ここでは,HP Integrity サーバで利用可能な設定ツールと管理ツールについて簡単に紹介し,システム・コンソールの設定方法や,ブート・オプションの設定方法,OpenVMS Integrity オペレーティング・システムのブート方法とシャットダウン方法について説明します。また,簡単なトラブルシューティング手順についても説明します。
具体的には,以下の内容について説明しています。
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ハードウェアとファームウェアの設定インタフェースおよび管理インタフェースとその機能
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Extensible Firmware Interface (EFI) の使用方法の概要
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ハイパースレッド機能をサポートしているデュアル・コア・プロセッサを持つ nPartitions でのハイパースレッド機能の有効化と無効化
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以下の処理を含むブート操作:
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XDelta ユーティリティ (XDELTA) によるブート
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ここでは,Integrity サーバ・システムで通常利用できる設定ユーティリティや管理ユーティリティについて概要を説明します。詳細は,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
B.1.1 ユーティリティとコンソール・オプションの概要 |
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HP Integrity サーバ環境の設定と管理に通常利用する主なインタフェースは,Extensible Firmware Interface (EFI) と Management Processor (MP) です。エントリ・クラスの Integrity サーバでは,MP が Integrated Lights Out (iLO) Management Processor に置き換えられました。このインタフェースは,MP のすべての機能を持ちさらに機能が追加されています。一部のモデルでは,Baseboard Management Control (BMC) ユーティリティが用意されています。セル・ベースのサーバには,この他の管理ツールも用意されています。
iLO および Insight Power Management (IPM) をサポートするサーバでは,OpenVMS Integrity サーバに対して電源管理インタフェースが利用できます。
詳細については,『HP OpenVMS Utility Routines Manual』 を参照してください。
IPM は,サーバの電力消費と熱出力の集中監視制御機能を提供します。
OpenVMS は SYSGEN の CPU_POWER_MGMT パラメータもサポートしますが,このパラメータよりも iLO インタフェースの方が優先されます。
OpenVMS Integrity のインストールの前に,電源管理機能が適切な状態に設定されていることを確認してください。
詳細は,『HP OpenVMS Utility Routines Manual』 を参照してください。
EFI は,ブートおよびプリブートのメイン・インタフェースです。これは,すべてのモデルでのシステム・ファームウェアとコンソール・コマンドへのコア・インタフェースです。エントリ・クラスの HP Integrity サーバでは,BMC が用意されています (ただし,一部のシステムではインタフェース自体が隠されています)。BMC には,基本的な管理機能と,EFI にアクセスする機能があります。MP (または iLO) は,大半のシステムで利用できます。一部のシステムでは,必要なコンソール・ハードウェアがインストールされ設定されている場合にのみ利用可能です。EFI にアクセスする機能の他に,MP には,リモート管理,ネットワーク・コンソールと Web ベースのアクセス,拡張診断機能などの,高度な (BMC で利用できる以上の) 管理機能が用意されています。BMC
と MP (iLO) は,Integrity サーバの主電源スイッチがオフの位置であっても,スタンバイ電源で動作できます。
EFI は,基本となるコンソール環境です。コンソール・インタフェースの機能は,MP (iLO) と BMC のどちらでも操作できます。
OpenVMS Integrity のインストール・プロシージャおよびアップグレード・プロシージャでは,新しくインストールまたはアップグレードするシステム・ディスクをブート・オプションに追加することができます。OpenVMS システムをブートするためには,B.2 項 「Integrity サーバ・システム用 OpenVMS コンソールの選択」で説明されているように,コンソールが正しく設定されていなければなりません。
EFI,MP,および BMC の主な機能について,簡単に説明します。
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Extensible Firmware Interface (EFI)
EFI は,オペレーティング・システムとシステム・ファームウェアの間の,メニューおよびコマンド行インタフェースです。EFI インタフェースは,オペレーティング・システムがブートされていないときだけ利用可能です。セル・ベースのサーバでは,nPartitions がアクティブ状態で,オペレーティング・システムがブートされていないときだけ,nPartitions コンソールからこのインタフェースを利用できます。オペレーティング・システムが動作しているときに EFI ブート・オプションを設定するために,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM)
が OpenVMS に用意されています。このユーティリティで行った変更は,システムがリブートされるまでは有効になりません。
EFI Boot Manager には,OpenVMS Integrity Boot Manager と同様,オペレーティング・システム・ローダが用意されており,ファームウェアの設定や,OpenVMS オペレーティング・システムのブート環境の制御を行うことができます。ブート・ディスクの FAT パーティションに,システム・ローダが格納されています。[Boot Configuration] メニュー (EFI のバージョンによっては [Boot Option Maintenance Menu]) を使用すると,ブート・オプションの追加や削除,ブート順序の変更,アクティブ・コンソールの選択などを行うことができます。サーバの電源を入れると,ブート・オプションの設定に従った方法で,EFI Boot Manager はシステムを起動します。たとえば,EFI Shell までブートすることもできます。
EFI Shell コマンド行インタフェースを選択したときには,EFI の Shell プロンプトでコマンドを入力できます。EFI のオプションとコマンドについての詳細は,B.3 項 「EFI の使用方法の概要」と,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
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Management Processor (MP)
MP (または,エントリ・クラスの Integrity サーバでは,iLO) では,システム・コンソール,リセットや電源の管理,および TOC (Transfer of Control) 機能をローカルとリモートの両方で制御することができます。また,MP を使用すると,タスクを監視したり,各種の内部サブシステムの詳細情報を表示できます。セル・ベースのサーバでは,MP はコンプレックス単位のツールであり,サーバ・コンプレックス内で nPartitions が設定されていなかったり,ブートされていなくても,必ず利用できます。対照的に,EFI はコンプレックス単位のツールとしては動作しません。EFI は,nPartitions がアクティブ状態で,オペレーティング・システムがブートされていない場合にのみ利用可能です。
各 nPartitions には,それ専用の EFI インタフェースがあります。MP を使用すると,EFI アクセスを実行するパーティションを選択できます。コンプレックス内のすべてのハードウェアと nPartitions にアクセスできます。MP の主な機能の概要を以下に示します。
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コンソール接続機能
コンソール・インタフェースとして,MP では,EFI と対話したり,サーバの電源をオンまたはオフにすることができます。したがって,MP は OpenVMS 上のターミナル・ポート OPA0: として機能させることができます。
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仮想フロント・パネル (VFP)
MP には,リモートからフロント・パネルの LED を監視できる,仮想フロント・パネルが用意されています。
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コマンド・インタフェース
MP には,広範囲に渡るメニュー・システムと,コマンド行インタフェースが用意されています。
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複数同時のビューア
複数のユーザが,MP コンソールや,特定の nPartitions のコンソールにアクセスできます。対話型でアクセスできるのは,一度に 1 人のユーザだけです。他のユーザは,読み取り専用アクセスになります。(対話型ユーザからの出力は,現在コンソールにアクセスしている読み取り専用ユーザにも反映されます。) MP へのアクセスは,パスワードで保護されているユーザ・アカウントによって制限することができます。
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可用性/スタンバイ電源
MP は,システムが電源に接続されている限り,サーバのメイン電源スイッチがオフの位置であっても,利用可能です。
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アクセス手段
MP には,MP のシリアル・ポートに接続されているターミナル,PC,ラップトップ,またはデスクトップ・コンピュータを使用した直接モニタ接続 (一部の Integrity サーバでは,VGA モニタ,USB キーボード,およびマウスも使用できます) や,EIA-232 ポートによるモデム接続,LAN 上の Telnet や Web ブラウザによる接続など,いくつかの方法でアクセスできます。OpenVMS の TCP/IP Services で用意されている Secure Shell (SSH) を通して MP にアクセスすることもできます。このアクセス方法は,他の方法よりも安全です。
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コンソール・ログ
MP は,システム・コンソールからの最近の出力を記録します。cl コマンドを使用すると,記録されている情報を表示できます。
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イベント・ログ
MP には,システム・イベントやブートについての情報が記録されるイベント・ログがあります。sl コマンドを使用すると,システム・ステータス・ログの内容を表示できます。
rx1600 などの一部のシステムでは,MP はオプションです。MP のオプションとコマンドについての詳細は,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
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Baseboard Management Controller (BMC)
BMC の機能は,MP の機能より限られています。BMC を使用すると,診断や,設定,ハードウェア操作などの,システム・ボードに組み込まれている一部の管理機能を制御できます。一部のシステムでは,BMC は,コンソール接続機能を備えています。MP と同様に,BMC を使用して EFI と対話することができます。BMC は,OpenVMS 上のターミナル・ポート OPA0: として機能させることができます。BMC も,スタンバイ電源で動作します。ただし BMC は,システムの背面にあるシリアル・ポートを介してのみアクセスできます。BMC コマンドを使用すると,BMC インタフェースの制御,ログの表示,ヘルプの表示,ファームウェア・リビジョンの表示,システムのリセット,システム・ロケータ
LED のオン/オフ,および BMC パスワードの変更を行うことができます。セル・ベースの Integrity サーバには,BMC は用意されていません。rx4640 などの一部のシステムでは,BMC ユーザ・インタフェースは隠されていますが,存在していて機能もします。BMC コマンドについての詳細は,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
B.1.2 セル・ベースのサーバ上の設定ユーティリティと管理ユーティリティ |
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より複雑な,セル・ベースの Integrity サーバの環境では,さまざまなツールが用意されています。複数の nPartitions を備えたシステムでは,各 nPartitions にはそれ専用の EFI インタフェースがあります。MP を使用すると,コンプレックスおよび各 nPartitions の EFI インタフェースに対してアクセスしたり,管理を行うことができます。
MP と EFI の他に (セル・ベースのサーバには,BMC はありません),これらのシステムには,Partition Manager と,システムやオペレーティング・システムによって異なるその他のツールが用意されています。Partition Manager (parmgr) ユーティリティには,nPartitions とコンプレックス・ハードウェアを管理するためのグラフィカル・インタフェースがあります。このユーティリティは,すべての nPartitions 管理機能を 1 箇所にまとめ,システム管理者に,nPartitions の動的な再設定,電源オン/オフ,作成,削除,および変更を行うツールを提供し,円滑で正しく制御された操作を可能にします。Partition Manager は,HP-UX システムと Microsoft Windows システムのどちらでも動作します。
どちらのバージョンの Partition Manager を使用しても,OpenVMS バージョン 8.4 用の nPartitions を管理できます。Partition Manager は,次の Web サイトからダウンロードできる,無償の製品です (PARMGR は,記載されているとおり,大文字でなければなりません)。
http://docs.hp.com/en/PARMGR2/download.html
Partition Manager についての詳細は,『HP nPartitions 管理ガイド』(旧称『HP システムパーティション ガイド』) を参照してください。
Integrity サーバの設定や管理に利用できるこれらのツールとその他のツールについての詳細は,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
B.1.3 Integrity サーバのユーティリティでの Delete キーや Backspace キーの使用 |
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Integrity サーバ・システムの EFI 環境と,MP および BMC のコンソール・インタフェースのバージョンによっては,Delete (または Backspace) キーがまだ UNIX システムと同じように解釈されるため,OpenVMS Alpha システムや Microsoft Windows システムでの解釈方法と異なります。OpenVMS オペレーティング・システムでは,コマンド行に入力された最後の文字を削除するために ASCII の DEL/RUBOUT 文字 (16 進の 7F) を使用しますが,このような Integrity サーバでは,Ctrl/H を使用します。このような Integrity サーバでコマンドを入力する際に,VTxxx ターミナル上で Delete (または,ターミナル・エミュレータで DEL/RUBOUT 文字コードを送信するようにマッピングされたキー) を押しても,最後に入力した文字は削除されません。
ログイン・コマンド・プロシージャ (通常は,LOGIN.COM) に次のコマンドを追加することで,最後に入力した文字が Delete キーで削除されるようにターミナルを再マッピングできます。
$ SET TERMINAL/BACKSPACE=DELETE |
このコマンドは,DEL に Ctrl/H を再マッピングします。ターミナルが以下のいずれかの状態の場合,ドライバはこれらのキーの再マッピングは行いません。
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ターミナルの属性に PASSALL が設定されている
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ターミナルの属性に PASTHRU が設定されている
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Ctrl/V (ドライバに,次の文字をパスし再マッピング・チェックを省略するように指示する) が入力された
または,ターミナル・エミュレータを設定して,最後に入力した文字が Backspace キーで削除されるようにすることもできます。ただし,OpenVMS 上でキーが正しく動作するようにするためには,前述の SET TERMINAL コマンドを実行しなければなりません。
Integrity サーバに付属しているハードウェア・ドキュメントまたはファームウェア・ドキュメントで示されているように,ファームウェア・コンソールをセットアップする必要があります。
初めて電源を投入すると,Integrity サーバはファームウェア・インタフェースとやりとりして,コンソール・デバイス (複数可) から入力を受け付けるようになります。
そのようなデバイスには,Integrity iLO MP (一部のサーバでは単に MP ですが,ここでは,分かりやすくするために,どちらのファームウェア・インタフェースも MP と呼びます) やシリアル・ポートがありますが,ローカルなグラフィック・モニタとキーボードがあれば,それらも使用できます。
特に指定しなくてもファームウェア用のコンソールとして使用できるコンソール・デバイスは,Integrity サーバのハードウェア・モデルや,関連するファームウェアによって異なります (ハードウェアのドキュメントを参照してください)。
Integrity サーバの OpenVMS オペレーティング・システムでは,一般に MP ポートを使用します (弊社推奨)。
このポートを使えば,ファームウェア・コンソールにネットワーク経由でアクセスできるだけでなく,シリアル・インタフェースでアクセスすることもできます。
シリアル・ポートを使用している場合は,ターミナル・デバイスまたはエミュレータ・デバイスには VT100 対応のものを使用してください。
MP ポートのない Integrity サーバでは,コンソール・シリアル・ポートが使用できるようになっています (このポートは,サーバの背面にあるのが普通です)。
Integrity サーバで利用可能な最新のファームウェアには,その基本機能としてテキスト・メニュー・ベースのインタフェースが用意されています (HP Integrity rx2600 サーバなど,一部の古い Integrity サーバ・モデルを除きます)。
また,最新のファームウェアには,「プライマリ」,「セカンダリ」,および「未構成」という,コンソール・インタフェースの概念も含まれています。
プライマリ・コンソールは,オペレーティング・システムやファームウェアとのやりとりに使用できるコンソールです。
ファームウェアは複数のコンソール・デバイスとやりとりができるようになっていますが,OpenVMS ではその中の 1 つしかコンソールとして使用しないので,そのデバイスを選択する必要があります。
B.2.1 項 「OpenVMS コンソールの選択 (Integrity サーバ rx2600 を除く)」で説明してあるように (プライマリ,セカンダリ,および未構成のコンソール選択についても詳細に説明してあります),プライマリ・コンソールとして動作するデバイスを 1 つ選択します。
Integrity サーバの電源を入れると,ファームウェアからプライマリ・コンソール・デバイスとセカンダリ・コンソール・デバイスに情報が表示されます。
電源を入れてから数秒経っても情報が表示されない場合は,そのコンソール・デバイスがプライマリ・デバイスとセカンダリ・デバイスのどちらとしても選択されていない可能性があります。
その場合は,コンソール・ターミナルのケーブルを適切なデバイスへ接続する必要があります。
接続したデバイスが正しければ,ファームウェアから EFI Boot Manager の画面が表示されます。
この節で後に説明するように,この画面から,OpenVMS で使用するプライマリ・コンソールの選択操作へ進むことができます。
ファームウェアを使用して OpenVMS をブートしても,OpenVMS コンソールに出力が表示されないでシステムがハングアップしているように見えたら,コンソール・ターミナル・デバイスがプライマリ・コンソール・デバイスではなくセカンダリ・コンソール・デバイスに接続されている可能性があります。
システム・コンソールをすでに使用している場合は,この節のこれ以降の部分を読み飛ばしてもかまいません。
OpenVMS がプリインストールされているマシンを注文した場合は,コンソールがすでに選択されています。ただし,この省略時のコンソール選択は変更することができます。システムの構成を変更した場合や,(未インストールの) 新しい Integrity サーバに OpenVMS をインストールする場合,また INITIALIZE オプション (ターゲット・システム・ディスクにすでにインストールされているソフトウェアおよびデータ・ファイルをすべて削除する) を使用して OpenVMS を再インストールする場合は,正しいコンソールを選択する必要があります。
正しいコンソールを選択しないと,OpenVMS で予期しないデバイスがコンソールとして使用されることがあり,その結果,システムがハングアップしたり,OpenVMS がブートしなかったり,またブートしても不適切な場所に出力が送られたりすることがあります。
MP を使用すれば,HP TCP/IP Services for OpenVMS で提供されている TELNET ユーティリティなどを使用してリモート・コンソールにアクセスすることができます。
また,インターネット・ブラウザからインターネットを介して MP コンソール・インタフェースにアクセスすることもできます。
LAN やリモート・アクセスを MP コンソール・インタフェース用にセット・アップする場合は,最初にシリアル・ポートからコンソールを操作して Integrity サーバを初期設定しなければなりません (MP コンソール・インタフェースとして LAN やリモート・アクセスを設定する手順については,ハードウェアのドキュメントを参照してください)。
最初に,使用するコンソールを決めます。
OpenVMS では,使用しているハードウェア構成やファームウェア構成に応じて,次に示すいずれかのタイプのコンソールが使用できます。
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MP (または iLO MP) シリアル・ポート
MP シリアル・ポートがプライマリ・コンソールとして選択されていないと,OpenVMS でその MP インタフェースを検出できません。
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グラフィック (VGA) デバイス
グラフィック・コンソールのサポートにより,モニタ,USB キーボード,およびマウスを Integrity サーバ・ポートに直接接続して使用できるようになりました。
ただし,一部の古い (従来の) Integrity サーバ (rx2600 など) には必要なファームウェア機能がないので,グラフィック・コンソールが使用できません。
また,一部の Integrity サーバではシステムに VGA デバイスが組み込まれていないので,VGA コンソールを使用するには,オプションのグラフィック・カードが必要です。
Integrity サーバの多くでは,複数のグラフィック・オプションがサポートされています (例外は,rx1600 サーバと rx1620 サーバです)。
各グラフィック・オプションは,それぞれ 1 枚のグラフィック・カードと 1 つのグラフィック・ディスプレイ・インタフェース (モニタ) からなります。
ただし,グラフィック・デバイスが複数台あっても,ファームウェアがコンソール・デバイスに使用するデバイスとして選択できるのは 1 台だけです。
他のグラフィック・デバイスは「未構成 (NC) 」に設定しておかなければなりません。
OpenVMS のコンソールとして VGA を使用してブートされたシステムでは,DECwindows を使用するときの省略時の画面として,その VGA コンソールが使用されます。
DECwindows のマルチヘッド・グラフィック操作を有効にしておくと,特に変えない限り,VGA コンソールは画面 0 となります。
またコンソールとして構成した VGA デバイスがないと,DECwindows では Integrity サーバのモデルとデバイス・バスの順序をベースにして省略時の画面が選択されます。
DECwindows のマルチヘッド・グラフィック操作の有効化についての詳細は,7.8.3 項 「マルチヘッド・システムの構成 (省略可)」を参照してください。
以下の制約事項に注意してください。
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OpenVMS は,Integrity サーバと利用可能なスロットに応じて,組み込みグラフィックの他に最大 4 台までグラフィック・デバイスを追加して使用できるようになっています。
しかし,Integrity サーバで利用可能なファームウェアによっては,VGA コンソール・デバイスとして使用可能なデバイスが制限されている場合もあります。
使用しているプラットフォームとグラフィックに関する構成ルールについては,使用しているハードウェアのドキュメントを参照してください。
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VGA コンソールが正しく動作するには,OpenVMS で VGA 以外のデバイスを少なくとも 1 つはセカンダリ・コンソールとして構成しておく必要があります。
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VGA コンソールを使用している場合は,XDELTA が利用できません。
要求しても使用不可になります。
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VGA コンソールでは,会話型 (対話型) ブート (SYSBOOT>) が使用できません。
SYSGEN パラメータを変更する場合は,OpenVMS から SYSGEN を使用して行うか,
VGA 以外のコンソールを使用して OpenVMS の会話型ブートを実行してください。
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VGA コンソールを使用している場合に,USB ハブへキーボードを接続した状態で vMedia または USB DVD ドライブからインストールすると,最初の時点ではキーボードが動作しないことがあります。
その場合は,キーボードを動作させるために,ハブから抜いて再度接続し直してください。
詳細な情報,プラットフォームに固有の詳細,および VGA のサポートに必要なファームウェアについては,『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』と Integrity サーバのハードウェア・ドキュメントを参照してください。
正しいコンソールを選択する手順は,Integrity サーバのモデルとファームウェアによって異なります。
Integrity サーバが rx2600 でない場合は,B.2.1 項 「OpenVMS コンソールの選択 (Integrity サーバ rx2600 を除く)」の手順に従ってください。
Integrity サーバが rx2600 であるか,サーバに必要なファームウェアが入手できない場合は,B.2.2 項 「rx2600 Integrity サーバで行う OpenVMS コンソールの選択」の手順に従ってください。
OpenVMS Version 8.4 では iLO ファームウェアをサポートするシステムで統合コンソールが使用可能で,この機能によりリモートの iLO ブラウザ・ウィンドウから仮想キーボード,仮想ビデオおよび仮想マウス (vKVM) を操作することができます。
統合コンソール機能を利用して,システム・ブート前 (EFI),OpenVMS ブート時,および OpenVMS 実行時 (テキスト・コンソールおよび DECwindows の両方) のいずれの状況においても,iLO ブラウザ・ウィンドウから表示および操作することができます。
デフォルトでは,DECwindows におけるグラフィック表示の最大解像度は 1024x768 で,これは iLO ファームウェアの制約です。
統合コンソールを使用する場合は,システムのプライマリ・コンソールとして VGA を設定しておく必要があります。
リモートの iLO 統合コンソールに加えて,ローカルのキーボード,ビデオ,マウスを (同時に) 使用することもできます。
iLO 統合コンソールを利用した場合の DECwindows グラフィックスの性能は LAN の速度に依存するため,一般的には,グラフィック性能を必要せず,あまり実行頻度も高くない,システム管理作業での使用が推奨されます。
B.2.1 OpenVMS コンソールの選択 (Integrity サーバ rx2600 を除く) |
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rx2600 (またはファームウェアの古いサーバ) 以外の Integrity サーバ では,コンソール・デバイスを次に示す 3 つのいずれかのタイプとして構成できます。
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プライマリ・コンソール ―
ファームウェア・インタフェース用のコンソールとして使用できるとともに,OpenVMS のコンソール (OPA0) としても使用できるデバイスです。
VGA デバイス (デバイス・パス) をプライマリ・コンソールとして選択した場合,その VGA デバイスを使用して OpenVMS をブートするには,シリアル・デバイス・パスを少なくとも 1 つはセカンダリ・コンソールとして設定する必要があります。
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セカンダリ・コンソール ―
ファームウェア用のコンソールとしては使用できるが,ブート中またはブート後に OpenVMS のコンソールとして使用することはできないデバイスです。
このデバイスは,通常のシリアル・ポート・デバイスとして構成されます。
セカンダリ・コンソールとして MP ポートを指定すると,OpenVMS からは見えなくなります。
MP ポートが OpenVMS から見えるのは,プライマリ・コンソールとして選択した場合だけです。
コンソールとして利用できるポートが Integrity サーバに複数個あって,その 1 つをセカンダリ・コンソールとして選択した場合は,そのコンソールをバイナリ・データの転送に使用しないでください。
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未構成 ―
ファームウェア用のコンソールとしてもオペレーティング・システム用のコンソールとしても使用できないデバイスです。
システムはプライマリ・コンソールまたはセカンダリ・コンソールからブートできます。しかし,OpenVMS の出力はプライマリ・コンソールにしか表示されません。
コンソールとして選択可能なシリアル・デバイスと,シリアル・デバイス・ポートの一覧についての情報は,『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』を参照してください。
コンソールは,次のいずれかの方法で選択できます。
以下の 2 つの項で,VGA デバイスを OpenVMS コンソールとして選択する方法の例を示します。
B.2.1.1 EFI Boot Manager を使用して行う OpenVMS コンソールの選択
EFI Boot Manager を使用して OpenVMS コンソール用のデバイスを選択する場合は,次の手順に従います。
ファームウェアのバージョンと構成によっては,画面に表示されるメニューの選択肢が例とは異なることがあります。
この EFI ファームウェアでは,今までと違って,コンソール入力デバイス,コンソール出力デバイス,およびコンソール・エラー・デバイスを選択する必要がありません。
ファームウェアによって,プライマリ・コンソール・デバイスがコンソール入力デバイス,コンソール出力デバイス,およびコンソール・エラー・デバイスとして自動的に設定されます。
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EFI Boot Manager の画面で,上向き矢印キーまたは下向き矢印キーを使って [Boot Configuration] メニューを選択し,Enter キーを押します。
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[Boot Configuration] メニューから [Console Configuration] メニューを選択し,Enter キーを押します。
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希望するデバイスがすでにプライマリ・コンソールとして構成されていることが [Console Configuration] メニューに示されていれば,先に進む必要はありません。
構成されていなければ,OpenVMS のプライマリ・コンソールにするデバイスを選択します。
次の画面では,VGA デバイスを選択しています。
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「P」と入力して,選択したデバイスをプライマリ・コンソールとして構成します。
選択したデバイスがプライマリ・コンソールとして表示されます。
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Esc キーを押して,直前のメニューに戻ります。
変更を NVRAM に保存するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されるので,「Y」と入力します。
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システムをリセットするかどうかを尋ねるプロンプトが表示されるので,「Y」と入力して変更を有効にします。
B.2.1.2 EFI Shell を使用して行う OpenVMS コンソールの選択
EFI Shell を使用して OpenVMS コンソール用のデバイスを選択する場合は,次の手順に従います。
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次の例のように,EFI の Shell プロンプトに対して conconfig コマンドを入力し,利用可能なコンソール・デバイスのインデックス番号を表示します (「Primary」 という欄に,そのデバイスがどのように構成されているかが示されます (P はプライマリ,S はセカンダリ,NC は未構成))。
Shell>conconfig
CONSOLE CONFIGURATION
Index Primary Type Device Path
----- ------- ----- ----------
1 P Serial Acpi (PNP0501,0)
2 S Serial Acpi (HWP0002,700)/Pci (1|1)
3 S VGA Acpi (HWP0002,700)/Pci (2|0)
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希望するデバイスがすでにプライマリ・コンソールとして構成されていれば,この手順はこれで終了です。
希望するデバイスがプライマリ・コンソールとして現在構成されていなければ,次の形式で conconfig コマンドを入力します。
conconfig index primary
index は,OpenVMS のコンソールとして希望するデバイスのインデックス番号です。
次の例では,プライマリ・コンソールとして VGA デバイスを選択し,その結果として出力された表示に,構成の変更が反映されています。
Shell>conconfig 3 primary
CONSOLE CONFIGURATION
Index Primary Type Device Path
----- ------- ----- ----------
1 S Serial Acpi (PNP0501,0)
2 S Serial Acpi (HWP0002,700)/Pci (1|1)
3 P VGA Acpi (HWP0002,700)/Pci (2|0)
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次の例のように,reset コマンドを入力して変更をアクティブにします。
B.2.2 rx2600 Integrity サーバで行う OpenVMS コンソールの選択 |
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ここでは,Integrity サーバ rx2600 やファームウェアの古いサーバでコンソールを選択する方法について説明します。
こうしたサーバでは,OpenVMS のコンソールに使うコンソール入力,コンソール出力,およびコンソール・エラー・デバイスを構成する必要があります。
プライマリ・コンソールという概念,つまり,これらのデバイスを自動的に OpenVMS のコンソールとして構成するという概念はありません。
また,こうしたサーバの OpenVMS では,グラフィック・コンソールが使用できません。
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使用するコンソールを決めます。
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システムの電源を入れます。MP シリアル・ポートを使用している場合は,MP にログインして EFI にアクセスします。 システム・シリアル・ポートをシステム・コンソールとして設定する場合は,次の手順に進みます。MP シリアル・ポートをシステム・コンソールとして設定する場合,Integrity サーバの電源を入れたばかりであれば,MP コンソール・インタフェースがログイン・プロンプトを表示しています。(省略時の設定では,ユーザ名とパスワードには Admin が設定されています。
セキュリティを確保するためには,このパスワードをすぐに変更します。
詳細は,ハードウェアのドキュメントを参照してください。)
MP> プロンプトが表示されたら,co (コンソール・モード) コマンドを入力して,EFI インタフェースに切り替えます。
電源投入または初期化のシーケンスが完了していない場合は,まだそのシーケンスが表示されているので,メニューが再表示されるまで待つ必要があります。
この時点で co コマンドを再入力し,EFI Boot Manager のメニューを表示します。
EFI Boot Manager のメニューから EFI の Shell インタフェースを選択します。
nPartitions のない Integrity サーバでは,co コマンドで直接 EFI Boot Manager の画面が表示されます。
EFI カウントダウン・タイマがタイムアウトするまでにコマンドを入力しなければ,EFI の Shell プロンプトが表示されます。
一部のサーバでは,カウントダウン・タイマの省略時の値が 10 秒になっています。
Server Blades などの他のサーバでは,この値よりも短いこともあります。
オペレーティング・システムが動作しているときは,co コマンドにより,オペレーティング・システムのコンソール・ポートに接続されます。
セル・ベースのサーバでは,シングル・パーティション・ユーザ・アカウントを使用していない限り,co コマンドを入力すると,利用可能な nPartitions のリストを示すコンソール・メニューがまず表示されます。次に,適切な nPartitions を選択して,その nPartitions の EFI Boot Manager コンソールにアクセスします。コンソール・メニューの例を次に示します (メニューと画面は,システムによって異なります)。
Partitions available:
# Name
--- ----
1) MIA1
2) MIA2
3) TESTING
4) LAN
5) AMYS
6) ACCNTS
Q) Quit
Please select partition number: |
co コマンドで,予期しない画面が表示されたり,内容を判読できない画面が表示された場合は,Enter を押してみてください。EFI メイン・メニューの代わりにサブメニューを使用している場合,サブメニューを終了してメイン・メニューへ戻ってください。
アクセスする nPartitions を決定する方法の詳細は,『HP nPartitions 管理ガイド』(旧称『HP システムパーティション ガイド』) または対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
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EFI の [Boot Configuration] メニューにアクセスします。
EFI Boot Manager の画面にはブート・メニューがあります。
そこでは,次の例のように,省略時のメニュー・オプションが強調表示されています。
EFI のブート・メニューから,[Boot Configuration] オプション (一部のバージョンの EFI では,[Boot option Maintenance Menu]) を選択します。特定のオプションに移動するには,上向き矢印キーまたは下向き矢印キーを使用します。(一部のターミナル・エミュレータでは,スクロール・ダウンに文字 v を,スクロール・アップにはキャレット (^) を使用します。) 選択状態を切り替えるには,Enter キーを押します。
カウントダウン時間内にオプションを選択しないと,EFI は省略時のオプションに移動します。
ブート・メニューの例では,省略時のオプションは EFI Shell であり,この場合 EFI の Shell プロンプトが表示されます。
[Boot Configuration] メニューに戻るには,exit コマンドで EFI Shell を終了します。以前の画面の行が残り,EFI の Shell プロンプトが見えない場合は,Enter を押して,EFI の Shell プロンプトが見えるようにします。
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コンソール入力,コンソール出力,およびコンソール・エラー・デバイスを設定します。 最新の EFI ファームウェアを使用している場合は,[Boot Configuration] メニューから [Console Configuration] オプションを選択し,コンソール入力,コンソール出力,およびコンソール・エラー・デバイスのオプション・リストを表示します。一部のバージョンの EFI では,3 つのコンソール・デバイス・オプションが,直接 [Boot Option Maintenance Menu] にリストされます。各コンソール・オプションを次のように,1 つずつ設定します。
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コンソール入力デバイスを選択します。
EFI は,コンソール入力として利用できるデバイス (デバイス・パス) のリストを表示します。
このリストからデバイスを 1 つだけ選択し,使用しないデバイスは選択解除します。デバイスのリストの例を次に示します。説明は,リストの下に記載してあります。
この例は,エントリ・クラスの Integrity サーバのデバイスです。
セル・ベースのサーバでは,手順や表示が異なります。
コンソールの選択に使用される EFI パスの詳細については,Intel の Web サイトから入手可能な,Intel Extensible Firmware Interface (EFI) のドキュメントを参照してください。
システム・シリアル・ポート | この 4 行は,システム・シリアル・ポートを使用し,コンソールとして定義できる有効なデバイスを示しています。
Uart という表記があり Pci という表記がない行は,システム・シリアル・ポートです。
各行は,VenMsg に続く,VT100 などのターミナル・エミュレーション・プロトコルを示すテキスト以外は同じです。
つまり,この 4 つのエントリは,異なるエミュレーション・プロトコルを使用する,同じデバイスを示しています。 |
MP コンソール | この 4 行は,MP ポートのあるシステムでのみ表示されます。
Uart と Pci の両方がある行は,MP シリアル・ポート・デバイスです。シリアル・ポート・デバイスの場合と同様に,この 4 行は,異なるエミュレーション・プロトコルを使用する,同じデバイスを示しています。 |
VGA デバイス | このデバイスは,グラフィック・コンソール・デバイスです。このデバイスは選択しないでください。
OpenVMS では,Integrity サーバ rx2600 でのブート時のコンソール出力デバイスとして,VGA グラフィックはサポートしていません。 |
ターミナル・エミュレータに合ったプロトコルを使用するデバイスを選択します (多くの場合は,VT100+ が最適な選択肢です)。デバイスの行は,1 行だけ選択してください。複数のデバイスを選択すると,OpenVMS は動作しません。
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設定を NVRAM に保存します。
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コンソール出力デバイスを選択します。 手順 a から手順 b を繰り返して,コンソール出力デバイスを設定します。コンソール入力デバイスとして選択したのと同じデバイスを選択してください。
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コンソール・エラー・デバイスを選択します。 手順 a から手順 b を繰り返して,コンソール・エラー・デバイス (標準エラー・デバイスともいいます) を設定します。コンソール入力デバイスおよびコンソール出力デバイスとして選択したのと同じデバイスを選択してください。
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必要に応じて,コールド・リセットを実行します。 システムによっては,コールド・リセットが必要です。新しいバージョンの EFI は,コールド・リセットを必要としません。詳細は,ハードウェアのドキュメントを参照してください。
この時点で,OpenVMS Integrity DVD をブートして,システム・ディスクにオペレーティング・システムをインストールできます。第3章 「OpenVMS オペレーティング・システムのインストール」 に記載されている手順に従ってください。
EFI は,Integrity サーバ・システムの,オペレーティング・システムとファームウェアの間の基本的なインタフェースであり,Alpha システムの SRM と似ています。EFI にはブート・オプションのメニューが用意されており,またブート・オプションを設定することもできます。EFI は,オペレーティング・システムがブートされていないときにアクセスできます。セル・ベースのサーバでは,EFI は,nPartitions がアクティブ状態で,オペレーティング・システムがブートされていないときに使用できます。各 nPartitions
には専用の EFI インタフェースとシステム・ブート環境があり,オペレーティング・システムをブートする前に nPartitions と対話することができます。
新しい Integrity サーバ・システムの電源を最初にオンにしたとき,一連の診断メッセージが表示された後,[EFI Boot Manager] 画面が表示されます (MP が利用可能な場合は,MP のログイン画面が表示されます)。ただし,出荷時に OpenVMS Integrity オペレーティング・システムがインストールされている Integrity サーバの場合は,OpenVMS Integrity オペレーティング・システムが最初のオプションとなり,自動的にブートします。
EFI Boot Manager メニューからオプションを選択するには,上向き矢印キーまたは下向き矢印キーを使用 (一部のターミナル・エミュレータでは,スクロール・ダウンに文字 v を,スクロール・アップにはキャレット (^) を使用) して項目を強調表示してから,Enter を押し,選択をアクティブにします。EFI を使用すると,Integrity サーバと OpenVMS オペレーティング・システム用にさまざまなオプションを設定できます。
OpenVMS がプリインストールされていないシステムを最初にブートするときは,多くの場合,最初に EFI を使用する必要があります。EFI Shell を選択すると,多数のアクティビティがコンソールに表示された後,EFI の Shell プロンプトがコンソールに表示されます。
EFI の Shell プロンプトが表示されない場合は,Enter を押してください。
(B.3.1 項 「EFI の使用についての一般的な注意」で説明しているように,EFI の Shell プロンプトが変更されていることもあります。)
EFI のブート・メニューには,ブート・オプション・リストが表示されます。ブート・オプション・リストの各項目には,特定のブート・デバイスが示され,またそのデバイスをブートするときに使用する特定のブート・オプションや引数のセットが示されます。ユーザは,ブート・メニューにブート・オプションを追加することができます。
OpenVMS のインストール・プロシージャ (およびアップグレード・プロシージャ) は,新しくインストールされたシステム・ディスクに対するブート・オプションの追加や検証作業を支援します。このプロシージャは OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使用して,ブート・オプションの追加と検証を行います。このユーティリティは,OpenVMS
DCL プロンプトから直接使用できます。EFI を使用するよりも,これらの方法のいずれかを使用してブート・オプションの設定を行ってください。OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティは EFI よりも使いやすく,以下のオプションも含め,関連するオプションの大半を OpenVMS の動作中に設定することができます。
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EFI Boot Manager が認識しているブート・オプションを表示する。
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EFI Boot Manager にブート・オプションを追加し,システムの電源がオンになったときやリブート時に,自動的にシステム・ディスクからブートするようにする。
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EFI Boot Manager のリストにあるブート・オプションを削除するか,位置を変更する。
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自動ブートを開始するまでのカウントダウン時間を変更する。
大半のデバイスではこのユーティリティの使用は必須ではありませんが,Fibre Channel デバイスのブート・オプションの設定には使用しなければなりません。ブート・リストおよびダンプ・デバイス・リストにマルチ・メンバ・シャドウ・セットのメンバを追加するときは,このユーティリティを使用してください (すべてのメンバを両方のリストに追加してください)。
このユーティリティの使用方法については,B.5 項 「Integrity サーバでの OpenVMS のブートの設定と管理」を参照してください。
このユーティリティを使用して Fibre Channel デバイスを設定する方法については,付録 E 「Fibre Channel ストレージ・デバイスのセットアップとブート」 を参照してください。
OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用してブート・オプションを表示する方法については,B.5.2.2 項 「EFI のブート・エントリと,マッピングされている OpenVMS デバイスの表示」を参照してください。
一時停止の時間長を設定する方法については,B.5.2.3 項 「EFI ブート・オプションのカウントダウン・タイマ (タイムアウト) の設定」を参照してください。
OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティでは,DOSD (Dump Off the System Disk) デバイスおよびデバッグ・デバイスを設定することもできます。詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』 を参照してください。
B.3.1 EFI の使用についての一般的な注意 |
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以下の事項に注意してください。
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セル・ベースのサーバでの EFI の使用
nPartitions をサポートしている Integrity サーバでは,nPartitions ごとに専用の EFI インタフェースが存在します。適切な nPartitions コンソールにアクセスしていることを確認してください。
どの nPartitions EFI インタフェースを使用しているかを調べるには,EFI の Shell プロンプトで info sys コマンドを実行します。このコマンドにより,ローカル nPartitions 番号と,アクティブなセルについての詳細が表示されます。プロセッサの詳細を確認するには,info cpu コマンドを使用してください。
(『HP nPartitions 管理ガイド』(旧称『HP システムパーティション ガイド』) に記載されているように,MP を使用して,使用中の nPartitions についての情報を得ることもできます。)
MP コンソール・インタフェースを使用して,任意の nPartitions の EFI コンソールにアクセスすることができます。EFI (または OpenVMS セッション) から MP インタフェースに切り替えるには,Ctrl/B を押します。プロンプトが表示されたら,MP にログインします。その後,利用可能なすべての nPartitions の名前がメニューに表示されます。このリストから,アクセスする nPartitions を選択します。nPartitions コンソールの書き込みアクセス権を得るには,Ctrl/E を押してから,文字 cf を入力します。MP の pd コマンドを使用すると,MP ログインでの省略時の nPartitions を設定できます。これにより,目的の nPartitions に確実に移動できます (たとえば,他の人が利用している nPartitions を誤って再設定するのを防止できます)。
EFI コンソールに戻る (OpenVMS がブートしていないとき) には,MP> プロンプトで co コマンドを入力します。
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EFI ファイル・システム・ディレクトリのナビゲート
別のファイル・システムに切り替えるには,ファイル・システム名を入力します。次の例は,現在の位置 (EFI Shell の最上位レベル) から fs3: へ切り替える方法を示しています。
プロンプトが fs3:\ になったことに注意してください。
EFI の Shell プロンプトは,現在アクセスしているファイル・システムを反映して変わります。
システムをリセットすると,再度プロンプト Shell が表示されます。
また,サーバのハードウェアを変更した後に再マッピングが行われると,ファイル・システムの番号が変わることがあります (たとえば,サーバに I/O ドライブを追加した後に,nPartitions をブートするか,map -r コマンドを実行したとき)。
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EFI ファイル・システムのファイル構造:
fs ディスクのファイル構造は MS-DOS のファイル構造と同じで,この構造内を移動するためのコマンドは,MS-DOS のコマンドと似ています。たとえば,ディスク fs0: 上のディレクトリ efi に移動するには,次のように cd コマンドを入力します。
efi ディレクトリの内容を表示するには,dir コマンドを使用します。
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OpenVMS 用の EFI コマンド
EFI の Shell プロンプトから OpenVMS 用に実行した大半のコマンドは,システム・ディスクに関連するファイル・システム上の \efi\vms から実行されます。このようなコマンドは,コマンド名の前にパス \efi\vms を付加することで,最上位レベルから直接入力することができます。または,あらかじめ \efi\vms に移動してから,パス指定なしでコマンドを入力します。以下の最初の例は,最上位レベルからのコマンドの入力方法を示しています。2 番目の例は,\efi\vms に移動してからコマンドを実行する方法を示しています。vms_show コマンドは,EFI がマッピングしたデバイスに相当する OpenVMS デバイス名を表示します。また,vms_set コマンドでは,デバッグ・デバイスやダンプ・デバイスを設定できます。EFI Utilities for OpenVMS と呼ばれる,OpenVMS 用のこれらの EFI コマンドは,オペレーティング・システムが動作していない場合にのみ使用できます。オペレーティング・システムの動作中に EFI にマッピングされているデバイスの表示や設定を行うには,B.5 項 「Integrity サーバでの OpenVMS のブートの設定と管理」で説明されているように,OpenVMS Integrity Boot Manager
ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使用します。EFI Utilities for OpenVMS は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』 で説明されています。
例 1 ― 最上位レベルからの実行
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fs0:\> \efi\vms\vms_show device
.
.
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fs0:\> \efi\vms\vms_set dump_dev dga3730 |
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例 2 ― \efi\vms に移動してからの実行
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fs0:\> cd \efi\vms
fs0:\efi\vms> vms_show device
.
.
.
fs0:\efi\vms> vms_set dump_dev dga3730 |
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EFI 別名:
EFI コマンドに対して覚えやすい別名を定義することができます。たとえば,ls コマンドに対して別名 dir を定義するには,次のように alias コマンドを使用します。
fs0: から OpenVMS をブートするコマンドの別名を定義するには,次のコマンドを入力します。
fs0:\> alias bvms "fs0:\efi\vms\vms_loader.efi" |
現在定義されている別名のリストを表示するには,alias コマンドを入力します。
fs0:\> alias
dir : ls
bvms : fs0:\efi\vms\vms_loader.efi |
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ブート・デバイス・リスト
システムで EFI をブートした後に行ったストレージ構成の変更 (DVD リムーバブル・ドライブへの DVD の挿入,ストレージ・エンクロージャへの SCSI ドライブの追加など) は,EFI Shell 環境によって自動的に検出されません。EFI Shell にデバイスを認識させるためには,デバイス・ドライバを再接続しなければなりません。(セル・ベースのサーバでは,EFI の search コマンドを使用します。他のサーバでは,EFI
の reconnect コマンドを使用します。)
EFI のシェル環境では,認識されたファイル・システムをサポートするすべてのデバイス・ハンドルに対して省略時のマッピングが作成されます。システムの構成を変更したり,新しいデバイスを追加した後は,これらのマッピングを再生成しなければなりません。デバイスの再接続と,マッピングの再生成については,B.6.2.1 項 「EFI を使用して DVD をブートする代替の方法」,使用しているハードウェアのドキュメント,またはこの項の最後に記載されている Web サイトを参照してください。
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EFI と MP の間の移動
MP インタフェースから EFI に移動するには,MP> プロンプトで co (Console) を入力します。コマンド・モード (MP:CM> プロンプト) の場合は,はじめに Ctrl/B を押して,MP> プロンプトに戻ります。
MP から EFI へ移動する場合,EFI のメイン・メニューにいることを確認してください。サブ・メニューにいる場合,メイン・メニューへ戻るまでサブ・メニューの終了を繰り返してください。
EFI から MP に移動するには,Ctrl/B を押します (MP が存在し,設定が行われていることが前提です)。
EFI の使用についての詳細は,Integrity サーバに付属のドキュメントを参照してください。
Intel Itanium Dual-Core プロセッサが搭載されているシステムでは,ハイパースレッド機能をサポートすることができます。ハイパースレッド機能を使用すると,プロセッサに対して,処理をより効率的にする追加の論理 CPU を作成できます。たとえば,ハイパースレッド機能がアクティブなデュアル・コア・プロセッサでは,論理 CPU が 4 つ (各コアに 2 つ) 提供されます。ハイパースレッド機能の性能への効果は,システム上で実行されているアプリケーションに大きく左右されます。ハイパースレッド機能を無効化した状態で起動し,必要に応じて後で試すことをお勧めします。
プロセッサがハイパースレッド機能をサポートしているシステムでは,ハイパースレッド機能を有効または無効にできます。システムのハイパースレッド機能の状態を表示するには,EFI の info cpu コマンドまたは cpuconfig コマンドを使用します (「CPU スレッド」がオンかオフかが表示されます)。例を次に示します。
Shell> cpuconfig
PROCESSOR MODULE INFORMATION
# of L3 L4 Family/
CPU Logical Cache Cache Model Processor
Module CPUs Speed Size Size (hex.) Rev State
----- ------- ------ ------ ------ --------- --- -----
0 4 1.4 GHz 6 MB None 20/00 CO Active
CPU threads are turned on. |
ハイパースレッド機能を有効または無効にするには,EFI の cpuconfig threads on コマンド,または cpuconfig threads off コマンドを使用します。詳細は,EFI の Shell プロンプト で help cpuconfig を入力するか,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。Partition Manager の最新リリースも,ハイパースレッド機能をサポートしています。
ハイパースレッド機能を有効または無効にした後,その変更を有効にするには,システムをリセットしなければなりません。EFI Shell の reset コマンドを使用します。ハイパースレッド機能が有効な場合は,システムをリブートしてもアクティブなままです。
ここでは,Integrity サーバのブート動作の設定方法および管理方法について説明します。EFI Boot Manager を使用する (オペレーティング・システムが動作していないとき) か,OpenVMS Integrity Boot Manager を使用して (オペレーティング・システムが動作しているとき) ブート・オプションを設定することができます。後者を使用することをお勧めします。
1 つのオペレーティング・システムに,複数のブート・エントリを設定することができます。複数のオペレーティング・システムを実行しているセル・ベースの Integrity サーバでは,現在インストールされているすべてのオペレーティング・システムに対するブート・オプションを設定できます。セル・ベースのサーバでは,各 nPartitions に,そのパーティションに固有の EFI のローカル・インスタンスがあります。各パーティションは,システム内の他の nPartitions とは無関係にブートや停止ができ,各パーティションでは,そのパーティション専用のオペレーティング・システム・イメージが実行されます。
セル・ベースのサーバでは,オペレーティング・システムを正常にブートするためには,まず B.5.1 項 「nPartitions 内の OpenVMS をブートするための ACPI 設定の確認」に説明されているように,ブートするオペレーティング・システムの ACPI 設定が正しいか確認しなければなりません。各 nPartitions には,それ専用の ACPI 設定値があります。
Integrity サーバの初期設定を完了した直後の場合は,続行する前に以下の手順を実行してください。
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サーバのハードウェア・ドキュメントに説明されているとおりに,サーバ・システムの電源をオンにします。フロント・パネルの電源ボタンを使用する場合は,1 度だけ押してください。
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セル・ベースのサーバの場合は,ACPI の設定が OpenVMS オペレーティング・システム用として正しいか確認します。詳細は,B.5.1 項 「nPartitions 内の OpenVMS をブートするための ACPI 設定の確認」を参照してください。
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EFI Boot Manager のメニューで,[EFI Shell [Built-in]] オプションを選択します。OpenVMS Integrity システムは,手動でブートすることもできますし,EFI Boot Manager のメニューに新しいエントリを追加することにより,Integrity サーバの電源を入れたりリブートしたときに自動的にシステムがブートされるように設定することもできます。
ここでは,以下の事項について説明します。
B.5.1 nPartitions 内の OpenVMS をブートするための ACPI 設定の確認 |
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セル・ベースのサーバ上の OpenVMS Integrity オペレーティング・システムをブートするためには,ACPI の設定が正しく設定されていなければなりません。ACPI の設定値は特に,デバイスを参照するときに使用する EFI パス・フォーマットを決定します。工場インストールの Integrity サーバの場合,ACPI 構成は正しく設定されています。OpenVMS システムをブートする nPartitions でそれまで Windows システムまたは Linux システムが動作していた場合は,EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力して,パーティションが OpenVMS で正しくブートするように設定します。
この新しい値を有効にするためには,EFI Shell の reset コマンドを使用して,nPartitions をリセットしなければなりません。
ACPI の設定値が適切に設定されていない場合,オペレーティング・システムをブートすると,バグチェック・コード INCONSTATE で処理に失敗します。
nPartitions をサポートしない Integrity サーバ (たとえば,rx2600 サーバ) では,ACPI の設定値を変更することはできません。
現在の設定値を表示するには,引数なしで acpiconfig コマンドを入力します。
EFI> acpiconfig
Acpiconfig settings: default |
B.5.2 システム・ディスクのブート・オプションの設定 |
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次の 3 つの方法のいずれかで,システム・ディスクのブート・オプションを設定したり操作することができます。
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インストールまたはアップグレード中に,OpenVMS Integrity インストールおよびアップグレード・プロシージャが,自動的にシステム・ディスクの EFI ブート・オプションを設定する。
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オペレーティング・システムの動作中に,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使用する。
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EFI を使用する (システム・ディスクの作成またはアップデート後で,オペレーティング・システムが動作していない場合のみ)。
OpenVMS Integrity インストールおよびアップグレード・プロシージャに,システム・ディスクのブート・オプションを設定させることをお勧めします。ただし,この方法を使用した場合でも,OpenVMS DCL プロンプトから OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用 (または EFI 自体を使用) することで,ブート・オプションを変更したり,システム・ディスクに他のブート・オプションを追加することができます。
OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティはメニュー・ベースのユーティリティであり,Integrity サーバの EFI ブート・オプションを構成することができます。このユーティリティは,EFI よりも容易に使用できます。この OpenVMS ユーティリティを使用すると,以下のような操作を実行できます。
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システム・ディスクを EFI ブート・オプションとして追加する (ハードウェアのスタートアップおよびリブートで自動的にブートするように設定することもできます)。
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EFI Boot Manager メニューのブート・オプションを追加,移動,および削除する。
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EFI ブート・カウントダウン・タイマ (タイムアウト) を有効または無効にしたり,カウントダウン値を設定する。
この項では,これらの操作の大半 (ブート・オプションの移動と削除を除く) の実行方法について説明します。OpenVMS Boot Manager ユーティリティについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。ここでは,EFI を使用して自動ブート用のブート・オプションを追加する方法についても説明します。
システムに,システム・ディスクのブート・オプションを構成することをお勧めします。システム・ディスクの自動リブートは,システム・ディスクを
EFI Boot Manager メニューの 1 番目のブート・オプションとして指定すると有効になります。
EFI タイムアウト (カウントダウン) が発生すると,自動的にシステム・ディスクからブートします。
B.5.2.1 ブート・オプションの追加とブート・フラグの設定
OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用してブート・オプションを追加し,ブート・フラグを設定するには,以下の手順に従います。
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DCL プロンプトで次のコマンドを入力して,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを起動します。
$ @SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM |
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ユーティリティが起動されると,メイン・メニューが表示されます。システム・ディスクをブート・オプションとして追加するには,次の例のように,プロンプトで 1 を入力します。
OpenVMS I64 Boot Manager Boot Options List Management Utility
(1) ADD an entry to the Boot Options list
(2) DISPLAY the Boot Options list
(3) REMOVE an entry from the Boot Options list
(4) MOVE the position of an entry in the Boot Options list
(5) VALIDATE boot options and fix them as necessary
(6) Modify Boot Options TIMEOUT setting
(B) Set to operate on the Boot Device Options list
(D) Set to operate on the Dump Device Options list
(G) Set to operate on the Debug Device Options list
(E) EXIT from the Boot Manager utility
You can also enter Ctrl-Y at any time to abort this utility
Enter your choice: 1 |
-
ユーティリティは,デバイス名の入力を求めます。このインストールで使用するシステム・ディスク・デバイスを入力します。次の例では,デバイス名は DKA0: です。
Enter the device name (enter "?" for a list of devices): DKA0: |
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ユーティリティは,EFI ブート・オプション・リストのどの位置にエントリを置くか,入力を求めます。現在のブート・オプションのリストを表示するには,疑問符 (?) を入力します。
Enter the desired position number (1,2,3,,,) of the entry.
To display the Boot Options list, enter "?" and press Return.
Position [1]: ? |
-
次の例のブート・オプション・リストでは,ブート・オプションは 1 つだけです。サーバの起動時や,EFI カウントダウン・タイマのタイムアウト時に自動的にシステム・ディスクからブートされるように,ブート・オプション・エントリをリストの先頭に追加するには,1 (省略時の値) を入力します。
EFI Boot Options list: Timeout = 0 secs.
-----------------------------------------------------------------
01. VenHw(d65a6b8c-71e5-4df0-d2f009a9) "EFI Shell [Built-in]"
-----------------------------------------------------------------
1 entries found.
Enter the desired position number (1,2,3,...) of the entry.
To display the Boot Options list, enter "?" and press Return.
Position [1]: 1 |
-
ユーティリティは,OpenVMS ブート・フラグの入力を求めます。特に指定しなければ,フラグは設定されません。OpenVMS フラグ (たとえば,0,1) を入力するか,次の例のように Enter を押してフラグなしを設定します。
Enter the value for VMS_FLAGS in the form n,n.
VMS_FLAGS [NONE]: |
オプションとして,次のような,標準の OpenVMS ブート・フラグのいずれかを使用することもできます。
フラグ | 説明 |
---|
0,1 | SYSBOOT のシステム・パラメータ変更を可能にする。デバッグ目的で,対話型ブートを有効にする。 |
0,2 | XDELTA をロードする。 |
0,4 | EXEC_INIT の初期ブレークポイントを取り込む。 |
0,20000 | ブート時にデバッグ・メッセージを表示する。 |
0,30000 | ブート時に詳細なデバッグ・メッセージを表示する。 |
-
ユーティリティは,ブート・オプション・エントリに含める説明の入力を求めます。特に指定しなければ,デバイス名が説明として使用されます。次の例のように,より分かりやすい情報を入力することもできます。この例では,確認メッセージのサンプルを示しています (Fibre Channel デバイスなどの,マルチ・パスのデバイスでは,パスごとに個別の確認メッセージが表示されます)。EFI$BCFG は,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティが使用している実行ファイル名です。
Enter a short description (do not include quotation marks).
Description ["DKA0"]: DKA0: OpenVMS V8.4 for PLMs System
efi$bcfg: DKA0: (BOOT003) Option successfully added |
-
ブート・オプションの追加に成功したら,プロンプトで E を入力して,ユーティリティを終了します。
B.5.2.1.1 EFI による,システム・ディスクからの自動ブートの設定
OpenVMS インストール/アップグレード・プロシージャでシステム・ディスクからの自動ブートを設定することをお勧めします。または,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使用してください。ただし,ユーザが EFI を使用して設定することもできます。ここでは,EFI を使用して,Integrity サーバ・ファームウェアがシステム・ディスクから OpenVMS Integrity システムを自動的にブートするように設定する方法について説明します。(OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用して,ブート・フラグを設定することをお勧めします。オプションとして,前の項ですでに説明したように,EFI のプロンプトで vms_loader.efi
-flags n,n コマンドを使用して,OpenVMS 標準ブート・フラグを設定することもできます。)
EFI Shell にアクセスし,プロンプトで次の行を入力します。fsn: (fs0: や fs1: など) は,システム・ディスクに対応するデバイスです。
Shell> bcfg boot add 1 fsn:\efi\vms\vms_loader.efi "HP OpenVMS I64" |
このコマンドは,OpenVMS Integrity オペレーティング・システムを,EFI Boot Manager メニューの位置 1 に追加します。コマンド行の,引用符で囲まれたテキスト (“HP OpenVMS I64”) が,EFI のブート・メニューの位置 1 に表示されます。オペレーティング・システム・ディスクの識別に役立つテキストを入力できます。
システムの電源オン時には,カウントダウン時間を経過すると,位置 1 にある項目が自動的に実行されます。
または,EFI のメニュー・インタフェースを使用して,以下の手順で EFI のブート・メニューのオプションを追加することができます。
-
[Boot Configuration] オプション (EFI のバージョンによっては,[Boot Option Maintenance Menu]) を選択します。
-
[Add a Boot Option] を選択します。
-
ブート・デバイスとブート・ファイルを選択します。
ブート・エントリを EFI Boot Manager メニューに追加する別の方法として,EFI Utilities for OpenVMS (Integrity のみ) の vms_bcfg コマンドを使用する方法もあります。このコマンドは,OpenVMS デバイス名を受け付け,フラグを設定することもできます。ただし,このコマンドの機能は限定されています。たとえば,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティであれば可能な,Fibre Channel パスを処理することができません。次の例では,DKA0: は,1 番目のブート・オプションとして追加される OpenVMS システム・ディスクです。
Shell> \efi\vms\vms_bcfg boot add 1 dka0: -fl 0,2 "HP OpenVMS I64" |
EFI Utilities for OpenVMS についての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
B.5.2.2 EFI のブート・エントリと,マッピングされている OpenVMS デバイスの表示
Integrity サーバの EFI Boot Manager は,ブート・デバイスへのさまざまなパスを表示します。OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用すると,EFI が認識している OpenVMS ブート・デバイス・オプションを表示できます。
DCL プロンプトでユーティリティを起動し (@SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM),メイン・メニューからオプション 2 を選択します (メイン・メニューについては,B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」を参照してください)。このユーティリティは,次のプロンプトを表示します。この例では,DQA0: デバイスのリストを要求し,それが表示されています。
To display all entries in the Boot Options list, press Return.
To display specific entries, enter the entry number or device name.
(Enter "?" for a list of devices): DQA0
EFI Boot Options list: Timeout = 20 secs.
----------------------------------------------------------------------------
04. DQA0 PCI(0|0|2|0) ATA(Primary,Master) "DVD-ROM "
----------------------------------------------------------------------------
1 entries found. |
また,EFI の Shell プロンプトで (\efi\vms から) EFI Utilities for OpenVMS の vms_show コマンドを使用すると,EFI コンソールによってマッピングされたすべてのブート可能デバイスや,それらと同等の OpenVMS デバイス名を表示することができます。EFI Utilities for OpenVMS についての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
B.5.2.3 EFI ブート・オプションのカウントダウン・タイマ (タイムアウト) の設定
EFI Boot Manager メニューが表示されると,EFI はオプションの選択待ちとなります。
この待ち時間は,EFI カウントダウン・タイマの現在の設定により異なります。
一部のサーバでは,このカウントダウン・タイマが省略時の設定で 10 秒になっています。
Server Blades などの他のサーバでは,この値より短いことがあります。
タイムアウトが発生すると,EFI は 1 番目のブート・オプションをブートします。
1 番目のオプションが利用できないか,ブートできない場合,EFI は同じ時間待ってから,リスト内の次のオプションをブートします。
OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使用すると,タイムアウト値を変更することができます。
また,カウントダウンを無効にしたり
(つまり,待ち時間なし),有効にすることもできます。
OpenVMS Integrity Boot Options のメイン・メニューから,オプション 6 を選択します (メイン・メニューについては,B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」を参照してください)。このユーティリティは,以下のプロンプトを表示します。この値を変更するには,YES と入力してから,新しい値を入力します。この例では,タイムアウト値が 20 秒に変更されています。
efi$bcfg: Boot Timeout period is 10 secs
Would you like to modify the Timeout value? (Yes/No) [NO] YES
Please enter the Timeout value in seconds: 20
efi$bcfg: Boot Timeout period is 20 secs |
自動ブートがすぐに実行されるようにタイマを無効にするには,次の例のように,値として 0 を入力します。
Please enter the Timeout value in seconds: 0
efi$bcfg: Boot Timeout is Disabled |
ハイパースレッド機能の設定など,Intel Itanium Dual-Core プロセッサでサポートされている EFI 設定のなかには,失われると復元できないものがあります。
システムのハードウェアやファームウェアの障害により失われる場合に備えて,カスタマイズした EFI 設定を書きとめておいてください。ハイパースレッド機能の設定など,現在の設定を表示するには,EFI の info cpu コマンドまたは cpuconfig コマンドを使用します。
ブート・オプションは,ファームウェアのアップグレード時に失われた場合などに,復元が必要になることもあります。OpenVMS Integrity Boot Manager (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) ユーティリティを使用すると,Integrity サーバ上の EFI ブート・パス設定の保存や復元を行うことができます。また,EFI の variable -s コマンドを使用してブート・オプション変数を保存し,variable -r コマンドを使用してその変数を復元することもできます。variable コマンドを使用してブート・オプションを復元した後は,リセットが必要となることがあります。EFI Shell の reset コマンドを使用してください。
OpenVMS 固有の EFI ユーティリティ vms_bcfg (\efi\vms\vms_bcfg) を使用してブート・オプションを設定し,vms_show ユーティリティ (\efi\vms\vms_show) を使用してその設定内容を表示することができます。ただし,これらのユーティリティは,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティよりも機能が限られています。たとえば,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティであれば可能な,Fibre Channel ブート・パスを扱うことができません。EFI の variable コマンドを使用すると,以前に保存したファイルからブート・オプション・リストを復元することができます。
また,EFI Shell の variable コマンドを使用して,ブート・パス・オプションなどの変数を復元することもできます。まず,variable -save コマンドを使用して,これらの変数を,既知の位置に保存しておかなければなりません。詳細は Integrity サーバのサービス・マニュアルを参照してください。
B.5.3 新しいブート・ブロックの書き込み |
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システム・ディスクのブート・ブロック構造には,ブート・パーティションのサイズおよび位置と,OpenVMS Integrity のブートストラップに関連するその他の詳細情報が格納されています。ブート・ブロック構造内に格納されているブート・パーティションのサイズと位置は,維持されていなければならず,OpenVMS の SYS$EFI.SYS ファイルの現在の位置を指していなければなりません。
現在のバージョンの BACKUP は,イメージ操作の際に,ブート・ブロック構造と,ブート・パーティションのサイズ・位置を保持します (OpenVMS Alpha ディスク上のブート・ブロックを保持する BACKUP/IMAGE 操作と同じです)。古いバージョンの BACKUP では,これらの構造を保持しないため,コア OpenVMS Integrity ブートストラップ・ファイルの正しい位置を示しません。
ブート・パーティション・ファイル SYS$EFI.SYS が手動で置き換えられたか,再配置された場合,DCL コマンドの SET BOOTBLOCK または SYS$SETBOOT イメージを使用して,ブート・ブロック構造を再書き込みしなければなりません。SET BOOTBLOCK コマンドと SYS$SETBOOT は,OpenVMS Alpha Writeboot ユーティリティと似ていて,Writeboot ユーティリティが OpenVMS Alpha で提供する機能と同等の機能を OpenVMS Integrity で提供します。
SET BOOTBLOCK コマンドを使用すると,EFI コンソールが OpenVMS Integrity システム・ディスクを見つけブートストラップを実行するために必要な,ブート・ブロック・ポインタを設定できます。ターゲットの OpenVMS Integrity システム・ディスクが,当初,以下の方法のいずれかで作成されている場合は,このコマンドを実行しなければなりません。
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OpenVMS Integrity システム・ディスク構造をサポートしていないバージョンの BACKUP。OpenVMS Integrity システム・ディスクのアーカイブやリストアには,このようなバージョンの BACKUP は使用しないでください。
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OpenVMS Integrity システム・ディスクのノンイメージ・バックアップ (ブート・ブロックやさまざまなディレクトリ・バックリンクが壊れ,手動で設定し直さなければならないことがあります)。ノンイメージ・バックアップは使用しないでください。
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イメージ・セーブ・セットからの,OpenVMS Integrity システム・ディスクのノンイメージ・リストア。ノンイメージ・リストアは使用しないでください。
OpenVMS Integrity システム・ディスク上にブート・ブロック構造を書き込むには,次の形式で,SET BOOTBLOCK コマンドを入力します。
$ SET BOOTBLOCK [/PRESERVE=SIGNATURES] [/I64] [boot-partition-name] |
ブート・パーティションのファイル名 (boot-partition-name) を指定できます。ファイル名やデバイス名を指定しないと,このコマンドは省略時の指定として,ブート・パーティション用に次のファイルを使用します。
SYS$SYSDEVICE:[VMS$COMMON.SYS$LDR]SYS$EFI.SYS
このコマンドは,現在のアーキテクチャも推定します。OpenVMS Integrity を指定するには,コマンド行に /I64 を含めます。
既存の GUID ディスク・シグネチャ値と,関連するルート別名を維持するには,/PRESERVE=SIGNATURES 修飾子を使用します。OpenVMS の Backup ユーティリティでは,ブート可能ディスク・イメージをリストアするときに,新しいディスク・シグネチャが作成されます。
ブート・ブロック構造をリセットした場合は,そのディスクを参照している EFI ブート別名を削除してから,追加し直さなければならないことがあります。EFI の alias コマンドを使用すると,別名の削除および追加を行うことができます。EFI コンソールのブート別名を保守するには,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使用することをお勧めします。
または,次のコマンドを入力して,ブート・ブロックを書き込むことができます。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYS$SETBOOT |
このユーティリティは,必要な入力をユーザに求めます (OpenVMS Alpha Writeboot ユーティリティの操作に似ています)。
B.5.4 Alpha システムのブート・コマンドと,同等の Integrity サーバ・システムのブート・コマンド |
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Integrity サーバでの Extensible Firmware Interface (EFI) は,Alpha プロセッサ上で SRM コンソールが実行する機能の大半と同じ機能を実行します。Alpha ツールを使い慣れている場合は,次の表を使用して,Alpha
システム上で通常使用している,Alpha コマンドと同等の EFI コマンドを見つけてください。ハードウェア・システムによっては,リストされているコマンドの一部が利用できないこともあります。
表 B-1 Alpha コマンドと,同等の Integrity サーバ EFI コマンド
作業: | P00> プロンプトで入力する Alpha SRM コマンド | Shell プロンプトで入力する Integrity サーバ EFI コマンド |
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ヘルプ情報を表示する。 | HELP | help |
最後に初期化されたシステム上で検出されたデバイスのリストとバージョンを表示する。 | SHOW CONFIGURATION または SHOW VERSION | info fw |
ブート可能デバイスやマッピングを含む,システム内のデバイスやコントローラを表示する。 | SHOW DEVICE |
map |
vms_show devices(\efi\vms から)[1] |
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すべてのシステム情報を表示する。 | SHOW FRU | |
メモリ情報を表示する。 | SHOW MEMORY | info mem |
ファイル・システムのボリューム情報を表示する。 | SHOW DEV DKA0 | vol fs0 |
CPU リソースのハードウェア情報を表示する。 | SHOW CONFIGURATION | info cpu |
電源のステータスを表示する。 | SHOW POWER | info all[2] |
システム・ダンプ・ディスクを設定する。 | SET DUMP_DEV disk1, disk2... | vms_set dump_dev disk1, disk2, ... (\efi\vms から)[1] |
ブート・フラグを設定する。 | SET BOOT_OSFLAGS 0,0 | set vms_flags "0,0"[1] |
ブート動作として自動ブートを設定する。 | SET AUTO_ACTION BOOT | bcfg boot add 1 fsx:\efi\vms\vms_loader.efi "I64"[1] |
現在のブート・オプションを変更する。 | SET AUTO_ACTION HALT | bcfg boot mv 1 2[1] |
ここでは,OpenVMS Integrity オペレーティング・システムをブートする各種の方法について説明します。
B.6.1 セル・ベースのサーバでのブートの概要 |
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ここでは,nPartitions ハードウェアのブートと,nPartitions 上での OpenVMS のブートの概要を説明します。
B.6.1.1 nPartitions ハードウェアのブート
各 nPartitions は,専用のファームウェアを実行し,専用のシステム・ブート環境を持っています。同じサーバ・コンプレックス内の他の nPartitions とは無関係に,nPartitions をブートできます。
nPartitions のブート処理には,セル・ブート・フェーズと,nPartitions ブート・フェーズの 2 つのフェーズがあります。これらのフェーズは,ハードウェアのブート処理の一部としてのみ実行され,オペレーティング・システムのブートの一部としては実行されません。
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セル・ブート・フェーズ― このフェーズは,セルの電源が投入されるか,リセットされた場合に発生します。このフェーズでの主な動作は,パワー・オン・セルフ・テストです。このフェーズでは,各セルはコンプレックス内の他のセルとは無関係に動作します。各セルは,検出およびテストするハードウェアの量が異なっていたり,セルのリセットや電源オンの時期が異なっていることがあるため,必ずしも同じペースでこのフェーズを進行しません。
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nPartitions ブート・フェーズ― このフェーズは,セルがセルフ・テストを完了した後,nPartitions がブートされたときに発生します。このフェーズでは,各セルがその nPartitions 内の他のアクティブ・セルと連絡をとり,その後の nPartitions ブート処理で管理責任を持つコア・セルを選択する,「nPartitions のランデブー」が発生します。コア・セル上のプロセッサは,nPartitions EFI システムのブート環境を実行します。オペレーティング・システムのブート処理が開始されると,コア・セルはオペレーティング・システムのローダに制御を渡します。
Virtual Front Panel (VFP) を使用して nPartitions のブート状態をチェックすることで,これらのフェーズの進行状況を表示できます。VFP には,MP のメイン・メニューからアクセスします。
nPartitions ハードウェアのブート方法については,使用しているハードウェアのドキュメントを参照してください。
B.6.1.2 nPartitions での OpenVMS Integrity のブート
OpenVMS をサポートするすべての Integrity サーバでは,EFI Boot Manager からブート・エントリを選択するか,EFI Shell からシステム・ローダ (VMS_LOADER.EFI) を起動することで,OpenVMS Integrity をブートできます。OpenVMS Integrity をブートするには,nPartitions コンソールにアクセスし,次の 2 つの方法のいずれかを使用します。
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EFI Boot Manager で,ブート・オプション・リストから OpenVMS Integrity ブート・エントリを選択し,Enter を押します。
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EFI Shell から,EFI の Shell プロンプトに対して次のコマンドを入力して OpenVMS システム・ローダを起動します。fsn: (fs1: など) は,OpenVMS Integrity システム・ディスクに対応するデバイスです。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi |
VMS_LOADER.EFI システム・ローダを起動する際には,完全パス名を指定する (この例) か,\efi\vms ディレクトリから起動しなければなりません。詳細は,B.3.1 項 「EFI の使用についての一般的な注意」を参照してください。
OpenVMS Integrity OE DVD のブートでは,パス名が異なります。代わりに次のコマンドを入力します。
Shell> fsn:efi\boot\bootia64.efi |
B.6.2 ローカル・ドライブからの OpenVMS Integrity OE DVD のブート |
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OpenVMS Integrity OE DVD からブートするには,次の手順に従います。セル・ベースのサーバで DVD からブートするには,DVD デバイスは,OpenVMS をインストールする nPartitions からアクセス可能でなければなりません。
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Integrity サーバの電源がオンであることを確認します。システムに外部デバイスが接続されている場合は,電源オンであり,動作していることを確認します。
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DVD をドライブに挿入します。
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電源を入れます。
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メインの EFI ブート・メニュー (セル・ベースのサーバの場合は,OpenVMS をブートする nPartitions の EFI ブート・メニュー) で,ブート・オプション・リストから適切な項目を選択します。EFI ブート・メニューは,タイマ付きです。
カウントダウン・タイマを停止するには,任意のキーを押します。
一部のシステムでは,選択するブート・オプションは,[Internal Bootable DVD] オプションです。このオプションが EFI のブート・メニューに表示されない場合,[Boot From a File] メニューに移動して,[Removable Media Boot] オプションを選択します (表示されている場合)。
または,次の例に示すコマンドを入力して,EFI の Shell プロンプトから
DVD ドライブをブートします (セル・ベースのサーバでは,この方法を使用することをお勧めします)。fsn: は,Integrity サーバの DVD ドライブ (fs0: など) を示します。特定のファイル・システムに移動した場合は,EFI の Shell プロンプトはこのファイル・システムを反映して変わります。たとえば,現在のファイル・システムが fs0: の場合,EFI の Shell プロンプトは fs0:> になります。
Shell> fsn:\efi\boot\bootia64.efi |
どのデバイスがブート可能な DVD ドライブであるかを調べるには,マッピングされているデバイスのリストを調べ,次の例にあるように,CDROM という文字列を含む fs デバイスを探します。fsn は,ドライブに関連するファイル・システムで,通常は fs0: です (サーバ・モデルによっては,fsn の代わりに V8.4 などが表示されたり,Ata の代わりに Scsi が表示されることがあります)。
fsn : Acpi(HWP0002,400)/Pci(4|1)/Ata(Primary,Master)/CDROM(Entry0)
各種の EFI デバイス名と OpenVMS デバイス名のマッピングを表示するには,次の例のように,vms_show dev コマンドを使用します。fsn は,チェックするデバイスです (fs0: など)。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_show dev -fs |
vms_show コマンドについての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』 を参照してください。
DVD が正しくブートすると,OpenVMS オペレーティング・システムのバナーが表示されてから,オペレーティング・システムのメニューが表示されます。これで,OpenVMS Integrity オペレーティング・システムを,ターゲット・ディスクにインストールできます。3.4 項 「OpenVMS オペレーティング・システムのインストール (システム・ディスクへ)」 を参照してください。DVD を正しくブートできなかった場合は,B.6.2.1 項 「EFI を使用して DVD をブートする代替の方法」で説明されている,代替のブート方法を使用してください。
B.6.2.1 EFI を使用して DVD をブートする代替の方法
前述の方法で DVD からブートできなかった場合は,次の手順に従ってください。
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EFI が DVD にアクセスできることを確認するために,エントリ・クラスまたはシングル・セルの Integrity サーバの EFI の Shell プロンプトで,次のコマンドを入力します。コマンドは,次に示す順序で入力してください。(EFI の Shell プロンプトは,必ずしもこの例のように Shell> というわけではありません。fs0:> など,現在のファイル・システムを反映したプロンプトとなっていることがあります。)
Shell> reconnect -r
Shell> map -r |
セル・ベースのサーバのマルチ・セル nPartitions では,reconnect -r コマンドの代わりに search all コマンドを実行してから,map -r コマンドを実行します。EFI コマンドについての詳細は,使用しているハードウェアのドキュメントを参照してください。
reconnect -r コマンドは,サーバのブート後に追加されたデバイスを検出します。search all コマンドは,ブート・オプション・リストに入っていなかったデバイスや,コア・セルの I/O シャーシに接続されていたデバイスを含め,すべてのデバイスを検出します。(大規模なサーバ・システムでは,search all コマンドが完了するまでに長時間かかることがあります。セルに接続されている特定の I/O シャーシや,シャーシ内の特定の PCI カードなど,より限定的な検索を指定することで,検索時間を短くできます。詳細は,search コマンドのヘルプを参照してください。)
map -r コマンドは,ブート可能 EFI システム・パーティションがある既知のデバイスの再マッピングを行い,リストを再作成します。セル・ベースのサーバのマルチ・セル nPartitions では,EFI のロード後に DVD を挿入した場合,search コマンドを実行して,挿入された DVD を EFI が検出できるようにしなければなりません。search コマンドを実行しないと,EFI は DVD ドライブ内の DVD を認識しないことがあります。EFI は,有効でブート可能な DVD を DVD ドライブ内に検出すると,fs デバイスをそのドライブにマッピングし,そのデバイスを,map -r コマンドで表示されるマッピング・テーブルのリストに含めます。
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この DVD をブートするには,EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力します。fsn: は,Integrity サーバの DVD ドライブです (fs0: など)。
Shell> fsn:\efi\boot\bootia64.efi |
このコマンドでブートできない場合,またはどのデバイスが DVD ドライブにマッピングされているか分からない場合は,次の手順のように,EFI Boot Manager のメニュー・システムを使用して OE DVD をブートできます。
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メインの EFI ブート・メニューから,[Boot Configuration] オプション (または,EFI のバージョンによっては,[Boot Option Maintenance Menu]) を選択します。
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[Boot Configuration] メニューから,[Boot From a File] オプションを選択します。
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[Boot From a File] メニューから,次の例のように,CDROM という文字列を含むメニュー項目を選択し,Enter を押します。
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次の例の画面のように,DVD の最上位レベルのディレクトリ構造を示す画面が表示されます。efi ディレクトリを選択します。
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次に表示される画面では,次の例のように,最上位レベル下の最初のレベルのサブディレクトリが示されます。ブート・ファイルが置かれている,ブート・ディレクトリを選択します。
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次の画面では,ブート・ディレクトリ内のファイルが表示されます。bootia64.efi という名前のファイルを選択します。
B.6.3 InfoServer からの,OpenVMS Integrity OE DVD のブート |
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OpenVMS Integrity InfoServer ソフトウェアを使用して,ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) 上の仮想 DVD ドライブからブートするには,いくつかの構成手順を (1 回だけ) 実行しなければなりません。ネットワーク・ブートを行う手順については,付録 C 「ネットワーク・ブートの準備と実行」 を参照してください。
B.6.4 HP SIM のプロビジョニングを使用して行う OpenVMS Integrity OE DVD イメージのブート |
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HP SIM のプロビジョニングを使用して OpenVMS OE DVD のイメージをブートする場合は,最初に (1 回だけ) いくつか,構成手順を実行する必要があります。
これらの手順とブート手順については,付録 D 「HP SIM と vMedia による OpenVMS のプロビジョニング」 を参照してください。
アップグレードの場合は,OpenVMS ブート・フラグを (0,0) に設定しておかなければなりません。
B.6.7 ローカル・システム・ディスクからの手動ブート |
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Integrity サーバの EFI コンソールに,OpenVMS Integrity オペレーティング・システム・ディスクのブート・オプションを設定してください。このように設定すると,システム・ディスクからのブートは,EFI Boot Manager のブート・オプション・リストからブート・オプションを選択するだけで実行できます。電源オンやリブートで自動的にブートするように,EFI ブート・オプションを設定することもできます。OpenVMS のインストール/アップグレード・プロシージャでも,システム・ディスクのブート・オプションの追加や検証ができます。また,B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」で説明するように,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM)
を使用することもできます。
以下に,OpenVMS Integrity オペレーティング・システム・ディスクを手動でブートする手順を示します。
OpenVMS システム・ディスクは,vMedia を使用してブートすることもできます。
D.2 項 「HP SIM とは別に単独での vMedia の使用」を参照してください。
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OpenVMS が実行されていない場合は,次の手順に進みます。OpenVMS が実行されている場合は,オペレーティング・システムをシャットダウンして,EFI コンソールにアクセスします (B.7 項 「停止プロシージャとシャットダウン・プロシージャ」の手順を参照)。
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EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力して,システム・ディスクを手動でブートします。fsn: (fs1: など) は,システム・ディスクに対応するデバイスです。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi |
完全パスを指定する (この例) か,\efi\vms ディレクトリからシステム・ローダを起動しなければなりません。詳細は,B.3.1 項 「EFI の使用についての一般的な注意」を参照してください。
B.6.8 対話型ブートの実行 |
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対話型ブートは,研究開発環境や,ソフトウェアのアップグレード中に,最もよく使用されます。処理完了前にブート処理を停止するには,対話型ブートを実行します。ブート処理は,SYS$SYSTEM:SYSBOOT.EXE をロードし,SYSBOOT> プロンプトを表示してから停止します。SYSBOOT> プロンプトでは,個別の OpenVMS System Generation ユーティリティ (SYSGEN) コマンドを入力して,以下の処理を実行することができます。
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-
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別のシステム・スタートアップ・コマンド・プロシージャを指定する。
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ユーザがシステム・パラメータを変更して,システムがブート不能になった場合に,省略時のシステム・パラメータ・ファイル (IA64VMSSYS.PAR) を選択する。
-
対話型ブートを実行する方法は,いくつかあります。次の手順が,最も簡単です。
条件 | 手順の開始位置 |
---|
OpenVMS Integrity オペレーティング・システムが実行されている。 | 手順 1 |
OpenVMS Integrity オペレーティング・システムが実行されていない。 | 手順 4 |
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SYSTEM アカウントにログインします。
-
次のコマンドを入力します。
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システムが表示した質問に答えます。自動リブートを行うかどうかをプロシージャが尋ねたときは,Enter を押して NO と答えます。プロシージャは,完了するときに次のメッセージを表示します。
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システムまたは nPartitions を停止します。(Integrity サーバの停止方法についての詳細は,B.7 項 「停止プロシージャとシャットダウン・プロシージャ」を参照してください。)
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EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力して,対話型ブートを開始します。fsn: は,システム・ディスクに対応するデバイス (fs1: など) です。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 0,1 |
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SYSBOOT> プロンプトでは,表 B-2 「SYSBOOT プロンプトで使用される SYSGEN コマンド」 の任意の SYSGEN コマンドを入力できます。SYSGEN コマンドについての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻)』を参照してください。
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SYSGEN コマンドを使い終わったら,CONTINUE コマンドを入力してブート処理を完了させます。
表 B-2 SYSBOOT プロンプトで使用される SYSGEN コマンド
コマンド | 説明 |
---|
CONTINUE | ブート・プロシージャを再開する。 |
DISABLE CHECKS | SET コマンドで指定されたパラメータ値のチェックを禁止する。 |
ENABLE CHECKS | SET コマンドで指定されたパラメータ値のチェックを許可する。 |
HELP | SYSBOOT コマンドの要約を,ターミナルの画面上に表示する。 |
SET parameter-name | システム・パラメータの値を設定する。 |
SET/STARTUP | システム・スタートアップ・コマンド・プロシージャの名前を設定する。 |
SHOW [parameter] | 特定のパラメータのアクティブな値,現在の値,省略時の値,最大の値,最小の値を表示する。(カテゴリ別のパラメータの特性を表示するには,修飾子を使用する。) |
USE [file-spec] | 値のソースとして使用されるパラメータ・ファイルを指定する。デバイス名やディレクトリを含む,ファイル指定全体を入力しなければならない。論理名は指定できない。 |
USE DEFAULT | すべてのパラメータで省略時の値を使用することを指定する。 |
対話型ブートの例については,B.6.9 項 「ミニマム・スタートアップでのブート」と B.6.12 項 「緊急ブート」を参照してください。
B.6.9 ミニマム・スタートアップでのブート |
|
場合によっては,スタートアップ処理のシーケンスを完全には実行せずにシステムをブートしたいこともあります。たとえば,スタートアップ処理が原因でログインができないときに,ログインして問題を修正できるように,スタートアップ処理を実行せずにシステムをブートしたい場合が考えられます。対話型ブートを使用して,ミニマム・スタートアップを指定できます。
以下の手順で,システムをミニマム・スタートアップでブートします。
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EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力し,対話型ブートを開始します。fsn: はシステム・ディスクに対応するデバイス (fs1: など) で,システム・ルートは [SYS0...] です。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 0,1 |
-
次のコマンドを入力します。
SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN" |
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次のコマンドを入力して,手順 2 で変更した STARTUP_P1 パラメータを,今後のシステム・リブート用にオペレーティング・システムが記録することがないようにします。
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0 |
-
次のコマンドを入力して,ブートを続行します。
B.6.10 XDelta ユーティリティ (XDELTA) によるブート |
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XDelta ユーティリティ (XDELTA) は,システム・プログラマが使用するデバッグ・ツールです。XDELTA によるブート手順は,すべての Integrity サーバで同じです。
XDELTA によるブート時に指定できる有効なフラグ値を,次の表に示します。
フラグ値 | システムの応答 |
---|
0 | 通常のノンストップ・ブート (省略時の値)。 |
1 | 対話型ブートを開始して,SYSBOOT プロンプトを表示する。 |
2 | XDELTA を含めるが,初期ブレークポイントは取り入れない。 |
3 | SYSBOOT プロンプトを表示し,XDELTA を含めるが,初期ブレークポイントは取り入れない。 |
6 | XDELTA を含め,初期ブレークポイントを取り入れる。 |
7 | XDELTA を含め,SYSBOOT プロンプトを表示し,システムの初期化時に初期ブレークポイントを取り入れる。 |
EFI> プロンプトで,XDELTA 付きで fs1: からブートする例を,次に示します。
EFI> fs1:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 0,7 |
XDELTA の使用方法についての詳細は,『HP OpenVMS Delta/XDelta Debugger Manual』を参照してください。
B.6.11 別のルート・ディレクトリからのブート |
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省略時の設定では,OpenVMS Integrity オペレーティング・システムは,システム・ルート・ディレクトリ [SYS0] にインストールされます。
ただし,クラスタ・システム・ディスクを作成した場合は,SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG_LAN.COM プロシージャを使用して,オペレーティング・システムのコピーを別のルート・ディレクトリに追加することができます。
(SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG_LAN.COM プロシージャの使用方法についての詳細は,『HP OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。)
別のルート (たとえば,[SYS3]) からブートするには,EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力します。fsn: (fs1: など) は,システム・ディスクに対応するデバイスです。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 3,0 |
B.6.12 緊急ブート |
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システムの障害によりシステムがブートしない場合は,緊急ブート操作を行わなければならないことがあります。表 B-3 「緊急ブート・プロシージャ」 に,緊急ブート操作の概要を示します。また以降の項で,各ブート操作について詳細に説明します。
表 B-3 緊急ブート・プロシージャ
操作 | 使用するケース |
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省略時のシステム・パラメータでのブート | パラメータ・ファイル内のパラメータ値を変更したためにシステムがブートできなくなった場合。 |
スタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャなしのブート | スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャでのエラーによりログインができない場合。 |
利用者登録ファイルなしでのブート | パスワードを忘れたために,特権アカウントにログインできない場合。 |
B.6.12.1 省略時のシステム・パラメータでのブート
パラメータ・ファイルに格納されている現在の値が不正な値に変更された場合,この不正な値によってシステムがブートしなくなることがあります。対話型ブート操作を使用すると,すべてのシステム・パラメータのアクティブな値を,省略時の値にリセットできます。(多くの場合は,AUTOGEN を使用してシステム・パラメータを変更することをお勧めします。ただし,場合によっては対話型ブートを使用して,パラメータ値を一時的に変更することができます。パラメータ値を恒久的に変更するには,MODPARAMS.DAT を編集して,AUTOGEN を実行しなければなりません。手順については,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。) 省略時の値を使用するとシステムを一時的にブートできるため,問題を修正することができます。
この作業の実行方法
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EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力して,対話型ブートを開始します。fsn: (fs1: など) は,システム・ディスクに対応するデバイスです。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 0,1 |
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SYSBOOT> プロンプトで,次のコマンドを入力します。
USE DEFAULT コマンドは,すべてのパラメータについて省略時の値を使用することを指定します。
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これらのパラメータ用にチューニングされていないため,システムをハングアップさせる可能性がある,システム上のすべてのレイヤード・プロダクトが起動されるのを避けるには,STARTUP_P1 システム・パラメータを次のように設定します。
SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN" |
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次のコマンドを入力して,手順 3 で変更した STARTUP_P1 パラメータを,今後のシステム・リブート用にオペレーティング・システムが記録することがないようにします。
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0 |
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次のコマンドを入力して,ブートを続行します。
-
システムのブートが完了したら,変更したどのパラメータによって問題が発生したかを調べ,そのパラメータ値を設定し直します。AUTOGEN のパラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT でパラメータ値を指定した場合は,このファイル内の値を修正し,AUTOGEN を実行します。詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
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少なくとも 24 時間システムが動作してから,AUTOGEN をフィードバック・モードで実行し,7.24 項 「AUTOGEN によるシステムの調整」 の手順に従います。
推奨されているように,AGEN$PARAMS.REPORT を調べてください。
必要に応じて,7.25 項 「システム・パラメータの変更」 に説明されているように,システム・パラメータを変更します。
サポートが必要であれば,ソフトウェア・サポート担当までご連絡ください。
問題が解決し,AUTOGEN が SETPARAMS フェーズを通過したら,システムをリブートします。
例
SYSBOOT> USE DEFAULT
SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
Username: SYSTEM
Password:
$ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
.
.
.
[Insert line(s) to reset parameter value(s)]
.
.
. |
B.6.12.2 スタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャなしでのブート
システムでスタートアップ・プロシージャが完了しないか,ログインができない場合,スタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャを省略しなければならないことがあります。弊社が用意したスタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャは,必ず動作します。しかし,スタートアップ・プロシージャやログイン・プロシージャを変更したときに誤りがあると,システムにログインできなくなってしまうことがあります。
この作業の実行方法
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EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力して,対話型ブートを開始します。fsn: (fs1: など) は,システム・ディスクに対応するデバイスです。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 0,1 |
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SYSBOOT> プロンプトで,次のコマンドを入力します。
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0: |
-
次のコマンドを入力して,手順 2 で変更した STARTUP_P1 パラメータを,今後のシステム・リブート用にオペレーティング・システムが記録することがないようにします。
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0 |
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次のコマンドを入力して,ブートを続行します。
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システムがブートされると,オペレータのコンソールに DCL コマンド・プロンプト ($) が表示されます。これでログインできます。
-
次の 2 つの DCL コマンドを入力します。
SPAWN コマンドにより,コンソールの接続が維持されるようになり,2 番目のコマンドで,エラーが発生しても無視するようにオペレーティング・システムに指示します。これらのコマンドを入力しないと,エラーが発生したときに,システムによって強制的にログアウトされます。SPAWN コマンドを実行しないと,手順 8 でスタートアップ・プロシージャが完了したときに,ログアウトしてしまいます。
-
ログイン失敗の原因となっているエラー状態を修正します。(つまり,必要な修正を,スタートアップ・プロシージャ,ログイン・プロシージャ,または SYSUAF.DAT ファイルに行います。)
テキスト・エディタを起動し,スタートアップ・ファイルまたはログイン・ファイルを修正します。システムのディスプレイによっては,スクリーン・モード・エディタをサポートしていないことがあります。また,RENAME コマンドと DELETE コマンドを使用して,正しいファイルをコピーし,誤りのあるバージョンを削除することもできます。
-
次のコマンドを入力して,通常のスタートアップを実行します。
例
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
$ SPAWN
$ SET NOON
$ SET DEFAULT SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP |
B.6.12.3 利用者登録ファイルなしでのブート
通常は,弊社が用意したスタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャは動作します。しかし,何らかの問題に遭遇することもあります。システムにログインできなくなる単純なケースとして,ログイン・アカウントにパスワードを設定し,そのパスワードを忘れてしまった場合があります。システムにログインできなくなる別のケースとしては,1 つ以上のコア・システム Product Authorization Key (PAK) ソフトウェア・ライセンスが利用できないか,期限切れとなっている場合があります。このような緊急時には,この項の手順に従い,対話型の緊急ブートを実行します。
この作業の実行方法
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システムまたは nPartitions を停止します。(Integrity サーバの停止方法についての詳細は,B.7 項 「停止プロシージャとシャットダウン・プロシージャ」を参照してください。)
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EFI の Shell プロンプトで次のコマンドを入力して,対話型ブートを開始します。fsn: (fs1: など) は,システム・ディスクに対応するデバイス (fs1: など) です。
Shell> fsn:\efi\vms\vms_loader.efi -flags 0,1 |
コンソールにログインするためには,ハードウェア・システムのパスワードが必要です。省略時の設定では,ユーザ名とパスワードの両方に Admin が設定されています。このパスワードが分からない場合は,弊社のカスタマ・サポートにご連絡いただき,ハードウェア・コンソールのパスワードをリセットしてください。
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SYSBOOT> プロンプトで,次のコマンドを入力します。
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE |
最初の 3 つのコマンドでは,以下の設定を行います。
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OpenVMS が,システム・コンソールからシステム・スタートアップ・コマンドを直接読み取る。
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ウィンドウ・システム (存在する場合) を起動しない。
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OpenVMS が,今後のシステム・リブート用にパラメータの変更を記録しない。
最後のコマンドにより,ブートが続行されます。
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これでシステムは,DCL プロンプトで,スタートアップ・コマンドをコンソールから直接受け取るようになりました。次の 2 つのコマンドを入力します。これらのコマンドを使用すると,コンソールにログインしたままの状態で,通常のシステム・スタートアップを実行することができます。SPAWN コマンドを実行しないと,スタートアップが完了したときに,ログアウトしてしまいます。
$ SPAWN
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP |
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このセッションからログアウトすると,システムはスタートアップを完了し,正常に使用できるようになります。オプションとして,システムをリブートすることもできます。
例
SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
SYSBOOT> SET WRITESYSPARAMS 0
SYSBOOT> CONTINUE
$ SPAWN
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP
$ |
ここでは,Integrity サーバと OpenVMS Integrity での停止プロシージャとシャットダウン・プロシージャについて説明します。
B.7.1 ハングアップとクラッシュから回復するための Integrity サーバの停止 |
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システムがハングアップしたため強制的にクラッシュさせたい場合は,利用可能であれば MP を使用できます。tc コマンドを使用します。意思確認のプロンプトが表示されたら,応答します。tc コマンドは,クラッシュ・ダンプを強制的に行います。MP の rs コマンドを使用すると,マシンをリセット (クラッシュを強制せずに) できます。
セル・ベースのサーバでは,tc または rs コマンドを入力すると,まず,オペレーティング・システムをシャットダウンするパーティションの選択が求められます。
または,オペレーティング・システムがコンソールを制御している場合は,Ctrl/P を押します。システムが実行する次の手順は,XDELTA がロードされているかどうかにより異なります。
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XDELTA がロードされている場合は,ユーザが Ctrl/P を押した後に,システムは XDELTA に入ります。システムは命令ポインタと,現在の命令を表示します。次の例のように,;C を入力すると,XDELTA から強制的にクラッシュすることができます。
$
Console Brk at 8068AD40
8068AD40! add r16 = r24, r16 ;; (New IPL = 3)
;C |
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XDELTA がロードされていない場合,Ctrl/P を押すと,システムが IPC ユーティリティに入ります。このユーティリティ内で Ctrl/P を押すと,システムが “Crash? (Y/N)” プロンプトで応答します。Y を入力すると,システムがクラッシュし,最終的に EFI の状態になります。Y 以外の文字を入力すると,システムは IPC ユーティリティに戻ります。
B.7.2 システムのシャットダウン |
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オペレーティング・システムをシャットダウンする前に,シャットダウンの完了後にオペレーティング・システムを自動的にリブートするのか,コンソール・モード・コマンドに入るのかを決定してください。シャットダウン後にシステムを自動的にリブートする場合は,B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」で説明しているように,まず自動ブートを設定します。
次の 2 種類のシャットダウン操作を実行できます。操作の詳細は,以下に示す項で説明しています。
SHUTDOWN.COM プロシージャは,以降のログインの無効化,バッチ・キューやプリンタ・キューの停止,ボリュームのマウント解除,ユーザ・プロセスの停止などの保守機能を実行して,オペレーティング・システムをシャットダウンします。SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャを使用するには,SYSTEM アカウントにログインし,次のコマンドを入力します。
SHUTDOWN.COM コマンド・プロシージャについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
セル・ベースの Integrity サーバでは,2 つの特別なタイプの nPartitions リブートがサポートされています。1 つは再設定のためのリブートで,nPartitions をリブートし,セルの設定を変更できるようにします。もう 1 つは再設定のためのシャットダウンで,nPartitions を非アクティブ状態にします。
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nPartitions で動作している OpenVMS Integrity から再設定のためのリブートを実行するには,OpenVMS の @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN コマンドを入力してから,システムの自動リブートを実行するかどうかを尋ねるプロンプトに対して YES と答えます。
セル・ベースの Integrity サーバでは,オペレーティング・システムのリブートは,再設定のためのリブートと同じです。再設定のためのリブートを実行すると,nPartitions に対するセル割り当ての変更 (たとえば,アクティブ・セルの削除や,新たに追加されたセルのアクティブ化) が有効になります。
再設定のためのリブートは,セル・ブート・フェーズで nPartitions に割り当てられたすべてのセルを取り込みます。use-on-next-boot 属性に Yes が設定されているセルは,nPartitions ブート・フェーズに進み,アクティブ・セル (nPartitions 上で実行しているソフトウェアがリソースを利用できる) になります。
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OpenVMS Integrity を実行している nPartitions の再設定のためのシャットダウンを実行するには,まず OpenVMS の @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN コマンドを入力してから,システムの自動リブートを実行するかどうかを尋ねるプロンプトに対して NO と答えます。次に,MP にアクセスし,rr コマンドを実行します (再設定のためのシャットダウンを行う OpenVMS nPartitions を指定します)。
再設定のためのシャットダウンは,セル・ブート・フェーズで nPartitions に割り当てられたすべてのセルを取り込み,ブート処理を boot-is-blocked (BIB) 状態で停止させます。nPartitions に割り当てられているすべてのセルが
BIB 状態のときは,nPartitions は非アクティブになり,BIB 状態から手動でブートされるまでは,nPartitions 上でソフトウェアを実行することはできません。
非アクティブの nPartitions を BIB 状態からブートするには,MP の bo コマンドを使用し,アクティブにする nPartitions を指定します。BIB 状態からブートを行うと,nPartitions に割り当てられ,use-on-next-boot
属性が Yes のすべてのセルが取り込まれます。セルは,nPartitions ブート・フェーズの間に,アクティブ・セル (nPartitions 上で実行しているソフトウェアがリソースを利用できる) になります。
Integrity サーバまたは nPartitions のシャットダウンについての詳細は,対応するハードウェア・ドキュメントを参照してください。
B.7.2.2 OPCCRASH.EXE による緊急シャットダウン
SHUTDOWN.COM プロシージャによる正常シャットダウンが実行できない場合は,緊急シャットダウン・プログラム OPCCRASH.EXE を実行します。
OPCCRASH.EXE プログラムを実行するには,SYSTEM アカウントにログインし,次のコマンドを入力します。
$ RUN SYS$SYSTEM:OPCCRASH |
OPCCRASH プログラムについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
セル・ベースの Integrity サーバでは,OpenVMS の RUN SYS$SYSTEM:OPCCRASH コマンドを入力すると,システムはメモリをダンプしてから,P00>>> プロンプトで停止します。OPCRASH の後に nPartitions をリセットするには,nPartitions コンソールにアクセスし,任意のキーを押してリブートします。
MP の tc コマンドを使用して nPartitions をリセットすると,システムはメモリをダンプしてから,自動的に nPartitions をリセットします。
ここでは,システムで問題が発生したときに利用できる手順について説明します。
B.8.1 システムがブートしない場合 |
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ハードウェアの問題が発生したためにシステムがブートしない場合は,通常,コンソール・ターミナルに表示されるエラー・メッセージの前に,疑問符 (?) が表示されます。ハードウェアの問題の例としては,ディスクの読み取りエラーがあります。他の例として,セル・ベースのサーバでの,nPartitions の BIB 状態があります。VFP を使用すると,nPartitions のブート状態を確認できます。nPartitions 内のすべてのセルが BIB 状態であると VFP が表示した場合は,nPartitions が非アクティブであるため,MP の bo コマンドを使用して,BIB 状態から nPartitions をブートし,アクティブにしなければなりません。
EFI Boot Manager がリブートを行うようにする方法の 1 つとして,MP の rs コマンドを使用する方法があります。
VFP と MP の使用についての詳細は,使用しているハードウェアのドキュメントを参照してください。
ハードウェアの問題と考えられるときは,次の手順に従います。
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使用している Integrity サーバのハードウェア・マニュアルを参照します。
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弊社のカスタマ・サポートに連絡します。
オペレーティング・システムがメモリにロードされると,次のようなメッセージがターミナル・スクリーン上に表示されます。
SYSTEM job terminated at 27-JUL-2007 15:05:03.17 |
システムがこのメッセージを表示しない場合は,ソフトウェアの問題が発生していると考えられます。以下の手順に従ってください。
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システムの電源をオフにします。電源を再度オンにし,リブートします。
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省略時のシステム・パラメータを使用して対話型ブートを実行するか,B.6.12 項 「緊急ブート」で説明している緊急ブート・プロシージャのいずれかを実行します。
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システムがブートしたら,AUTOGEN プロシージャを実行します。AUTOGEN プロシージャについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
B.8.2 システムの問題の検出と対処 |
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システムが予期しない動作をした場合は,以下の点に注意してください。
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システムが bugcheck メッセージをコンソール・ターミナル上に表示して,シャットダウンした場合は,動作の続行が不可能か危険である問題が発生しています。
システムが自動的にリブートしない場合は,システムを手動でリブートします (B.6.7 項 「ローカル・システム・ディスクからの手動ブート」を参照)。
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システムがユーザのコマンドに応答しなくなった (つまり,システムがハングアップした) 場合,システム・ソフトウェアまたはハードウェア・コンポーネントに障害が発生しているか,電源障害の可能性があります。
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システムの動作に一貫性がない (仕様に従った応答をしていない) 場合,システム・ソフトウェアまたはハードウェア・コンポーネントに障害が発生している可能性があります。
障害がシステムの問題かどうかを調べるには,以下のようにします。
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F1 (Hold Screen) を押していないことを確認します。F1 または Ctrl/S を押すと,Hold Screen 表示がオンになります。
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Ctrl/T を押して,プロセスのステータスをチェックします。実行中のプログラムの名前などの情報を示すステータス・ラインが表示されます。ステータス・ラインが表示されない場合,実行しているプログラムが止まっているか,ハングアップしている可能性があります。(SET NOCONTROL=T コマンドを入力して Ctrl/T を無効にしていたか,SET TERMINAL/NOBROADCAST コマンドを入力して NOBROADCAST モードをターミナルに設定していた場合は,この手順は正常に機能しません。)
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ターミナルやモニターをシステムに接続しているケーブルが確実に接続されているか確認します。
システムに問題があると分かった場合は,以下の手順に従います。
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Ctrl/Y を押して,停止またはハングアップしているプログラムを終了させます。Ctrl/Y を押すと,そのプログラムで実行中のディスク上に保存されていない作業は失われてしまいますので,注意してください。
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それでも応答がない場合は,システムを停止します (詳細は,B.7.1 項 「ハングアップとクラッシュから回復するための Integrity サーバの停止」を参照してください)。
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問題が発生した際のイベントのシーケンスを詳しく書きとめ,弊社のカスタマ・サポートに連絡してください。