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HP OpenVMS V8.4: インストレーション・ガイド

第6章 OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード

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OpenVMS ドキュメント ライブラリ

タイトルページ/目次
まえがき
第1章:はじめに
第2章:クラスタ環境でのインストールの準備
第3章:インストール手順
第4章:アップグレードの準備作業
第5章:クラスタ環境でのアップグレードの準備作業
第6章:アップグレード手順
第7章:インストールおよびアップグレード後の作業
付録A:Alphaシステムのブートとシャットダウン
付録B:I64システムのブートとシャットダウン
付録C:ネットワーク・ブート
付録D:SIMおよびvMediaによるプロビジョニング
付録E:Fibre Channelストレージデバイス
付録F:システムディスクのバックアップとリストア
付録G:国際化キットのインストール
付録H:Management Station
付録I:オペレーティングシステムの削除
付録J:システムディスクの初期化
用語集
索引
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目次

6.1 アップグレードの作業
6.2 OpenVMS オペレーティング・システム・メディアのブート
6.2.1 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD のブート
6.2.2 OpenVMS Integrity OE DVD のブート
6.3 アップグレードの実行
6.3.1 オペレーティング・システムのメニューにあるオプション 1 を使用して行うシステムのアップグレード
6.3.2 INITIALIZE または PRESERVE の選択
6.3.3 ターゲット・ディスクの指定
6.3.4 再インストール・オプションと再構成オプションの選択
6.3.5 リカバリ・データのチェック
6.3.6 ボリューム・ラベルの指定
6.3.7 ODS レベルの指定
6.3.8 ブート・オプションの自動作成と検証を行うかどうかの選択 (Integrity のみ)
6.3.9 DECRAM コマンドの削除に関する警告
6.3.10 OpenVMS Cluster メンバシップ情報の設定
6.3.11 OpenVMS Galaxy 情報の設定 (Alpha のみ)
6.3.12 タイムゾーン情報の更新
6.3.13 ウィンドウ環境製品,ネットワーク製品,および関連製品のアップグレード
6.4 アップグレードの完了
6.4.1 詳細なヘルプ・テキストの選択
6.4.2 古いバージョンの ENCRYPT の削除
6.4.3 Secure Delivery による検証
6.4.4 アーカイブ・ファイルの保護
6.4.5 オプション製品コンポーネントの選択
6.4.6 コンポーネントと製品のインストールを確認するためのメッセージ
6.4.7 アップグレード・プロシージャによるブート・オプションの作成と検証 (Integrity のみ)
6.4.8 アップグレードの完了と OpenVMS オペレーティング・システム・メニューへの復帰
6.4.9 システムのシャットダウン
6.5 シャットダウン後の作業

この章では,OpenVMS オペレーティング・システムをローカル CD またはローカル DVD からアップグレードする方法を説明します。また,システムの再インストールや再構成に関する情報も記載してあります。

この章で説明する OpenVMS の主なアップグレード作業は,実際の実行順序に合わせていくつかの節に分けて記載してあります。また,6.1 項 「アップグレードの作業」に,この章で説明するアップグレード作業の実施を確認するためのチェックリストが示してあります。

6.1 アップグレードの作業

表 6-1 アップグレードのチェックリスト のチェックリストは,必要なアップグレード作業をすべて実施しているかどうかを確認するために使用してください。

表 6-1 アップグレードのチェックリスト

 作業説明箇所
OpenVMS オペレーティング・システムのメディアからブートする6.2.2 項 「OpenVMS Integrity OE DVD のブート」
オペレーティング・システムのメニューにあるオプション 1 を使用して OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレードを開始し,プロンプトに応答しながら処理を進めて,アップグレードが完了した時にシステムをシャットダウンする6.3 項 「アップグレードの実行」, 6.4 項 「アップグレードの完了」
アップグレードしたシステム・ディスクのブート・オプションをアップグレード・プロシージャで自動作成しなかった場合は,ここで,必要に応じてブート・オプションを作成する (OpenVMS Integrity のみ)B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」
システムをリブートする (実行する手順は,使用しているアップグレードの種類によって異なる) 6.5 項 「シャットダウン後の作業」
アップグレード後の必要な作業を実施する 第7章 「OpenVMS オペレーティング・システムのインストール後またはアップグレード後の作業」

 

6.2 OpenVMS オペレーティング・システム・メディアのブート

OpenVMS オペレーティング・システムには,PCSI ユーティリティを使用してオペレーティング・システムを簡単にアップグレードできるプロシージャが用意されています。 これらのツールは,システムを正しくブートできた後で利用できます。 OpenVMS Alpha システム CD をブートする方法については,6.2.1 項 「OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD のブート」を参照してください。 OpenVMS Integrity OE DVD をブートする方法については,6.2.2 項 「OpenVMS Integrity OE DVD のブート」を参照してください。

コンソールには,VGA グラフィック・デバイス (rx2600 Integrity サーバおよびファームウェア機能を持たないその他のサーバを除く),シリアル・デバイス,またはネットワーク・インタフェースが使用できます。 システム・コンソールの構成についての詳細は,B.2 項 「Integrity サーバ・システム用 OpenVMS コンソールの選択」を参照してください。

注意:

VGA コンソールを使用している場合は,キーボードを USB ハブに接続した状態で vMedia または UDB DVD ドライブからアップグレードを行うと,キーボードが動作しないことがあります。動作しない場合は,ハブから抜いて再度接続し直してください。

6.2.1 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD のブート

アップグレードを開始するには,OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をローカル CD ドライブ,または InfoServer で提供される CD ドライブからブートします。これらの方法は,6.2.1.2 項 「ローカル・ドライブからのブート」6.2.1.3 項 「InfoServer からのブート」にそれぞれ説明されています。最初に,CD ドライブの名前を指定する必要があります。その方法については,6.2.1.1 項 「ブート・デバイスの指定」を参照してください。また,ブート操作についての詳細は,A.1 項 「ブート操作」を参照してください。

6.2.1.1 ブート・デバイスの指定

オペレーティング・システム CD のブートでは,使用する CD ドライブを指定する必要があります。以下にその手順を示します。

  1. オペレーティング・システム CD をローカル CD ドライブに挿入します。

  2. コンソール・プロンプト (>>>) に対して SHOW DEVICE コマンドを実行し,その出力リストに,使用する CD ドライブ (DKA400 など) が含まれていることを確認します。また,InfoServer からブートする場合は,次の例にある最後の行 (EWA0) のように,ハードウェア・アドレスの付いたデバイスがリストに含まれていることを確認します。

    >>> SHOW DEVICE
    dva0.0.0.1000.0    DVA0                     RX23
    dka200.2.0.5.0     DKA200                   RZ28M  1004
    dka300.3.0.5.0     DKA300                   RZ29B  0016
    dka400.4.0.5.0     DKA400                   RRD42  442E
    ewa0.0.0.3.0       EWA0         00-00-F8-1F-70-3D

    詳細は,『HP OpenVMS Alpha Version 8.4 / HP OpenVMS Version 8.4 for Integrity Servers ソフトウェア仕様書』(SPD 25.C4.xx),および,Alpha システムに付属しているハードウェア・マニュアルを参照してください。

6.2.1.2 ローカル・ドライブからのブート

オペレーティング・システム CD をローカルの CD ドライブからブートする場合は,次の形式で boot コマンドを実行します。

BOOT -FLAGS 0,0 source-drive

source-drive には,CD ドライブの名前を指定します (6.2.1.1 項 「ブート・デバイスの指定」に示されている SHOW DEVICE の出力例では DKA400)。CD ドライブの名前が DKA400 であれば,次のように入力して Enter を押します。

>>> BOOT -FLAGS 0,0 DKA400

6.2.1.3 InfoServer からのブート

オペレーティング・システム CD を InfoServer ハードウェアまたは InfoServer ユーティリティから起動する場合は,以下の手順を実行します。InfoServer ユーティリティを使用する場合は,付録 C 「ネットワーク・ブートの準備と実行」 に説明されている設定を事前に行っておく必要があります (1 回だけで十分です)。また,オペレーティング・システム CD は,システム全体にわたってマウントしておく必要があります。

  1. コンソール・プロンプトに対して,次の形式で boot コマンドを実行します。

    >>> BOOT -FLAGS 0,0 -FILE APB_084 lan-device-name
     

    lan-device-name には,使用する LAN デバイスの名前を指定します (6.2.1.1 項 「ブート・デバイスの指定」に示されている SHOW DEVICE の出力例では EWA0)。

    ファイル名 APB は,APB.EXE ファイルがオペレーティング・システム CD から InfoServer へコピーされたときに割り当てられたユニークなファイル名です。このファイル名が,初期システム・ロード (ISL) ブートストラップ・プログラムに使用される APB プログラムの名前になります。

    注意:

    DEC 3000 シリーズまたは DEC 4000 シリーズのシステムを使用している場合は,次の点に注意してください。

  2. InfoServer ISL プログラムから,次のメニューが表示されます。

       
    Network Initial System Load Function
    Version 1.2
    
    
       FUNCTION         FUNCTION
         ID
         1     -        Display Menu
         2     -        Help
         3     -        Choose Service
         4     -        Select Options
         5     -        Stop
    
     Enter a function ID value:
  3. 表示される各プロンプトに対して,次のように回答して,Enter キーを押します。

    1. 機能 ID として 3 を入力します。

    2. オプション ID として 2 を入力します。

    3. サービス名を入力します。InfoServer ハードウェアの場合,デフォルトのサービス名は ALPHA084 です。InfoServer ユーティリティのサービス名については,システム管理者またはネットワーク管理者に問い合わせてください。

    以下に,その出力例を示します。

     Enter a function ID value: 3
      OPTION          OPTION
        ID
        1     -       Find Services
        2     -       Enter known Service Name
        
     Enter an Option ID value: 2
     Enter a Known Service Name: ALPHA084
注意:

InfoServer から OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をブートしてアップグレードを行っているときに接続が切れた場合 (システムが応答しなくなって,Ctrl/Y を押してもメニューに戻らない場合) は,次のように対処してください。

  1. ネットワークからもう一度,OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD をブートします。

  2. メニューからオプション 8 を選択して,DCL 環境に入ります。

  3. ターゲット・ディスクのバックアップ・コピーが入っているデバイスと,ターゲット・ディスクを入れるデバイスを,両方ともマウントします。

  4. BACKUP コマンドを実行して,バックアップ・コピーからターゲット・ディスクをリストアします (MOUNT コマンドと BACKUP コマンドを使用してシステム・ディスクをリストアする方法については,付録 F 「システム・ディスクのバックアップとリストア」 を参照してください)。

  5. DCL 環境からログアウトします。

  6. メニューからアップグレード・オプション (1) を選択し,この章で説明している手順に従ってアップグレードを再実行します。

6.2.2 OpenVMS Integrity OE DVD のブート

OpenVMS Integrity OE DVD は,次のどの方法でもブートできます。 ここでは,ローカル DVD ドライブからブートする手順について詳しく説明します。 他のブート方法の詳細な手順については,以下の対応する項で示されているように,付録を参照してください。

後の 2 つのオプションは,このような方法をサポートしているエントリ・クラスの Integrity サーバで使用できます (Integrity サーバでローカル DVD ドライブが利用できない場合は,これらのオプションを使用します) ブート操作についての詳細は,B.6 項 「ブート操作」を参照してください。

6.2.2.1 ローカル・ドライブからのブート

ローカル DVD ドライブから OpenVMS Integrity OE DVD をブートする場合は,以下の手順を実行します。セル・ベースのサーバから起動する場合は,OpenVMS をアップグレードする nPartitions から DVD デバイスにアクセスできる必要があります。

  1. Integrity サーバに電源が入っていることを確認します。システムに外部デバイスが接続されている場合は,そのデバイスの電源がオンになっていることと,動作していることを確認してください。

  2. 使用するドライブに DVD を挿入します。

  3. 電源を一旦切った後,再度入れ直します。

  4. EFI のメイン・ブート・メニュー (セル・ベースのサーバの場合は,OpenVMS のブートに使用する nPartitions の EFI ブート・メニュー) のブート・オプション・リストから適切な項目を選択します。EFI のブート・メニューは一定時間が経過すると項目を選択できなくなるので注意してください。そのカウントダウンを停止するには,いずれかのキーを押します。

    一部のシステムでは,ブート・オプションとして 「Internal Bootable DVD」を選択します。このオプションが EFI ブート・メニューに含まれていない場合は,「Boot From a File」メニューに移動します。このメニューに「Removable Media Boot」オプションがあれば,それを選択してください。

    ブート・メニューからオプションを選択しなくても,EFI Shell のプロンプトに対して次のコマンドを入力することで DVD ドライブからブートすることもできます。その場合は,このコマンドの fsn: で Integrity サーバの DVD ドライブを指定します (例: fs0:)。EFI の Shell でいずれかのファイル・システムへ移動すると,EFI の Shell プロンプトにそのファイル・システムが反映されます。たとえば,ファイル・システム fs0: へ移動すると,EFI の Shell プロンプトは fs0:> に変わります。

    Shell> fsn:\efi\boot\bootia64.efi

    ブート可能な DVD ドライブを調べるには,マッピングされているデバイスのリストを見て,その行に文字列 「CDROM」 がある fs デバイスを探します。たとえば,次のような行が該当します。ここで fsn は DVD ドライブに関連付けられているファイル・システムを示していて,通常は fs0: です。ただし,サーバのモデルによっては,fsn の代わりに V8.4 のような文字列が,また Ata の代わりに Scsi という文字列が,それぞれ表示される場合もあります)。

    fsn : Acpi(HWP0002,400)/Pci(4|1)/Ata(Primary,Master)/CDROM(Entry0)

    EFI のさまざまなデバイス名と OpenVMS のデバイス名とのマッピング状況は,次のコマンドで表示できます。fsn には,チェック対象のデバイス (fs0: など) を指定します。

    Shell> fsn:\efi\vms\ms_show dev -fs

    Integrity サーバでの DVD デバイスは,ほとんどの場合,DQA0: (IDE) または DNA0: (USB) です。Superdome サーバのように SCSI バスを備えたシステムの DVD ドライブは,DKA0: です。vms_show コマンドについての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

    注意:

    特に変えない限り,EFI のバージョンによっては Delete (または Backspace) キーの機能が OpenVMS Alpha システムや Microsoft Windows コンピュータの場合と異なっていることがあります。異なっている場合は,最後に入力した文字を消去する方法として Ctrl/H を使用してください。 詳細は,B.1.3 項 「Integrity サーバのユーティリティでの Delete キーや Backspace キーの使用」を参照してください。

DVD が正常にブートすると OpenVMS オペレーティング・システムの起動画面が表示され,続いてオペレーティング・システムのメニューが表示されます。この時点で,ターゲット・ディスクにある OpenVMS Integrity オペレーティング・システムをアップグレードできる状態になります。アップグレードの方法については,6.3 項 「アップグレードの実行」を参照してください。この項に記載されている方法で DVD から起動できない場合は,B.6.2.1 項 「EFI を使用して DVD をブートする代替の方法」を参照してください。

注意:

SAN ストレージ・デバイスが備わっている OpenVMS Integrity システムでは,OpenVMS を初めてインストール DVD からブートする際に SAN 全体がスキャンされます。そのため,EFI の初期化が遅れることがあります。この遅れは SAN のサイズによって違い,数秒から,長い場合は数分かかります。

6.2.2.2 InfoServer ユーティリティを使用して行うネットワークからのブート

InfoServer ユーティリティを使用してネットワークからブートするには,最初に (1 回だけ) いくつかの構成手順が必要です。付録 C 「ネットワーク・ブートの準備と実行」を参照してください。仮想 DVD ドライブからネットワークを通してブートする手順についても,付録 C 「ネットワーク・ブートの準備と実行」 で説明しています。

6.2.2.3 HP SIM のプロビジョニングを使用して行うブート

HP SIM のプロビジョニングを使用して OpenVMS OE DVD のイメージをブートする場合は,最初に (1 回だけ) いくつか構成手順を実行する必要があります。 これらの手順とブート手順については,付録 D 「HP SIM と vMedia による OpenVMS のプロビジョニング」を参照してください。 アップグレードの場合は,OpenVMS ブート・フラグを (0,0) に設定する必要があります。

6.2.2.4 vMedia を使用して行うブート

vMedia を使用して OpenVMS OE DVD のイメージをブートする場合は,最初に (1 回だけ) いくつか構成手順を実行する必要があります。 D.1.4 項 「vMedia のセットアップ」を参照してください。 vMedia を使用したブート手順については,D.2 項 「HP SIM とは別に単独での vMedia の使用」を参照してください。

6.3 アップグレードの実行

この節では,オペレーティング・システムのメディアを使用してアップグレードする方法を説明します。

6.3.1 オペレーティング・システムのメニューにあるオプション 1 を使用して行うシステムのアップグレード

オペレーティング・システム CD (OpenVMS Alpha) または DVD (OpenVMS Integrity OE DVD) を起動して数秒後,いくつかの情報メッセージの後 OpenVMS バナーが表示されます。 その後,別の情報メッセージが表示され,最後にオペレーティング・システム・メインメニューが表示されます。 メッセージの表示時間はシステムのタイプと接続されているハードウェアに依存します。 OpenVMS オペレーティング・システムをアップグレードするには,次の例のようにこのメニューでオプション1 を選択してください。


  Installing required known files...

  Configuring devices...
       .
       .
       .
  ****************************************************************

  You can install or upgrade the OpenVMS I64 operating system
  or you can install or upgrade layered products that are included
  on the OpenVMS I64 distribution media (CD/DVD).

  You can also execute DCL commands and procedures to perform
  "standalone" tasks, such as backing up the system disk.
    
  Please choose one of the following:

  1)  Upgrade, install or reconfigure OpenVMS I64 Version 8.4
  2)  Display layered products that this procedure can install
  3)  Install or upgrade layered products
  4)  Show installed products
  5)  Reconfigure installed products
  6)  Remove installed products
  7)  Find, Install or Undo patches; Show or Delete recovery data
  8)  Execute DCL commands and procedures
  9)  Shut down this system      
    
Enter CHOICE or ? for help: (1/2/3/4/5/6/7/8/9/?) 1

6.3.2 INITIALIZE または PRESERVE の選択

次の情報とプロンプトが表示されます。

  ***********************************************************

  This procedure will ask a series of questions.

       () - encloses acceptable answers
       [] - encloses default answers

  Type your response and press the <Return>key.  Type:

       ? - to repeat an explanation
       ^ - to change prior input (not always possible)
       Ctrl/Y - to exit the installation procedure

  There are two choices for installation/upgrade:

  Initialize - removes all software and data files that were
      previously on the target disk and installs OpenVMS I64.

  Preserve -- installs or upgrades OpenVMS I64 on the target disk
      and retains all other contents of the target disk.

  * NOTE: You cannot use preserve to install OpenVMS I64 on a disk on
       which any other operating system is installed.  This includes
       implementations of OpenVMS for other architectures.

Do you want to INITIALIZE or to PRESERVE? [PRESERVE]) 

アップグレードでは,Enter (または Return) キーを押してデフォルト (PRESERVE) を受け入れます。

6.3.3 ターゲット・ディスクの指定

続いて,ターゲット・ディスクの名前を入力するように求められます。疑問符 (?) を入力すると,システムに存在するデバイスのリストが表示されます。適切なディスクを選択して,プロンプトに応答します。次に,その例を示します。

  You must enter the device name for the target disk on which
  OpenVMS I64 will be installed.

Enter device name for target disk: [DKB300] (? for choices)  DKB400

選択したディスクがアクセスできないか,その他の理由で使用できない場合は,その理由が表示されます。たとえば,MKA500 と入力してテープ・デバイスを指定すると,次のようなメッセージが表示されます。

MKA500 is not a disk device
注意:

選択したターゲット・ディスクには,以前のアップグレードまたはインストールでインストールされた .EXE ファイルまたは .COM ファイルが,SYS$COMMON 内にあるシステム固有のルート・ディレクトリ (複数個あることもある) に格納されていることがあります。 そのような場合にこれらのファイル (.EXE または .COM) が格納されているルートからブートしようとすると,アップグレード・プロシージャから,バージョンの新しい OpenVMS から提供されるファイルではなくそれらのファイルを使用するという通知が行われます。 そうしたファイルを使用すると,アップグレードしたシステムがブートできなくなったり,ブートの後でエラーが発生したりすることがあります。 弊社の担当者からそれらのファイル (1 つ以上) をそのままにしておくようにとアドバイスを受けない限り,それらのファイルをシステム固有のルート・ディレクトリから削除するか,名前を変更するか,または移動する必要があります。 それらのファイルの名前と場所は,アップグレード・プロシージャから表示されます。 ハードコピー端末を使用していない場合は,その情報を記録してください。 アップグレード・プロシージャには,これらのファイルに必要な処理を実行できるように,アップグレードを終了するオプションが用意されています。 OpenVMS のメイン・メニューでオプション 8 (「Execute DCL commands and procedures」) を選択し,適切な DCL コマンドを入力してください。

6.3.4 再インストール・オプションと再構成オプションの選択

OpenVMS V8.4 オペレーティング・システムのメディアを使用してアップグレードを行う場合は,ターゲット・ディスクとしてすでに V8.4 がインストールされているディスクを選択すると,構成オプションがいくつか表示されます。次に,その出力例を示します。7.12 項 「オペレーティング・システム・ファイルの追加または削除 (省略可)」にある例も参照してください。

  Version 8.4 of the OpenVMS operating system is already installed 
  on DKB400:.

  Please choose one of the following:

     1)  Reconfigure the OpenVMS platform.
     2)  Reconfigure the OpenVMS operating system.
     3)  Reinstall the OpenVMS operating system.
     4)  Return to the Main Menu (abort the upgrade/installation).

     Enter a "?" for more information.

疑問符 (?) を入力すると,次の情報が表示されます。

o Reconfigure the OpenVMS platform.

  This action will allow you to change your selections of which  
  products you installed along with the OpenVMS operating system
  installation.

  This will NOT change any options in the OpenVMS operating system,
  nor will it reinstall any operating system files.

o Reconfigure the OpenVMS operating system.

  This action will allow you to change your choices about which
  options you included for the OpenVMS operating system.

  This will NOT change any options for the products you installed
  along with the OpenVMS operating system installation, nor will
  it reinstall or upgrade any of them.

o Reinstall the OpenVMS operating system.

  This action will cause ALL operating system  files to be replaced.
  You can also change your choices about which options you included
  for the OpenVMS operating system.

  This will NOT change any options for the products you installed
  along with the OpenVMS operating system installation, nor will
  it reinstall or upgrade any of them.

  Reinstall will take longer than Reconfigure.  Reinstall may be
  appropriate if you suspect that files in the operating system,
  or in the windowing and network products have become corrupted.


If you want to reinstall or upgrade any of the products you installed 
along with the OpenVMS operating system installation, choose "Install
or upgrade layered products" (option 3) from the main menu.

If you want to change your choices about which options you included
for any of the products you installed along with the OpenVMS operating
system installation, choose "Reconfigure installed products" (option 5) 
from the main menu.

続いて,次のメニューが再表示されます。

   Please choose one of the following:

      1)  Reconfigure the OpenVMS platform.
      2)  Reconfigure the OpenVMS operating system.
      3)  Reinstall the OpenVMS operating system.
      4)  Return to the Main Menu (abort the upgrade/installation).


Enter choice or ? for help: (1/2/3/4/?)

オペレーティング・システムの再構成については,7.12 項 「オペレーティング・システム・ファイルの追加または削除 (省略可)」に記載されている情報も参照してください。

6.3.5 リカバリ・データのチェック

PRODUCT INSTALL コマンドで /SAVE_RECOVERY_DATA 修飾子を指定すると,PCSI ユーティリティは,後でパッチと必須アップデート・キットを削除する場合に使用する情報を保存します。 パッチとキットの削除には,PRODUCT UNDO PATCH コマンドを使用します。 ( /SAVE_RECOVERY_DATA 修飾子と PRODUCT UNDO PATCH コマンドは,OpenVMS Alpha V7.3-2 で初めて導入され,その後,OpenVMS Alpha V7.2-2,7.3,および 7.3-1 にも移植されています。)

PRODUCT INSTALL コマンドを入力した後,アップグレード・プロシージャは,パッチ適用時に PCSI ユーティリティによって保存されたリカバリ・データがターゲット・ディスクに存在するかどうかをチェックします。 リカバリ・データが存在しない場合はアップグレードが続行されます。 リカバリ・データが存在し,見つかったすべてのデータが OpenVMS オペレーティング・システムのものである場合,アップグレード・プロシージャはデータを削除し処理を続けます。 このデータはアップグレード後には無効になるので,アップグレード時にディスク容量が不足するような事態を避けるために削除されます (OpenVMS に対する古いパッチはアップグレード時に常に削除されるものなので,プロシージャはファイル削除に関するメッセージは表示しません)。 OpenVMS オペレーティング・システム以外の製品に適用されるリカバリ・データが見つかると,次のようなメッセージが表示されます。

     The target system has recovery data from PRODUCT operations which
     used the /SAVE_RECOVERY_DATA qualifier.  This data must be deleted
     to continue the OpenVMS upgrade.

     Please examine the following display.

     If you wish to delete this data and continue the OpenVMS upgrade,
     answer YES to the question "Do you want to continue?"

     If you do not wish to delete this data, answer NO.  A NO answer
     will preserve the recovery data and abort the OpenVMS upgrade.

 The following patch recovery data has been selected:

 RECOVERY DATA SET 001 created 25-JUL-2009 15:23:39.69
   -------------------------------------- ---------------------------------
   PATCH                                  APPLIED TO
   -------------------------------------- ---------------------------------

   JAK VMS RM1 V1.0                       JAK VMS RMTEST V1.0
   -------------------------------------- ---------------------------------
 
* If you continue, recovery data for the patches listed above will be deleted.
* The deletion of recovery data does not affect the installation status of
* patches applied to products that are not participating in this operation.
* However, continuing with this operation prevents you from uninstalling
* these patches at a future time by use of the PRODUCT UNDO PATCH command.
 
 Do you want to continue? [YES]

ここで YES (デフォルト) と応答すると,一連のリカバリ・データ・セットが削除され,OpenVMS のアップグレードが続行されます。

    
Deleting RECOVERY DATA SET 001 ...

NO と入力すると,リカバリ・データは削除されず,OpenVMS のアップグレードがキャンセルされます。

Do you want to continue? [YES] NO
%PCSIUI-I-USERABORT, operation terminated by user request

     You chose to retain recovery data on the target system disk.
     The OpenVMS upgrade cannot continue.

     Please correct the situation that prevents you from deleting the
     recovery data and then retry the upgrade.

6.3.6 ボリューム・ラベルの指定

ターゲット・ディスクの指定と,リカバリ・データのチェック (該当する場合のみ) が終わると,指定したターゲット・ディスクに割り当てられているボリューム・ラベルが表示されて,そのラベルをそのまま使用するかどうかが尋ねられます。次の例に示すように,同じラベルを使用しないという選択を指示すると,新しいラベルを入力するためのプロンプトが表示されます。OpenVMS オペレーティング・システムでは,ディスクの識別と参照にボリューム・ラベルを使用しています。使用するラベルは必ずユニークにしてください。他のディスク・ボリュームで同じラベルが使用されていると,問題が発生します。

   DKB400: is now labeled I64SYS.
Do you want to keep this label? (Yes/No) [Yes] NO

Enter volume label for target system disk: [I64SYS]  I64084

システムによって割り当てられるデフォルトのラベルを受け入れるか,または新しいラベルを指定します (ラベルは 12 文字以下の英数文字列で,A_Z,0_9,ドル記号 ($),ハイフン (-),および下線 (_) を使用できます)。

注意:

OpenVMS では,システムや OpenVMS Cluster 内にあるすべてのディスクのラベルがユニークになっている必要があります。システム・ディスクと同じラベルを持つディスクをマウントすると,OpenVMS のさまざまなコンポーネントが正しく機能しなくなったり,ブート中にノードがクラッシュしたりすることがあります。

OpenVMS Cluster でディスクのボリューム・ラベルを変更した場合は,そのディスクをクラスタ内の他のノードにマウントするコマンドにも,必ずその変更を反映してください。変更を反映しないでそれらのノードをリブートすると,そのディスクをマウントできなくなります。

6.3.7 ODS レベルの指定

ターゲット・ディスクが ODS (On-Disk Structure) レベル 2 (ODS-2) で初期化されている場合は,次の例で示すように,その旨を知らせるメッセージと,レベル 5 (ODS-5) に変換するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます。 WBEM Services for OpenVMS に関する情報は,OpenVMS Integrity システムをアップグレードしているときにだけ表示されます。 ターゲット・ディスクが ODS-5 で初期化されている場合はアップグレードがそのまま継続されて,ディスクの構成に関する情報は表示されません。 システム・ディスクの構成を変換するかどうかや,ハード・リンクを有効にするかどうかは尋ねられません。

注意:

ディスクが ODS-5 で初期化されており,有効にしていなかったハード・リンクを有効にしたい場合は,次のコマンドを使って,アップグレード前にハード・リンクを有効にできます。

$ SET VOLUME/VOLUME_CHARACTERISTICS=HARDLINKS SYS$SYSDEVICE
$ ANALYZE DISK_STRUCTURE/REPAIR SYS$SYSDEVICE
   The target system disk is currently at On-Disk Structure Level 2
   (ODS-2).  It can be converted to On-Disk Structure Level 5 (ODS-5).

   OpenVMS I64 systems include WBEM Services for OpenVMS; the WBEM data
   repository requires an ODS-5 disk.  If you choose to convert the
   target system disk to ODS-5, the repository can be on the system 
   disk; otherwise you will need to provide an additional ODS-5 disk. 
   (? for more information.)

Do you want to convert the target system disk to ODS-5? (Yes/No/?) 

YES と応答すると,ディスクが ODS-5 に変換されます。インストレーション・プロシージャは,BACKUP/CONVERT コマンドを使用して ODS-5 ディスクを ODS-2 形式に戻すことができるという情報を表示します。詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』を参照してください。

注意:

使用しているソフトウェアに ODS-2 形式のディスクが必要でなければ,システム・ディスクは ODS-5 形式にすることをお勧めします。 長所と短所など,ODS-2 と ODS-5 の簡単な比較をこの後で説明します。

ここでは,ODS-2 ファイル・システムと ODS-5 ファイル・システムの概要を説明します。詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。

  • ODS-2

    ODS-2 を利用すれば,ODS-2 ディスクを使用する OpenVMS VAX システム,Alpha システム,および Integrity システムとの間で互換性を保つことができます。 そのため,他のオペレーティング・システム (UNIX,Linux,MS Windows など) から移植したアプリケーションが使用できるようにする場合や,ODS-5 ディスクの新機能が必要でない場合は,ODS-2 を選択してください。

  • ODS-5

    • より長いファイル名を使用できます。また,より多くの種類の文字をファイル名に使用できます。したがって,Windows や UNIX の環境と同じようなファイル名を使用することができます。

    • ファイルのハード・リンクとアクセス日付をサポートしており,ファイル名の違いが大文字であるか小文字であるかだけの場合も区別できます。

    • ODS-5 ボリュームは,バージョン 7.2 より前の OpenVMS にはマウントできません。

    • バージョン 7.2 以降の OpenVMS VAX が動作しているシステムでは,ODS-5 のボリュームをマウントできますが,ファイル名が従来の上限より長いファイルを作成したり,そのようなファイルにアクセスしたりすることはできません (OpenVMS VAX システムでは,小文字のファイル名が大文字で表示されます)。

ODS-5 に変換しないという選択を指示すると,アップグレードが継続されて,ターゲット・ディスクがマウントされます。次に,その例を示します。

Do you want to convert the target system disk to ODS-5? (Yes/No/?)  NO

...OpenVMS I64 will be upgraded on DKB400:.

ODS-5 へ変換するという選択を指示すると,ハード・リンクを有効にするかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます (ハード・リンクについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください)。このプロンプトに応答すると,アップグレードが続行されます。

Do you want to convert the target system disk to ODS-5? (Yes/No/?) YES

  DKB400: has been converted to ODS-5.

  You can use the BACKUP/CONVERT command to convert ODS-5 disks back
  to ODS-2 format.  For more information, refer to the OpenVMS System
  Management Utilities Reference Manual.

  Hard links can be enabled on ODS-5 disks.  WBEM Services for OpenVMS
  does not require hard links. (? for more information)
  (***Enabling hard links can take from 5-10 minutes to an hour or more.***)

Do you want to enable hard links? (Yes/No/?)  YES

ハード・リンクを有効にするという選択を指示すると,ANALYZE/DISK_STRUCTURE/REPAIR 処理が自動的に実行されて,参照 (リンク) カウントが正しく設定されます。 つまり,ANALYZE/DISK/REPAIR では,各ファイルを参照しているディレクトリのエントリ数をカウントし,リンク・カウントが正しくなければ,その値を正しく設定します。 この処理には,システム・ディスクの構成がどれだけ複雑であるかの度合,インストールするレイヤード・プロダクトの数,およびユーザ・ファイルの数によって,5 分から 10 分で終わることもあれば 1 時間以上かかることもあります。処理中に,次のようなメッセージが表示されます。

  Hard links have been enabled on DKB400:.
    
  The newly enabled hard links are not correct and need to be updated.
  The Analyze/Disk_Structure utility will now be run to do this.

  This can take from 5 - 10 minutes to an hour or more.  It is a normal
  requirement when hard links are enabled on an existing disk.

%ANALDISK-I-COUNT, 1000 hard link updates completed 
%ANALDISK-I-COUNT, 2000 hard link updates completed 
%ANALDISK-I-COUNT, 3000 hard link updates completed 
%ANALDISK-I-COUNT, 4000 hard link updates completed 
%ANALDISK-I-COUNT, 5000 hard link updates completed 
%ANALDISK-I-COUNT, 6000 hard link updates completed

  OpenVMS I64 will be upgraded on DKB400:.

6.3.8 ブート・オプションの自動作成と検証を行うかどうかの選択 (Integrity のみ)

OpenVMS Integrity のアップグレードでは,続いてブート・オプションの作成または検証を行うかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます。

   Boot options in the EFI Boot Manager boot option menu can provide a
   convenient way to boot your system.   The installation procedure can
   automatically create a new boot option (if none exists) or validate
   existing boot options.

Do you want to create or validate boot options? (Yes/No) [Yes] YES

このシステム・ディスクを現在のシステムとデバイスでブートする予定で,アップグレード・プロシージャの助けを借りて EFI Boot Manager メニューで EFI コンソールのブート・オプションを作成または検証したい場合は,このプロンプトに対して YES と応答します。そうすれば,新しいブート・オプションの作成と検証 (ブート・オプションが存在しない場合),または既存ブート・オプションの検証が,アップグレードが完了する直前に実行されます (6.4.7 項 「アップグレード・プロシージャによるブート・オプションの作成と検証 (Integrity のみ)を参照)。

YES と入力した場合にブート・オプションが存在しないと,次の例に示すように,OpenVMS ブート・フラグ (VMS_FLAGS) を設定するように促されます。OpenVMS フラグを設定する場合は,その値 (0,1 など) を入力します。設定しない場合 (デフォルト) は,そのまま Enter を押します。ブート・オプションがすでに存在している場合は,アップグレードが完了した後でブート・フラグの値を変更できます (ブート・フラグの値を変更する方法については,B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」を参照してください)。

   You can set VMS_FLAGS or accept the default, 0,0.

Enter the value for VMS_FLAGS: (n.n) [0,0]

アップグレード・プロシージャの助けを借りて EFI コンソールのブート・オプションの設定も検証も行わない場合は,NO と入力します。

アップグレード・プロシージャの助けを借りて,ブート・オプションを設定/検証するようお勧めします。

注意:

アップグレードするシステム・ディスクがファイバ・チャネル・デバイスの場合は,そのデバイスをブート・オプションの 1 つとして EFI のブート・メニューに追加することをお勧めします。アップグレード時にそのデバイスをブート・メニューに追加しなかった場合でも,アップグレードが完了した後で OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティ (SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS.COM) を使って追加することができます (ファイバ・チャネル・デバイスを EFI のブート・メニューへ追加するときは,EFI の代わりに BOOT_OPTIONS.COM を使用してください)。

OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用して,EFI のブート・デバイス・リストとダンプ・デバイス・リストにマルチ・メンバ・シャドウ・セット内にあるシャドウ・システム・ディスクを追加するようお勧めします。その際は,すべてのメンバを,必ず両方のリストに追加してください。

OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティについては,B.5.2 項 「システム・ディスクのブート・オプションの設定」を参照してください。ファイバ・チャネル・デバイスの設定とブート方法についての詳細は,付録 E 「Fibre Channel ストレージ・デバイスのセットアップとブート」 を参照してください。

6.3.9 DECRAM コマンドの削除に関する警告

V8.3 より古いバージョンの OpenVMS をアップグレードしている場合は,DECRYPT コマンドとの競合を避けるために DCL の DECRAM コマンドを削除することを示す次のようなメッセージが表示されます。

Beginning with OpenVMS V8.3, the DCL commands ENCRYPT and DECRYPT
are provided as part of OpenVMS.

Because "DECRYPT" conflicts with the existing command "DECRAM",
this upgrade will remove the DECRAM command.

If you use the command DECRAM interactively or in command
procedures, please see the release notes for more information.

OpenVMS V8.3 で導入された DECRYPT コマンドは,DECram の実行に使用される DECR のデフォルト定義を上書きしてしまいます。DECRAM コマンドを使用しているすべてのコマンド・プロシージャを次のように変更して,DCL のフォーリン・コマンド形式で DECram を実行するように修正する必要があります。

$ DECRAM == "$MDMANAGER"

この変更から影響を受けるのは DCL コマンドでの使用だけです。DECram 製品の他の部分にはいっさい影響しません。

6.3.10 OpenVMS Cluster メンバシップ情報の設定

続いて,システムを OpenVMS Cluster のメンバにするかどうかが尋ねられます。

Will this system be a member of an OpenVMS Cluster? (Yes/No)

このプロンプトに対して YES と応答した場合, クラスタ通信の IPを使用するかどうかを指定します。

Will this system use IP for Cluster Communi
cations ?  (Yes/No)

既存のクラスタのメンバをアップグレードしている場合, YES と応答するとアップグレードしたシステムを最初にブートしたときに SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャが自動的に実行されます。 ただし,アップグレードの場合はクラスタ・メンバシップ情報を正しく設定しておく必要があります。 このプロシージャを手動で実行すれば,システムを OpenVMS Cluster のメンバとして構成または再構成することができます。 システムを OpenVMS Cluster のメンバとして構成する方法の詳細は,『HP OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。

6.3.11 OpenVMS Galaxy 情報の設定 (Alpha のみ)

続いて,システムを OpenVMS Galaxy のインスタンスにするかどうかが尋ねられます。次に,その画面出力の例を示します。

Will this system be an instance in an OpenVMS Galaxy? (Yes/No)

1 つ前の手順で OpenVMS Cluster メンバに関するプロンプトに YES と応答した場合は,このプロンプトに対して YES と入力すると,必要な修正キットに関する情報が表示されます。この質問に対する応答の仕方で,GALAXY システム・パラメータの設定方法が決まります。

6.3.12 タイムゾーン情報の更新

ローカル・タイムゾーンのサポートが正しく行われるようにするためには,その地域に対応したタイムゾーン (デフォルト・タイムゾーン) を正確に設定する必要があります。また,有効な OpenVMS TDF (時差係数) を使用するように,システムを正しく設定する必要もあります。

インストール・プロシージャでは,タイムゾーンの情報が完全でないと判断すると,システムの正しいデフォルト・タイムゾーンと有効な TDF を設定するように求めるプロンプトを表示します。タイムゾーン情報の設定方法については,3.4.3 項 「オペレーティング・システム・メニューのオプション 1 による OpenVMS のインストール」を参照してください。

TDF とローカル・タイムゾーンのサポートについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。

6.3.13 ウィンドウ環境製品,ネットワーク製品,および関連製品のアップグレード

続いて,OpenVMS オペレーティング・システムと一緒にアップグレードされるオプションの DECwindows GUI (DECwindows Motif for OpenVMS) およびネットワーク製品 (DECnet および TCP/IP) の情報が表示されます。これらの製品のデフォルト値は,このアップグレード手順の後の段階でも変更できます。

    The following products are part of the OpenVMS installation;
    if necessary they will be installed or upgraded along with the OpenVMS operating system:

      o Availability Manager (base) for OpenVMS I64
      o CDSA for OpenVMS I64 
      o KERBEROS for OpenVMS I64
      o SSL for OpenVMS I64
      o Performance Data Collector (base) for OpenVMS I64
      o HP Binary Checker for OpenVMS I64
      o WBEM Services for OpenVMS (WBEMCIM)
      o WBEM Providers for OpenVMS (WBEMPROVIDERS)

    If necessary, the following optional products will also be upgraded
    along with the OpenVMS operating system:

      o DECwindows Motif for OpenVMS I64
      o DECnet-Plus for OpenVMS I64
      o DECnet Phase IV for OpenVMS I64
      o HP TCP/IP Services for OpenVMS

    If you want to add or delete optional products, you can do so later
    in the upgrade by answering NO to the following question:

        "Do you want the defaults for all product options?"    

    Availability Manager (base) for OpenVMS I64
    is already installed on your system. An upgrade is not required.

    CDSA for OpenVMS I64 ...
    is installed on your system. It will be upgraded.

    KERBEROS for OpenVMS I64...
    is installed on your system. It will be upgraded.

    SSL for OpenVMS I64...
    is installed on your system. An upgrade is not required.

    Performance Data Collector (base) for OpenVMS I64...
    is installed on your system. It will be upgraded.

    HP Binary Checker for OpenVMS I64

    DECwindows Motif for OpenVMS I64 V1.7
    is installed on your system. An upgrade is not required.

    Beginning with OpenVMS V7.1, the DECnet-Plus kit is provided with
    the OpenVMS operating system kit.  HP strongly recommends that
    DECnet users install DECnet-Plus.  DECnet Phase IV applications are
    supported by DECnet-Plus.

    DECnet Phase IV is also provided as an option.

    If you install DECnet-Plus and TCP/IP you can run DECnet
    applications over a TCP/IP network.  Please see OpenVMS
    Management Guide for information on running DECnet over TCP/IP.

    Do you want to install DECnet-Plus for OpenVMS I64 V8.4? (Yes/No) [Yes]

    HP TCP/IP Services for OpenVMS
    is already installed on your system. An upgrade is not required.

    WBEM Services for OpenVMS (WBEMCIM)
    is installed on your system. It will be upgraded.

    WBEM Providers for OpenVMS (WBEMPROVIDERS) 
    is installed on your system. It will be upgraded.

注意:

OpenVMS V8.3 から,DECwindows のクライアント・ファイルは DWMOTIF_SUPPORT キットに含まれて提供されるようになりました (V8.3 より前のバージョンでは,DECwindows のクライアント・ファイルは OpenVMS オペレーティング・システム・キットに含まれていました)。OpenVMS をインストールすると,DWMOTIF_SUPPORT キットも自動的にインストールされます。そのため,インストール中に DWMOTIF_SUPPORT キットの名前が他の製品と一緒に表示されます。

ウィンドウ環境製品とネットワーク製品の一部については,必要なバージョンがすでにインストールされていることもあります。そのような製品があると,そのことを知らせるメッセージが表示されます。 また,インストールされているウィンドウ環境製品やネットワーク製品のバージョンが旧くても,OpenVMS V8.4 でそのまま使用できることもあります。 そのような製品がある場合は,そのソフトウェアがすでにインストールされていることを示すメッセージが表示されるとともに,新しいバージョンをインストールするかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます。 その場合は,インストールされているバージョンを残すように指示するか,または OpenVMS V8.4 に含まれている新しいバージョンへアップグレードするように指示します。 ただし,インストールされているバージョンを残す場合は,そのバージョンに対する弊社のサポート・レベルを確認してください。

インストールされているウィンドウ環境製品やネットワーク製品のバージョンが OpenVMS V8.4 に対応していない場合は,そのバージョンを残すことができません。この場合は,自動的にアップグレードされます (OpenVMS Alpha をアップグレードするときにバージョンの古い SSL for OpenVMS が検出されると,削除されます)

注意:

セル・ベースの Integrity サーバでサポートされる Instant Capacity (iCAP) をサポートし,gWLM や HP SIM などの製品をサポートするためには,TCP/IP Services for OpenVMSをインストールしなければなりません。 Integrity サーバ上に OpenVMS をプロビジョニングすると,TCP/IP Services for OpenVMS は自動的にインストールされます。

6.4 アップグレードの完了

この節では,アップグレードを完了するまでに実行する,残りの手順について説明します。

6.4.1 詳細なヘルプ・テキストの選択

この段階で,次のプロンプトが表示されます。

       The installation operation can provide brief or detailed descriptions.
       In either case, you can request the detailed descriptions by typing ?.

   Do you always want detailed descriptions? (Yes/No) [No]  

YES と入力すると,以降のプロンプトで,より詳しい説明が表示されるようになります。

6.4.2 古いバージョンの ENCRYPT の削除

OpenVMS V8.3 から,Encryption for OpenVMS がオペレーティング・システムに含まれています。古いバージョンの ENCRYPT (HP I64VMS ENCRYPT または HP AXPVMS ENCRYPT) がシステム上で見つかると,アップグレード・プロシージャはその製品を削除します。ENCRYPT 製品の削除の確認が,次の例のように表示されます。

       HP I64VMS ENCRYPT will now be removed.
       This is required because OpenVMS now includes ENCRYPT.

   The following product has been selected:
       HP I64VMS ENCRYPT V1.6                 Layered Product

   The following product will be removed from destination:
       HP I64VMS ENCRYPT V1.6                 DISK$I640831H1:[VMS$COMMON.]
 
   Portion done: 0%...20%...30%...40%...50%...60%...70%...80%...90%...100%

   The following product has been removed:
       HP I64VMS ENCRYPT V1.6                 Layered Product

6.4.3 Secure Delivery による検証

OpenVMS V8.3 から,OpenVMS の配布メディアに含まれているほとんどの PCSI キットが,Secure Delivery 機能を使用して署名されています。各ターゲット・ファイルには,Secure Delivery の検証で使用される,対応するディジタル署名ファイル (マニフェストとも呼ばれる) が用意されています。この検証では,配布元 (この場合は弊社) の認証や,ターゲット・ファイルの内容の検証が行われます (ディジタル署名ファイルは,ターゲット・ファイルと同じ名前に,ファイル拡張子として _ESW を追加した名前 (例: filename.PCSI$COMPRESSED_ESW) になっています)。 OpenVMS Integrity を配布メディアからアップグレードするときには,インストールされるすべての PCSI キットを,プロシージャが検証します。各キットの検証が成功すると,次のようなメッセージが表示されます。

Version 8.4 より前のバージョン:

Performing product kit validation of signed kits...
%PCSI-I-HPCVALPASSED, validation of 
DKB400:[KITS.CDSA]HP-I64VMS-CDSA-Vnnnn-nnn-n.PCSI$COMPRESSED;1 succeeded
    .
    .
    .

Version 8.4 以降のバージョン:

Performing product kit validation ...
%PCSI-I-HPCVALPASSED, validation of 
DKB400:[KITS.HPBINARYCHECKER]HP-I64VMS-HPBINARYCHECKER-Vnnnn-nnn-n.PCSI$COMPRESSED;1 succeeded
   .
   .
   .

OpenVMS Alpha CD のブート環境に制限があるため,OpenVMS Alpha CD からブートしたときには,OpenVMS Alpha キットの検証は行われません。 OpenVMS Alpha システムの場合も Integrity システムの場合も,OpenVMS CD/DVD の最初のブート後にインストールされる署名付き PCSI キット (配布メディアに収録されている署名付きキットを含む) に対する検証は行なわれます。 また,OpenVMS Alpha システムと OpenVMS Integrity システムのどちらでも,DCL の PRODUCT SHOW HISTORY コマンドで,インストール済み製品の検証ステータスを表示することができます。

6.4.4 アーカイブ・ファイルの保護

デフォルトでは,filename.type_OLD の名前でアーカイブされたファイルは,OpenVMS 修正キットによってアップグレード中に削除されてしまいます。これらのファイルを残しておく必要がある場合は,次のいずれかの対処を行ってください。

  • すべてのオプションについてデフォルトを使用するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら,NO と入力します (このスクリプトの表示例については,6.4.5 項 「オプション製品コンポーネントの選択」を参照してください)。表示されるオプションを 1 つずつ見ていって,修正キットでアーカイブされたファイルを削除するかどうかのオプションが表示されたら,NO と入力します。そうすれば,該当するファイルをすべて保護することができます。

  • アップグレードを開始する前に,保護が必要な _OLD ファイルの名前を変更します。名前を変更しないと,削除される可能性があります。

アップグレードでは,ファイル拡張子の末尾が _OLD になっているファイルがすべて削除されるわけではありません。削除されるのは,OpenVMS 修正キットでアーカイブされて,末尾に _OLD が付けられたファイルだけです。

注意:

OpenVMS のパッチでは,これらの _OLD ファイルを,SYS$UPDATE ディレクトリにある VMS$REMEDIAL_OLD_FILES.TXT へ登録します。VMS$REMEDIAL_OLD_FILES.TXT ファイルに登録されているファイルは,すべて末尾に _OLD が付いているものとして処理されます。パッチ・キットの中には,末尾に _OLD を付けないでファイルを登録するものもあります。アップグレード・プロシージャでは,こうした末尾に _OLD が付いていないファイルを検出すると,次のようなメッセージを表示します。

%UPGRADE-I-FIXUP, appending _OLD to file names in   
 PCSI$DESTINATION:[SYSUPD] VMS$REMEDIAL_OLD_FILES.TXT
    [SYSUPD]VMSKITBLD.DAT
    [SYSHLP]XFC$SDA.HLP
    [SYS$LDR]SYSTEM_SYNCHRONIZATION.EXE-OLD
    [SYS$LDR]SYS$XFCACHE.DSF
    [SYS$LDR]SHELL9K.EXE_STB
    [000000]HP-I64VMS-VMS-V0820-1-2.PCSI$DESCRIPTION

6.4.5 オプション製品コンポーネントの選択

アップグレードを開始すると,デフォルト値をすべて受け入れるかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます (デフォルト値をすべて受け入れると,オペレーティング・システムに含まれていた各コンポーネントのすべてのファイルとそのサブグループが受け入れの対象になります)。次に,その画面出力の例を示します。

The following product has been selected:
    HP I64VMS OPENVMS V8.4             Platform (product suite) 
 

Configuration phase starting ...

You will be asked to choose options, if any, for each selected product and for
any products that may be installed to satisfy software dependency requirements.
 
HP I64VMS OPENVMS V8.4: OPENVMS and related products Platform
 
   COPYRIGHT 1976 ...

   Hewlett-Packard Development Company, L.P.
 
Do you want the defaults for all options? [YES] 

アップグレードでは,OpenVMS オペレーティング・システムの前回のインストールまたはアップグレードで選択した値がデフォルト値として使用されます (この定義は PCSI ユーティリティによって行われます)。したがって,このプロンプトに応答する前に,以下の点に注意してください。

  • デフォルト値を受け入れると,現在利用できるすべてのコンポーネントではなく,オペレーティング・システムの前回のインストールまたはアップグレードで選択した各コンポーネントと,OpenVMS の前回のバージョンに含まれていなかった新しい各コンポーネントが受け入れ対象となります。

  • 前回のインストールやアップグレードとは異なるコンポーネントを選択または削除する場合は,このプロンプトに対して NO と入力し,続いてオプションのプロンプトに順次応答していきます。その際,前回と同じように応答するコンポーネントがあっても,表示されるプロンプトには必ず応答してください。

  • 現在のデフォルトを最初に確認したい場合は NO と入力します。値を表示するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されるので,YES と入力します。

    デフォルト値を確認して問題がなければ,値が妥当かどうかを尋ねるプロンプトに対して YES と入力します。変更の必要な値がある場合は,その質問に対して NO と入力します。値を再入力するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されるので,YES と入力します。

オプション・コンポーネントを選択する際には,以下の点にも注意してください。

  • デフォルト値をすべて受け入れる場合でも,ファイルを個別に選択する場合でも,選択内容を確認して,変更することができます。

  • 選択すべきかどうかが不明なオプション・コンポーネントがある場合は,そのコンポーネント (またはコンポーネント・グループ) のプロンプトに対して疑問符 (?) を入力すれば,ヘルプ情報を表示できます。

  • オプション・リストの内容をチェックして,アップグレードの要件と比較します。コンポーネントを個別に選択する場合は,ユーザのニーズへ対応するために必要なコンポーネントを,すべて選択してください。また,一部のコンポーネントには他のコンポーネントのインストールが必要なものもあるので,そのコンポーネントのインストールを忘れないように注意してください。

  • デフォルト値をすべて受け入れると,OpenVMS Management Station ソフトウェアが自動的に OpenVMS システム・ディスクへインストールされます。OpenVMS Management Station ソフトウェアが必要であってもデフォルト値を受け入れない場合は,そのコンポーネント (サーバ・ファイルとクライアント・ファイル) を明示的に選択する必要があります。アップグレードが完了した後で OpenVMS Management Station を実行できるように OpenVMS システムと PC を準備する手順については,付録 H 「OpenVMS Management Station のセットアップ」 を参照してください。

  • アップグレードが完了した後で,システムにインストールした OpenVMS オペレーティング・システムのオプション・コンポーネントを変更する場合は,7.12 項 「オペレーティング・システム・ファイルの追加または削除 (省略可)」7.12 項 「オペレーティング・システム・ファイルの追加または削除 (省略可)」の説明に従って,インストールを再構成する必要があります。

  • アップグレードしたシステム・ディスクをブートしてログインした後,ドル記号のプロンプト ($) に対して HELP SYS_FILES と入力すると,システム・ファイルごとにその情報を表示することができます。

注意:

特に理由がない限り,デフォルトを受け入れて,OpenVMS のオプションをすべてインストールするようお勧めします。OpenVMS とレイヤード・プロダクトは,これらのオプションの多くに,さまざまな形で依存しています。不要と思われるオプションでも,それらをインストールしておかないと,OpenVMS やレイヤード・プロダクトにある一部の機能が正しく機能しない可能性があります。

YES と入力して,デフォルト・オプションをすべて受け入れると,次のようなメッセージが表示されます (具体的な内容は,選択した製品によって異なります)。NO と入力すると,オプションまたはサブオプションごとに,プロンプトが表示されます。

Availability Manager (base) for OpenVMS I64

CDSA for OpenVMS I64 

KERBEROS for OpenVMS I64 

SSL for OpenVMS I64 

Performance Data Collector (base) for OpenVMS I64 

HP Binary Checker for OpenVMS I64

WBEM Services for OpenVMS (WBEMCIM)

WBEM Providers for OpenVMS (WBEMPROVIDERS)

OpenVMS V8.4 オペレーティング・システムに付属しているオプション・コンポーネントのリストについては,例 3-1 「オプション・コンポーネントとサブオプション」を参照してください。

6.4.6 コンポーネントと製品のインストールを確認するためのメッセージ

すべてのプロンプトに応答して必要なコンポーネントを選択し終えると,その時点で選択内容を再確認して,必要に応じて変更することができます。この操作の後,インストールが実行されて,インストールされたコンポーネントおよび製品の情報が表示されます。次にその出力例を示しますが,ここでは,選択内容の確認は行われていません。表示される情報には,%UPGRADE-I-FIXUP メッセージが含まれていることがあります。このメッセージは,サポート対象外になった古いファイルが修正キットによって間違って保護されているということを示しています。この「FIXUP」メッセージに示されているファイルは,削除してもかまいません。

注意:

MEMORY CHANNEL で接続した OpenVMS Alpha システムを同時に 2 つインストールすると,次のようなメッセージが 5 秒ごとに表示されることがあります。

%PMA0 CPU00: 30-AUG-2004 14:58:40 Remote System Conflicts with 
Known System - REMOTE NODE
%PMA0 CPU00: 30-AUG-2004 14:58:45 Remote System Conflicts with 
Known System - REMOTE NODE

このメッセージは,無視してかまいません。インストールやアップグレードは,通常どおりに進行します。システムを実際のノード名でリブートすれば,このメッセージは表示されなくなります。 この例中のバージョン番号は,OpenVMS Version 8.4 で実際に出荷される製品のバージョン番号とは必ずしも一致しません。

Do you want to review the options? [NO] NO

Execution phase starting ...

The following products will be installed to destinations:
    HP I64VMS CDSA V2.3-306                DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS DECNET_PLUS V8.4             DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS HPBINARYCHECKER V1.0         DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS KERBEROS V3.1-152            DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS OPENVMS V8.4                 DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS VMS V8.4                     DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS WBEMCIM V2.91-A070728        DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS WBEMPROVIDERS V2.0-31        DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    
The following products will be removed from destinations:
    HP I64VMS CDSA V2.2                    DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS DECNET_PLUS V8.3             DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS KERBEROS V3.0                DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS OPENVMS V8.3                 DISK$I64084:[VMS$COMMON.]
    HP I64VMS VMS V8.3                     DISK$I64084:[VMS$COMMON.]

Portion done: 0%..10%..20%..30%..40%..50%..60%..70%..80%..90%..100% 
     
The following products have been installed:
    HP I64VMS CDSA V2.3-306                Layered Product
    HP I64VMS DECNET_PLUS V8.4             Layered Product
    HP I64VMS HPBINARYCHECKER V1.0         Layered Product
    HP I64VMS KERBEROS V3.1-152            Layered Product
    HP I64VMS OPENVMS V8.4                 Platform (product suite)
    HP I64VMS VMS V8.4                     Operating System
    HP I64VMS WBEMCIM V2.91-A070728........Layered Product
    HP I64VMS WBEMPROVIDERS V2.0-31........Layered Product

The following products have been removed:
    HP I64VMS CDSA V2.2                    Layered Product
    HP I64VMS DECNET_PLUS V8.2             Layered Product
    HP I64VMS KERBEROS V3.0                Layered Product
    HP I64VMS OPENVMS V8.3                 Platform (product suite)
    HP I64VMS VMS V8.3                     Operating System
                
HP I64VMS OPENVMS V8.4: OPENVMS and related products Platform
  
   HP I64VMS KERBEROS V3.1-152   

      Configure and set up Kerberos 
 
      If Kerberos will be run on this system, but has not been
      used previously, you need to perform the following steps.
      
      o Run the Kerberos cofniguration procedure:
      
        @SYS$STARTUP:KRB$CONFIGURE.COM            

      o Add the following line to SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM:
        
        $ @SYS$STARTUP:KRB$STARTUP

      o Add the following line to SYS$MANAGER:SYLOGIN.COM:

        $ @SYS$MANAGER:KRB$SYMBOLS

     
Press RETURN to continue:

6.4.7 アップグレード・プロシージャによるブート・オプションの作成と検証 (Integrity のみ)

OpenVMS Integrity をアップグレードする過程で,ブート・オプションの作成と検証を行うように指定したときは (6.3.8 項 「ブート・オプションの自動作成と検証を行うかどうかの選択 (Integrity のみ)を参照),この時点でプロシージャがブート・オプションを作成して,検証を行います。

  • NO と応答した場合は,次のメッセージが表示されます。

    If there is an existing boot option that was used to boot this
    system disk, you may be able to use it.
    Otherwise, you will have
    to use the EFI Shell the first time that you boot the newly
    installed system.
    After booting, use the OpenVMS I64 Boot Manager
    to create a Boot Option.
    To do this log in to a privileged
    account and execute this command:
    
       $ @SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS

    続いてアップグレードの完了通知と,Return (または Enter) を押して処理を続行するように促すプロンプトが表示されます。キーを押すと,OpenVMS のメイン・メニューに戻ります。OpenVMS のメイン・メニューでオプション 8 (「Execute DCL commands and procedures」) を選択し,DCL のプロンプト ($$$) に対してコマンドを入力すれば,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを起動できます。

  • YES と応答した場合は,システム・ディスク (DKB400: など) がブート・エントリに存在するかどうかが調べられます。

    • エントリが見つかると,次のようなメッセージが表示されます。

          The EFI Boot Manager menu includes the following boot option(s)
          for DKB400:
      
      Validate EFI Boot Options list:    Timeout = 0 secs.
      ----------------------------------------------------------------------
       1 DKB400 PCI(0|20|1|0)  Scsi(Pun1,Lun0)  "OpenVMS on DKB400: PKA0.1"
      ----------------------------------------------------------------------
      1 entries found.

      この例では,ブート・オプションが 1 つ検出されています。エントリが複数個検出されて,それらがすべて SCSI デバイスであった場合は,次のメッセージが表示され,続いてアップグレードが正常に行われたことが知らされます。

      
         The EFI Boot Manager menu includes multiple Boot Options for $1$DGA1200:
         Boot Options cannot be created or validated automatically.
      
         Please use the OpenVMS I64 Boot Manager to ensure that you 
         have a valid boot option for the system you have just installed.

      検出されたエントリが 1 つであった場合と,ファイバ・チャネル・デバイスのエントリが複数個検出された場合は,ブート・オプションが次のように検証されます。この例では,検出されたエントリによるブートが失敗して,修正と検証が行われています。

      Validate EFI Boot Options list:    Timeout = 0 secs.
      -------------------------------------------------------------------
         1 DKB400: PKA0.1
               DKB400 PCI(0|20|1|0) Scsi(Pun1,Lun0)  
               efi$bcfg: Option Failed.
      Fixing Boot Entry automatically.
              
      efi$bcfg: Entry 1 Boot0001 removed.
      efi$bcfg: DKB400 PCI(0|20|1|0) Scsi(Pun1,Lun0)  (Boot0001) Option
      successfully added 
      -----------------------------------------------------------------------
      1 entries validated.

    • エントリがなかった場合は,ブート・オプションが作成され,次の例のような検証情報が表示されます。

      efi$bcfg: DKB400: (Boot0003)  Option successfully added
      
          The Boot Option is called OpenVMS on DKB400:;
          it is the first entry in the Boot Options menu, and is
          configured (by default) to boot from SYS0.
      
      VMS_FLAGS are set to -fl 0,0

6.4.8 アップグレードの完了と OpenVMS オペレーティング・システム・メニューへの復帰

これでアップグレードが終了します。アップグレードしたシステムを初めてブートすると特殊な起動プロシージャが実行されることになりますが,ここでそのプロシージャに関する情報が表示されます。続いて,Return (または Enter) キーを押して処理を続行するように促すプロンプトが表示されます。キーを押すと,OpenVMS オペレーティング・システムのメニューに戻ります。次に,その画面出力の例を示します。

  The upgrade is now complete.

  When the newly upgraded system is first booted, a special
  startup procedure will be run.  This procedure will:

    o  Run AUTOGEN to set system parameters.
    o  Reboot the system with the newly set parameters.


  You may shut down now or continue with other operations.

   Process I64VMS_INSTALL logged out at 25-JUL-2009 14:45:49.54

Press Return to continue...

  ****************************************************************

  You can install or upgrade the OpenVMS I64 operating system
  or you can install or upgrade layered products that are included
  on the OpenVMS I64 distribution media (CD/DVD).
    
  You can also execute DCL commands and procedures to perform
  "standalone" tasks, such as backing up the system disk.
    
  Please choose one of the following:

    1)  Upgrade, install or reconfigure OpenVMS I64 Version 8.4
    2)  Display layered products that this procedure can install
    3)  Install or upgrade layered products
    4)  Show installed products
    5)  Reconfigure installed products
    6)  Remove installed products
    7)  Find, Install or Undo patches; Show or Delete recovery data
    8)  Execute DCL commands and procedures
    9)  Shut down this system      

Enter CHOICE or ? for help: (1/2/3/4/5/6/7/8/9/?)

6.4.9 システムのシャットダウン

アップグレードしたディスクをブートする前に別の作業を行う必要がなければ,次の例のようにメニューからシャットダウン・オプション (9) を選択してシステムをシャットダウンします。

Enter CHOICE or ? for help: (1/2/3/4/5/6/7/8/9/?)  9
    Shutting down the system
       .
       .
       .

         SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE

6.5 シャットダウン後の作業

OpenVMS Alpha システムの場合は,シャットダウンした後で,アップグレードした新しいシステム・ディスクを必要に応じてデフォルト・ブート・デバイスにし,そのシステム・ディスクをブートします。 OpenVMS Integrity システムの場合は,シャットダウンした後に,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用して,アップグレードしたシステム・ディスクをブート・オプションの 1 つとして追加し,検証することができます。 この作業を必要に応じて実施した後,アップグレードしたシステム・ディスクをブートします。 どちらのオペレーティング・システムをブートしても,AUTOGEN が自動的に実行されます。 AUTOGEN の実行が完了すると,システムは再びシャットダウンし,自動的にリブートします。 OpenVMS Cluster 環境で同時アップグレードやローリング・アップグレードを実行している場合は,この時点で他のどのクラスタ・メンバもブートしないでください。

この章で説明した作業が終わったら,第7章 「OpenVMS オペレーティング・システムのインストール後またはアップグレード後の作業」へ進んで,システムとクラスタの運用を開始する前に必要なアップグレード後の作業を実施してください。アップグレード後に必要な作業がすべて完了すれば,そのシステムまたはクラスタをリブートして,他のクラスタ・メンバを使用することができます。

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