで,調べることができます。 次の出力例の場合,TURBOchannel のスロット番号は 0 です (TCINFO の列に表示されています)。
>>> SHOW CONFIG
DEC 3000 - M300
Digital Equipment Corporation
VPP PAL X5.56-80800101/OSF PAL X1.34-80800201 - Built on 18-DEC-1996 11:376
TCINFO DEVNAM DEVSTAT
------ -------- --------
CPU OK KN16-AA -V3.2-S6CD-I151-sV2.0-DECchip 21064 P3.0-150
ASIC OK
MEM OK
MEM OK
6
CXT OK
5
NVR OK
SCC OK
NI OK
ISDN OK
4
SCSI OK
0-PMAD-AA TC0
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A.1.9 緊急時のブート |
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システムに問題が発生してブートできなくなった場合は,緊急ブートが必要になることがあります。 表 A-3 「緊急ブートの種類」 に,これら緊急ブートの操作とその要約を示します。 この表に続いて,それぞれの緊急ブートを,より詳しく説明します。
表 A-3 緊急ブートの種類
操作 | 実行する状況 |
---|
デフォルトのシステム・パラメータを使用したブート | パラメータ・ファイルに定義されているパラメータの値を変更した結果,システムがブートできなくなった場合 |
スタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャを省略したブート | スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャのエラーが原因でログインできない場合 |
ユーザ登録ファイルを使用しないブート | パスワードを忘れたために,必要な特権を持つアカウントでログインできなくなった場合 |
A.1.9.1 デフォルトのシステム・パラメータを使用したブート
パラメータ・ファイルに格納されている現在の設定値を不適切な値へ変更すると,システムがブートしなくなることがあります。 そのような場合は,会話型ブートを使用することで,システム・パラメータに設定されている現在の値をすべてデフォルト値にリセットすることができます (システム・パラメータは AUTOGEN
で調整することをお勧めしますが,状況によっては,会話型ブートを使用して一時的にパラメータの値を変更することもできます。 パラメータ値を永久的に変更する場合は,MODPARAMS.DAT を編集して AUTOGEN を実行する必要があります。 その方法については,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。 システム・パラメータをリセットしてデフォルト値に戻せば,システムがブートできるようになって,問題を解決できます。
緊急ブートの手順
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BOOT コマンドを次の形式で実行し,会話型ブートを開始します。
BOOT -FLAGS 0,1 [device-name]
device-name には,ブートに使用するドライブのデバイス名を指定します。 たとえば,システム・ディスクのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,1 DKA400
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-
SYSBOOT> プロンプトに対して,次のコマンドを実行します。
USE DEFAULT コマンドを実行すると,すべてのパラメータでデフォルト値が使用されるようになります。
-
STARTUP_P1 システム・パラメータを次のように設定して,どのレイヤード・プロダクトも起動しないようにします。 調整されていないシステムでレイヤード・プロダクトが起動されると,それが原因でシステムがハングすることがあります。
SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
|
-
次のコマンドを実行して,パラメータの値が記録されないようにします。 その結果,手順 3 で行った STARTUP_P1 パラメータの変更が次回以降に行うシステムのリブートへ反映されないようになります。
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
|
-
次のコマンドを実行してブートを再開します。
-
システムがブートしたら,問題の原因になっているパラメータを特定して,そのパラメータの値をリセットします。 そのパラメータの値が AUTOGEN のパラメータ・ファイル (MODPARAMS.DAT) に定義されている場合は,その値を修正して,AUTOGEN を実行します。 詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
-
システムをシャットダウンしてリブートします。
例
SYSBOOT> USE DEFAULT
SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
Username: SYSTEM
Password:
$ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
.
.
.
[Insert line(s) to reset parameter value(s)]
.
.
.
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS REBOOT
|
A.1.9.2 スタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャを省略したブート
システムのスタートアップ・プロシージャが途中で止まってしまう場合や,システムにログインできない場合は,スタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャを省略してシステムをブートすることができます。 弊社から提供されているスタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャは,問題なく動作するはずです。 しかし,これらのプロシージャを変更してエラーが混入すると,システムにログインできなくなる可能性があります。
緊急ブートの手順
-
BOOT コマンドを次の形式で実行し,会話型ブートを開始します。
BOOT -FLAGS 0,1 [device-name]
device-name には,ブートに使用するドライブのデバイス名を指定します。 たとえば,システム・ディスクのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,1 DKA400
|
-
SYSBOOT> プロンプトに対して,次のコマンドを実行します。
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
|
-
次のコマンドを実行して,パラメータの値が記録されないようにします。 その結果,手順 2 で行った STARTUP_P1 パラメータの変更が次回以降に行うシステムのリブートへ反映されないようになります。
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
|
-
次のコマンドを実行してブートを再開します。
-
システムがブートすると,オペレータ・コンソールに DCL のコマンド・プロンプト ($) が表示され,ログインできる状態になります。
-
次の DCL コマンドを実行します。
このコマンドを実行すると,オペレーティング・システムでは,発生の可能性があるエラーをすべて無視するようになります。 このコマンドを実行しておかないと,エラーが発生したときにシステムからログアウトされてしまいます。
-
ログインが失敗する元となったエラー状態を修正します (スタートアップ・プロシージャ,ログイン・プロシージャ,または SYSUAF.DAT ファイルに,必要な修正を加えます)。
スタートアップ・ファイルやログイン・ファイルの修正には,テキスト・エディタを使用します。 使用するシステム・コンソールによっては,スクリーンモード・エディタが利用できない場合もあります。 RENAME コマンドと DELETE コマンドを使用することで,ファイルをコピーして修正した後,修正前のバージョンを削除することもできます。
-
次のコマンドを実行し,通常の方法で起動します。
例
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
$ SET NOON
$ SET DEFAULT SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP
|
A.1.9.3 ユーザ登録ファイルを使用しないブート
弊社から提供されているスタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャは,常に問題なく動作するはずですが,状況によっては正しく実行されないこともあります。 よくある例は,ログイン・アカウントに設定したパスワードを忘れて,ログインできなくなってしまうケースです。 また,コア・システムの PAK (Product Authorization Key) ソフトウェア・ライセンスに利用できないものがあるか,有効期限の切れたものがあるためにログインできなくなることもあります。 そのような緊急事態が発生したときは,以下に示す手順に従って,会話型の緊急ブートを実行してください。
緊急ブートの手順
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Ctrl/P を押してシステムを停止します。 使用しているコンピュータによっては,他の方法でもシステムを停止できます。 Alpha コンピュータ・システムの停止方法についての詳細は,A.3 項 「停止操作とシャットダウン操作」を参照してください。
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BOOT コマンドを次の形式で実行し,会話型ブートを開始します。
BOOT -FLAGS 0,1 [device-name]
device-name には,ブートに使用するドライブのデバイス名を指定します。 たとえば,システム・ディスクのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,1 DKA400
|
システムに固定パスワードが設定されている場合は,正しいパスワードを入力しないと,コンソールにログインできません (コンソールに対する不正なアクセスを防止するパスワードは,さまざまなシステムでサポートされています)。 パスワードが分からない場合は,弊社の顧客サポートへ連絡して,固定のコンソール・パスワードをリセットするように依頼してください。
-
SYSBOOT> プロンプトに対して,以下のコマンドを実行します。
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
|
1~3 番目のコマンドは,それぞれ次のように要求しています。
-
OpenVMS に,システム・コンソールからシステム・スタートアップ・コマンドを直接読み取らせる
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OpenVMS にパラメータ値の変更を記録させないようにして,次回以降に行われるシステムのリブートへ反映されないようにする
最後のコマンドを実行すると,ブート・プロセスが再開されます。
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コンソールから起動コマンドを直接システムへ渡せる状態になると,DCL のプロンプトが表示されます。 DCL のプロンプトが表示されたら,次の 2 つのコマンドをそのとおりに入力します。 これらのコマンドを使用することで,コンソールにログインしたままで,通常どおりシステムを起動できます。 SPAWN コマンドを実行しないと,起動が完了した時にログアウトされてしまいます。
$ SPAWN
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP
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ログイン・セッションからログアウトします。 システムの起動が完了して,通常どおり使用できるようになります。 システムは,この時点でリブートしてもかまいません。
例
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
$ SPAWN
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP
$
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この節では,自動ブートのセットアップ方法,デフォルト・ブート・デバイスの設定方法と表示方法,ブート・パラメータの変更方法,および Writeboot ユーティリティによるブート可能な OpenVMS Alpha システム・ディスクの作成方法について説明します。
A.2.1 システムの自動ブート設定 |
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Alpha コンピュータは,ブート・デバイスを指定して自動的にブートさせることができます。 OpenVMS Alpha オペレーティング・システムをインストールした時にシステム・ディスク以外のブート・デバイスを指定していなければ,インストール先のシステム・ディスクがデフォルトのブート・デバイスになっています。 デフォルトのブート・デバイスを変更する方法は,A.2.2 項 「ブートデバイスの設定と表示」で説明します。
次のいずれかの条件が発生すると,Alpha コンピュータは自動的にブートするようになっています。
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電源障害から復旧した後で,システムの電源をオンにしたとき
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システムをシャットダウンした後 (シャットダウン・プロシージャから自動リブートを実行するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されて Y と入力した場合のみ)
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システムを自動的にブートさせるには,次の表に従って以下の手順を実行します。
条件 | 開始手順 |
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OpenVMS Alpha オペレーティング・システムが動作している場合 | 手順 1 |
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムが動作していない場合 | 手順 4 |
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SYSTEM アカウントでログインします。
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次のコマンドを入力して Enter を押します。
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表示されるプロンプトに順次応答していきます。 自動リブートを実行してもよいかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら,Enter を押します (デフォルトの NO を選択したことになります)。 プロシージャの処理が完了すると,次のメッセージが表示されます。
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Ctrl/P (または Halt ボタン) を押してシステムを停止します (Alpha コンピュータの停止方法についての詳細は,A.3.1 項 「システムの停止方法」を参照してください)。
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使用しているシステムが CPU を複数個搭載した SMP システムである場合は,コンソール・プロンプト (>>>) に対して次のコマンドを実行し,他の CPU を停止します。
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次のコマンドを実行して,システムが自動的にブートするように設定されているかどうかを確認します。
システムから次のいずれかが表示されます。
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自動ブートの動作を変更する場合は,SET AUTO_ACTION コマンドを実行します。 AUTO_ACTION は RESTART に設定することをお勧めします。 このように設定すると,システムはクラッシュ・ダンプをダンプ・ファイルに出力した後,自動リブートを試みるようになります。 たとえば,次のコマンドを実行すると,システムは自動的にリブートするようになります。
>>> SET AUTO_ACTION RESTART
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AUTO_ACTION 変数を設定したら,ブート・デバイスのフラグとオペレーティング・システムのフラグも同様に設定するようお勧めします。 この設定には,以下の項で説明する SET BOOTDEF_DEV コマンドと SET BOOT_OSFLAGS コマンドを使用します。
A.2.2 ブートデバイスの設定と表示 |
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ブートに使用するドライブ (デフォルト・ブート・ドライブ) を指定するには,SET BOOTDEF_DEV コマンドを使用します。 現在のデフォルト・ブート・ドライブを表示するには,SHOW
BOOTDEF_DEV コマンドを使用します。
この変数を設定する場合は,オペレーティング・システムのブート・パラメータも,SET BOOT_OSFLAGS コマンドで設定することをお勧めします。
コンソール・プロンプト (>>>) に対して,SET BOOTDEF_DEV コマンドを次の形式で実行します。
SET BOOTDEF_DEV device-name
device-name には,システム・ディスクのデバイス名を指定します。 たとえば,DEC 3000 Alpha シリーズ・コンピュータ上にある DKA400 という名前のドライブからブートする場合は,次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> SET BOOTDEF_DEV DKA400
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これで DKA400 がデフォルトのブート・デバイスとして設定されるため,システムを次回ブートするときは,デバイス名を指定しないで BOOT コマンドを実行できます。 次に,その例を示します。
最後の SET BOOT コマンドで指定されたドライブを確認するには,SHOW BOOTDEF_DEV コマンドを使用します。 次に,その例を示します。
SET BOOTDEF_DEV コマンドで行ったブート・ドライブの指定を取り消すには,次のコマンドを入力して Enter を押します。
A.2.3 ブート・フラグ・パラメータの設定 |
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特に設定しておかない限り,オペレーティング・システムのブートは,フラグ・パラメータがデフォルトの 0 に設定された状態で実行されます。フラグ・パラメータを設定してブート処理の特定機能を有効にしたい場合は,SET BOOT_OSFLAGS コンソール・コマンドを使用します。
次の表に,SET BOOT_OSFLAGS コマンドで指定できる値 (16 進数) 示します。
16 進数値 | システムの対応 |
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1 | 会話型ブートを実行する (SYSBOOT> プロンプトが表示される) |
2 | XDELTA を動作中のシステムにマッピングする |
4 | システムの最初のブレークポイントでブート・プロシージャを停止する |
8 | 診断ブートストラップを実行する |
10 | ブートストラップの各ブレークポイントでブート・プロシージャを停止する |
20 | 2 次ブートストラップ・イメージからヘッダを削除する |
80 | 2 次ブートストラップ・ファイルの名前を入力するように求める |
100 | 2 次ブートストラップの前にシステムを停止する |
2000 | 修正されたデータ読み取りエラー・ページに不正マークを付与する |
10000 | ブート処理中に,幅広いデバッグ・メッセージを詳細に表示する |
20000 | ブート中に,選択されたユーザ向けメッセージを表示する |
以下に,SET BOOT_OSFLAGS コマンドの使用例をいくつか示します。
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次のコマンドでは,ルート・ディレクトリを 0 に,またパラメータを 1 にそれぞれ設定しています。 この設定で BOOT コマンドを実行すると,システムは [SYS0] ディレクトリから会話型ブートを開始します。
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次のコマンドでは,ルート・ディレクトリを 1 に,またパラメータを 0 にそれぞれ設定しています。 この設定で BOOT コマンドを実行すると,システムは [SYS0] の代わりに [SYS1] ディレクトリ (2 台のシステムで構成される DSSI OpenVMS Cluster の 2 台目のホストなど) からブートします。
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次の例では,ルート・ディレクトリを 0 に,またパラメータを 1,2,4,2000 (合計を 16 進数で表すと 20007) にそれぞれ設定しています。 この設定で BOOT コマンドを実行すると,システムは XDELTA を有効にした状態で [SYS0] ディレクトリから会話型ブートを開始した後,システムの最初のブレークポイントで停止して,関連するユーザ向けメッセージを表示します。
>>> SET BOOT_OSFLAGS 0,20007
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設定したパラメータを確認する場合は,SHOW BOOT_OSFLAGS コマンドを使用します。 次に,その例を示します。
>>> SHOW BOOT_OSFLAGS
BOOT_OSFLAGS = 0,20007
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ブート・パラメータを設定した後,プロンプト (>>>) に対して BOOT または B とだけ入力すれば,指定したパラメータでシステムがブートします。
A.2.4 新規ブート・ブロックの書き込み |
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ブート・ブロックとは,システム・ディスクのブロック 0 のことです。 このブロックには,システムをブートするために使用する 1 次ブートストラップ・イメージ (APB.EXE) のサイズと場所の情報が格納されています。 システム・ディスクのブート・ブロックに異常があると思われる場合は,Writeboot ユーティリティ (WRITEBOOT.EXE) を使用して,新しいブート・ブロックを書き込むことができます。
Writeboot ユーティリティは,OpenVMS をインストールしたときにシステム・ディスクへコピーされています。 このユーティリティを使用すれば,以下の方法で作成しておいた OpenVMS Alpha システム・ディスクから,ブート可能な OpenVMS Alpha システム・ディスクを作成できます。
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Alpha システム・ディスクのノンイメージ・バックアップ (ブート・ブロックを破損する可能性がある)
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イメージ・セーブ・セットからの Alpha システム・ディスクのノンイメージ・リストア
Writeboot ユーティリティでは,OpenVMS Alpha システム・ディスクのブート・ブロックを,同じディスクへコピーしておいたバージョンの新しい OpenVMS Alpha の 1 次ブートストラップ・ファイル (APB.EXE) を指すように書き換えることもできます (ブートストラップ・ファイルは,ディスク上で一続きになっている必要があります)。
Writeboot ユーティリティを起動するには,次のコマンドを実行します。
$ RUN SYS$SYSTEM:WRITEBOOT
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Writeboot ユーティリティから,次のプロンプトが表示されます。
Update VAX portion of boot block (default is Y):
Update Alpha portion of boot block (default is Y):
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VAX のプロンプトに対しては N (NO) と入力します。 Alpha のプロンプト,つまりブート・ブロックをアップデートするかどうかを尋ねるプロンプトに対しては Y (YES) と入力すると,Alpha ブート・ファイルの指定を求める次のプロンプトが表示されます。
このプロンプトに対して device-name:[VMS$COMMON.SYSEXE]APB.EXE と入力します (device-name には,システム・ディスクをマウントしているデバイスのデバイス名を指定します)。 Writeboot ユーティリティによって,この指定情報がシステム・ディスクのブート・ブロックへ書き込まれます。 詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
ここでは,Alpha コンピュータの停止方法とシャットダウン方法を説明します。
A.3.1 システムの停止方法 |
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インストールやアップグレードを行っているとき,あるいはその他の関連システム操作を行っているときに,システムの停止が必要になることがあります。 次の項で説明するように,Alpha コンピュータの停止方法は,モデルごとに少しずつ異なっています。
次の表に,Alpha コンピュータの各モデルとその停止方法をまとめて示します。
Alpha コンピュータのモデル | 停止方法 |
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AlphaServer 300/800/1000/1200/2000/2100 シリーズ | 以下のいずれかの操作を行う |
AlphaServer 8200/8400 シリーズ | Ctrl/P を押す |
AlphaStation 200/400/500/600 シリーズ | 以下のいずれかの操作を行う
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Halt ボタンを押す (グラフィック・モニタをコンソールとして使用している場合) -
Ctrl/P を押す (他のコンソールとポートを使用している場合)
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DEC 2000/3000 シリーズ | 以下のいずれかの操作を行う
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Halt ボタンを押す (グラフィック・モニタをコンソールとして使用している場合) -
Ctrl/P を押す (他のコンソールとポートを使用している場合)
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DEC 4000 シリーズ | 以下のいずれかの操作を行う
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コンソール上の Break を押す (デフォルト設定) -
Ctrl/P を押す。ただし,SET TTA0_HALTSn コンソール・コマンドでこのキーの組み合わせを有効にしている場合だけ (Break キーと Ctrl/P の両方を有効にする場合は n に 6 を,また Ctrl/P を有効にして Break キーを無効にする場合は n に 2 をそれぞれ指定する)。
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DEC 7000/10000 シリーズ | Ctrl/P を押す |
A.3.2 システムのシャットダウン |
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OpenVMS オペレーティング・システムをシャットダウンする場合は,その前に,自動的にリブートさせるか,シャットダウン終了後にコンソールモード・コマンドを入力するかを決めてください。
シャットダウンは,次の 3 通りの方法で実行できます。
シャットダウンの後でシステムを自動的にリブートする方法については,A.2.1 項 「システムの自動ブート設定」を参照してください。
SHUTDOWN.COM プロシージャは,ログインの受け付け終了,バッチ・キューとプリント・キューの停止,ボリュームのマウント解除,およびユーザ・プロセスの停止といったような保守機能を実行して,システムをシャットダウンします。 SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャを使用するには,SYSTEM アカウントでログインした後,次のコマンドを入力して Enter を押します。
SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
A.3.2.2 OPCCRASH.EXE による緊急時シャットダウン
SHUTDOWN.COM プロシージャによる通常のシャットダウンが行えない場合は,緊急時シャットダウン・プログラム OPCCRASH.EXE を実行します。 OPCCRASH.EXE プログラムを使用するには,SYSTEM アカウントでログインした後,次のコマンドを入力して Enter を押します。
$ RUN SYS$SYSTEM:OPCCRASH
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OPCCRASH プログラムについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
A.3.2.3 クラッシュ・コマンドによる緊急時シャットダウン
クラッシュ・コマンドの使用は,システムがハングして (つまりすべてのコマンドに応答しなくなって) SYSTEM アカウントでログインできなくなり,その結果として SHUTDOWN.COM プロシージャも OPCCRASH.EXE プログラムも使用できなくなった場合だけに限定してください。
プロセッサ障害を発生させるには,次の手順を実行します。
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Ctrl/P (または Halt ボタン) を押してシステムを停止します (Alpha コンピュータの停止方法についての詳細は,A.3.1 項 「システムの停止方法」を参照してください)。
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プロセッサのレジスタ内容を調べるために,次のコマンドを入力して Enter を押します。
レジスタの内容が表示されます。 システムの状態について情報を保存しておく必要があれば,表示された値をメモします。
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次のコマンドを入力して Enter を押します。
>>> D PC FFFFFFFF00000000
>>> D PS 1F00
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これらの値を入力することで,システムに,メモリ・ダンプをディスク上のシステム・ダンプ・ファイルへ出力させることができます。
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次のコマンドを入力して Enter を押します。
システムがバグ・チェックを実行します。
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システムがリブートしたら,SYSTEM アカウントでログインします。
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次の各コマンドを実行して,ダンプ・ファイルの内容を調べます。 コマンドを入力するたびに Enter を押してください。
$ ANALYZE/CRASH SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP
SDA> SHOW CRASH
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SDA (System Dump Analyzer) ユーティリティについての詳細は,『HP OpenVMS System Analysis Tools Manual』を参照してください。
ここでは,システムに問題が発生した場合のトラブルシューティング手順を説明します。
A.4.1 システムがブートしない場合 |
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ハードウェアに問題が発生してシステムがブートしなくなると,コンソール・ターミナルに表示されるエラー・メッセージの先頭に疑問符 (?) が付けられます。 ハードウェアに発生する問題としては,ディスクの読み取りエラーなどがあります。
ハードウェアに問題があると思われる場合は,次の手順を実行してください。
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Alpha コンピュータに付属しているハードウェア・マニュアルで解決策を調べます。
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弊社サポート担当に連絡します。
OpenVMS オペレーティング・システムがメモリにロードされていれば,ターミナルの画面に次のようなメッセージが表示されます。
SYSTEM job terminated at 27-AUG-2004 15:05:03.17
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このメッセージが表示されない場合は,ソフトウェアに問題が発生したと考えられます。 次の手順を実行してください。
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システムの電源をいったんオフにした後,オンに戻してリブートを試みます。
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デフォルトのシステム・パラメータで会話型ブートを実行するか,A.1.9 項 「緊急時のブート」に説明されているいずれかの緊急ブート手順を実行します。
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システムがブートしたら,AUTOGEN プロシージャを実行します。 AUTOGEN プロシージャについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
A.4.2 システムに発生した問題の検出と対処 |
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システムの動作に異常が発生したときの注意点を以下に示します。
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コンソール・ターミナルにバグチェック・メッセージが表示された後,システムが自動的にシャットダウンした場合は,運用を継続できない問題が発生しているか,または運用の継続が危険である問題が発生しています。 システムが自動的にリブートしない場合は,A.2.1 項 「システムの自動ブート設定」の説明に従って,自動ブートするようにシステムを設定するか,A.1.3 項 「システム・ディスクからの手動ブート」の説明に従って,システムを手動でブートしてください。
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システムがコマンド入力に応答しなくなった (つまりハングした) 場合は,システム・ソフトウェア・コンポーネントやハードウェア・コンポーネントの問題,または電源障害が発生している可能性があります。
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システムの動作が不安定になった (つまり仕様どおりには応答しなくなった) 場合は,システム・ソフトウェア・コンポーネントまたはハードウェア・コンポーネントに問題が発生している可能性があります。
問題がシステムの問題であるかどうかを,次のようにして調べます。
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これより前に F1 (Hold Screen キー) を押さなかったことを確認します。 F1 または Ctrl/S を押した場合は,Hold Screen インジケータが点灯しています。
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Ctrl/T を押してプロセスのステータスをチェックします。 Ctrl/T を押せば,実行中のプログラムの名前やその他の情報を示すステータス・ラインが表示されるはずです。 ステータス・ラインが表示されない場合は,プログラムが停止 (ハング) している可能性があります (SET NOCONTROL=T コマンドを実行して Ctrl/T が無効になっている場合や,SET TERMINAL/NOBROADCAST コマンドを実行してターミナルが NOBROADCAST モードになっている場合は,この方法を使用できません)。
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ターミナルやモニタとシステムとの間のケーブル接続が緩んでいないかどうかをチェックします。
システムの問題であると判断した場合は,次の手順を実行します。
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Ctrl/Y を押して,ハングしているプログラムを強制終了させます。 Ctrl/Y を押すと,そのプログラムでまだディスクに保存していない作業内容がすべて失われるので注意してください。
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システムがまだ反応しない場合は,Ctrl/P または Halt ボタンを押してシステムを停止します (Alpha コンピュータの停止方法についての詳細は,A.3.1 項 「システムの停止方法」を参照してください)。
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問題が表面化するまでの一連のイベントをその順序で詳しく資料にまとめて,弊社サポート担当に知らせます。