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HP OpenVMS V8.4: インストレーション・ガイド付録 H OpenVMS Management Station のセットアップ |
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目次
この付録では,OpenVMS システムで OpenVMS Management Station サーバ・ソフトウェアを実行するための準備方法と,PC で OpenVMS Management Station クライアント・ソフトウェアを実行するための準備方法について説明します。また,その他の関連情報も説明します。 OpenVMS Management Station は,システム管理者や OpenVMS システムで管理作業を行うその他の担当者のために開発された,Microsoft Windows ベースの強力な管理ツールです。システム管理者は,OpenVMS Management Station を使用することで,管理対象システムの構成を管理者自身の便宜と環境への影響の両面でより効果的になるように整えることができます。OpenVMS Management Station のユーザ・インタフェースには幅広い機能が含まれており,システム管理者はそれらの機能を使用して OpenVMS のユーザ・アカウント,プリンタ,およびストレージを特定のシステムまたは複数のシステムにわたって管理することができます。たとえば,3 つの異なる OpenVMS Cluster システムに同じアカウントを持つユーザがいる場合,OpenVMS Management Station を使用すれば,その同じアカウントの各インスタンスに対して,プロセス・クォータの更新や特権の追加などを簡単に実行することができます。
OpenVMS Management Station は,PC にインストールされるクライアント・ソフトウェアと,管理対象の OpenVMS システムにインストールされるサーバ・ソフトウェアから構成されています。ただし,管理操作はすべて,PC から実行します。 OpenVMS Management Station サーバ・ソフトウェアは,OpenVMS をインストールまたはアップグレードすると,OpenVMS のシステム・ディスクへ自動的にインストールされます。 PC にインストールするクライアント側のファイルは,次の Web サイトからダウンロードできます。 http://www.hp.com/go/openvms/argus SYS$SYSTEM からサーバ・ファイル TNT$* が削除されている場合は,OpenVMS オペレーティング・システムを再インストールするか,上記 Web サイトから適切なキットをダウンロードしてインストールすることで,それらのサーバ・ファイルを回復することができます。 OpenVMS Management Station ソフトウェアがシステムに正しくインストールされていることを確認した後,この付録で説明している手順を実行します。 OpenVMS システムと PC で動作しているクライアント・ソフトウェアが正常に連携できるようにするには,OpenVMS システム側でサーバ・ソフトウェアを実行するための準備を行う必要があります。具体的には,次の各手順を実行します。
OpenVMS Management Station サーバでは,次の構成ファイルを使用します。
1 台の共用システム・ディスクを使用して同じ環境を提供するクラスタでは,共用システム・ディスク (つまり,クラスタ内の全ノードにマウントするディスク) の SYS$COMMON:[SYSEXE] ディレクトリに上記の構成ファイルがあるので,それを使用します。それ以上の作業は必要ありません。 ただし,共用システム・ディスクが複数個存在する OpenVMS Cluster システムで同じユーザ環境を提供するには,それらのシステム・ディスクにある構成ファイルを調整する必要があります。 この調整では,次のルールを守る必要があります。
構成ファイルの調整は,次の手順で実行します。
OpenVMS Cluster 内の複数のノードでリブートしなくても OpenVMS Management Station サーバ・ソフトウェアを使用できるようにするには,それらのノードでサーバ・ソフトウェアを起動する必要があります。 SYSMAN を使用して,次のようにサーバ・ソフトウェアを起動します。
あるいは,SYS$COMMON: ディレクトリを共用している各ノードにログインして,次のコマンドを実行します。
アップグレードまたは再インストールを実行しているときに対象ノードで OpenVMS Management Station がすでに動作している場合は,次のようにして,スタートアップ・コマンドへ RESTART パラメータを追加します。
OpenVMS Management Station では,エラー・ログ情報を TNT$SERVER_ERROR.LOG ファイルに出力します。このエラー・ログ・ファイルは SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] ディレクトリに作成されます。OpenVMS Management Station サーバは,クラスタ内の複数のノードで起動させることをお勧めしますが,その場合にはサーバのエラー・ログ・ファイルも複数個生成されます。 OpenVMS Management Station をインストールすると,そのノードで OpenVMS Management Station サーバが自動的に起動されます。また,このインストールがアップグレードの場合は,起動したサーバで既存の OpenVMS Management Station データベースが最新の V3.* 形式に変換されます。新規インストールの場合は,新しいデータベース・ファイル (TNT$ACS.DAT) が作成されるとともに,更新機能が自動的に起動されます。 データベースを完全に更新するには,クラスタ内のすべてのノードで OpenVMS Management Station サーバを起動します。それらのノードで起動したサーバは,他のサーバと相互に連絡し合って,デバイス,キュー,およびボリュームの情報を決定します。その間,各ノードでサーバが動作している必要があります。 OpenVMS Management Station サーバをシステム・スタートアップ・ファイルから起動させる場合は,システム・スタートアップ・プロシージャ (通常は SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM) へ,次の表にあるコマンドをいずれか 1 つ挿入します。挿入する箇所は,Queue Manager とネットワークの起動より後で,ENABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドの直前です。
第 2 パラメータを指定しない TNT$STARTUP BOOT は旧リリースにもありましたが,その機能は新しいリリースでも変わっていません。このコマンドは,OpenVMS Management Station で管理するプリンタにまだ起動されていないものがあるとそれらをすべて起動しますが,ボリュームのマウントはいっさい行いません。 システム・シャットダウン・ファイル (SYS$MANAGER:SYSHUTDOWN.COM) に次の行を追加します。
キューの起動やボリュームのマウントを行うための DCL プロシージャがまだ残っていても,すぐに削除する必要はありません。OpenVMS Management Station サーバでは,コマンド・プロシージャによってキューの起動やボリュームのマウントが実行されると,それらを認識して,管理者が意図的にそうしているものと解釈します。 これらの処理を実行する DCL のコマンドやプロシージャは,OpenVMS Management Station サーバの管理機能を深く理解した後でその必要性を判断し,不要であればそれらを削除またはコメント化して OpenVMS Management Station にプリンタ環境とストレージ環境の管理を任せることができます。 OpenVMS Management Station サーバでは,管理対象ボリュームをすべてマウントするようなコマンドを含む DCL コマンド・プロシージャを,定期的 (24 時間ごと) に作成します。DCL の理解が深まれば,このコマンド・プロシージャの内容を調べて,OpenVMS Management Station によって実行される処理を把握することができます。また,システムに未知の問題が発生したり,サーバ・データベース (SYS$SYSTEM:TNT$ACS.DAT) が破損したりした場合は,このコマンド・プロシージャを使用してボリュームをマウントできます。 作成されるコマンド・プロシージャのファイル名は TNT$EMERGENCY_MOUNT.COM です。TNT$EMERGENCY_MOUNT.COM は SYS$SYSTEM の中か,または論理名 TNT$ACS が指すディレクトリの中 (論理名 TNT$ACS が存在する場合は) に作成されます。 OpenVMS Management Station サーバで維持できる TNT$EMERGENCY_MOUNT.COM の数は 7 つまでです。 OpenVMS Management Station サーバをインストールすると,SYS$STARTUP:TNT$UTILITY.COM ファイルが自動的に作成されます。このコマンド・プロシージャは OpenVMS システムをスキャンして,既知のプリンタ,キュー,および関連デバイスのデータベースを更新します。 データベースは,次のタイミングで更新されます。
TNT$PRINTER_RECON_INTERVAL はスレッドの実行頻度を,また TNT$PRINTER_RECON_INTERVAL_MIN はデータベースの前回の更新から次の更新までに少なくともこれだけは待たなければならないという経過時間をそれぞれ表しています。 データベースの更新は,TNT$UTILITY.COM を手動で実行して行えますが,OpenVMS Management Station サーバでもデータベースを更新します。そのため,論理名 TNT$PRINTER_RECON_INTERVAL_MIN を設定することで,必要以上の頻度でデータベースが更新されるのを回避することができます。 どちらの論理名も,デフォルト以外の値に変更する場合は,OpenVMS Management Station サーバが動作しているすべてのノードで設定してください。 プリンタ構成の変更を OpenVMS Management Station で完全に自動化している環境では,その変更がすぐに構成ファイルへ反映されるため,TNT$UTILITY.COM プロシージャの手動実行が必要になることは,ほとんどありません。 一方,プリンタの構成を DCL で変更した場合 (DELETE /QUEUE コマンドでキューを削除した場合など) は,その変更が構成ファイルへすぐに反映されるとは限りません。 そのような場合は,OpenVMS Management Station クライアントから,TNT$UTILITY.COM プロシージャを実行してデータベースを同期させるように促すメッセージが表示されます。 システムのデータベースを同期させるには,クラスタ内のいずれかのノードで次のプロシージャを実行します。
たとえば,組織内の誰かが DCL を使用してキューを削除した場合は,そのキューをデータベースからも削除する必要があります。TNT$UTILITY.COM プロシージャは,システムが管理者の意図に合わせてセットアップされ動作しているものとして機能するようになっています。したがって,TNT$UTILITY.COM は必ず,既知の問題をすべて解決した後で実行してください。 TNT$UTILITY.COM を実行するには,SYSNAM 特権が必要です。 TNT$UTILITY.COM プロシージャでは,現在の OpenVMS システム上で動作している OpenVMS Management Station サーバに要求して,デバイスとキューの情報を調べさせます。したがって,TNT$UTILITY.COM を実行するには,同じノードで OpenVMS Management Station サーバが動作している必要があります。 TNT$UTILITY.COM から要求を受けた OpenVMS Management Station サーバでは,OpenVMS Cluster 内の他の OpenVMS Management Station サーバに接続して,デバイスとキューの情報を調べます。したがって,データベースを最新の状態で維持するためにも,OpenVMS Cluster 内の各ノードで OpenVMS Management Station サーバを常に動作させておくことをお勧めします。 OpenVMS Management Station サーバが,あるノードの OpenVMS Management Station サーバと接続できない場合は,その OpenVMS ノードの情報として,データベースに格納されている既知の情報が使用されます。言い換えれば,接続できない OpenVMS ノードについては,データベース内の情報が正しいものと解釈して処理が進められます。 TNT$UTILITY.COM ユーティリティは,パラメータ (UPDATE STORAGE) の指示に従ってストレージ・データベースを更新します。しかし,ストレージ・データベースは,OpenVMS Management Station クライアントでストレージ管理操作を実行するたびに,動的に更新されます。したがって,TNT$UTILITY.COM を実行してストレージ・データベースを更新する必要はありません。 OpenVMS Management Station をインストールする前に SYSTEM ディスクのディスク・クォータを無効にした場合は,そのクォータを再度有効にした後,次の各コマンドを実行して,クォータ情報を再構築してください。
OpenVMS Management Station では,次の 2 つの論理名を使用して,(メモリに) キャッシュされているストレージ構成データの更新間隔を決定します。
どちらの論理名についても,値を小さくすると,OpenVMS Management Station サーバが定期的なパージや調査で使用する CPU の時間が増加します。 OpenVMS Cluster システムの規模が大きい場合は,これらの論理名に許容範囲の上限に近い値を設定することで,クラスタの性能を高めることができます。 これらの論理名に値を設定しないと,OpenVMS Management Station サーバではデフォルト値を使用します。また,これらの論理名に値を設定しても,その値が許容範囲を外れていると使用されません。 OpenVMS でサポートされている TCP/IP スタックは TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.6 だけであり,その他のスタックはテストされていません。 ただし,TCP/IP Services for OpenVMS の QIO インタフェースと完全な互換性がある TCP/IP スタックであれば,OpenVMS と組み合わせて使用することができます (その詳細とサポートに関する情報については,使用する TCP/IP スタック製品の提供元に問い合わせてください)。 使用できる可能性をできるだけ高くするためにも,次の点を心がけてください。
OpenVMS Management Station を使用しているときに問題が発生した場合は,弊社に連絡してください。問題の性質と,弊社と交わしたサポート契約の種類に合わせて,次のどちらかの方法をとることができます。
OpenVMS Management Station サーバ・ソフトウェアは,OpenVMS をインストールまたはアップグレードすると,OpenVMS のシステム・ディスクへ自動的にインストールされます。このサーバ・ソフトウェアを他のキット (Web からダウンロードしたキットや,パッチ・キットなど) で後から再インストールする場合は,OpenVMS Management Station を削除することができます。ただし,PCSI ユーティリティを使用して OpenVMS システムから OpenVMS Management Station を削除した場合は,次のファイルが削除されずに残ります。
これらのファイルは,OpenVMS Management Station を削除した後でない限り,削除しないでください。 OpenVMS Management Station クライアント・ソフトウェアのファイルは,OpenVMS をインストールまたはアップグレードする過程で,OpenVMS システム・ディスクへ自動的にインストールするように選択しました (インストールしないように指定した場合でも,DCL の PRODUCT INSTALL TNT コマンドで後から追加したはずです)。OpenVMS システムをセットアップして OpenVMS Management Station サーバ・ソフトウェアが動作するようにしたら,次に PC をセットアップしてクライアント・ソフトウェアが動作するようにする必要があります。 PC に OpenVMS Management Station クライアント・ソフトウェアをインストールするには,ハードディスクに 20 MB の空きスペースが必要です。 OpenVMS Management Station クライアント・キットは,Intel システム (Microsoft Windows 2000 または Windows XP) 用のもの (TNT032-D.EXE) が次の Web サイトからダウンロードできます。 OpenVMS Management Station クライアントをインストールする PC は,Microsoft Windows 2000 または Windows XP で動作している必要があります。 このベースレベルに含まれている Microsoft Management Console (MMC) には,Microsoft Internet Explorer バージョン 3.02 以降で提供されているファイルが必要です。そのため,Microsoft Internet Explorer バージョン 3.02 以降がその PC にインストールされている必要があります。 クライアント・ファイル (TNT032-D.EXE) は,次の Web サイトからダウンロードできます。 http://www.hp.com/go/openvms/argus 次のどちらかの方法を使用して,クライアント・ファイルを PC の一時ディレクトリへコピーします。
インストール先ディレクトリは,インストール・プログラムを実行しているときに選択できます。デフォルトのインストール・ディレクトリは \Program Files\OpenVMS Mgmt Station\ です。 一時ディレクトリに TNT032-D.EXE ファイルを置いて実行します。これは自己解凍形式の実行可能ファイルで,OpenVMS Management Station のインストールを自動的に実行します。 OpenVMS Management Domain 内に OpenVMS Cluster オブジェクトまたは OpenVMS Node オブジェクトを作成する際は,そのシステムとの間にあるすべての接続で使用するプロトコルとして,DECnet Phase IV for OpenVMS または TCP/IP を選択します。 OpenVMS Management Station は,使用している OpenVMS システムと PC との間の通信,および,OpenVMS Management Station サーバが動作している他のすべての OpenVMS システムとの間の通信に,選択した伝送プロトコルを使用します。
次の節で説明するように,PC が (TCP/IP を使用する) 1 次サーバ・システムに接続できるかどうかを確認する必要はありません。PC は OpenVMS Management Station によって 1 次サーバ・システムへ接続され,クライアントで行う管理操作はターゲット・システムに転送されます。 1 次サーバ・システムの IP 名つまりホスト名は,hosts ファイルまたはネーム・サーバを使用して解決できるようにしておく必要があります。PC から 1 次サーバ・システムへ ping を送信して,応答が返ってくれば,この条件は満たされています。 OpenVMS Management Station V3.2 (およびそれ以降) のクライアントは,V2.1 のクライアントにいっさい依存していません。また,以前のバージョンと共用するファイルもいっさい存在しません。したがって,V3.2 (およびそれ以降) のクライアントをインストールすると,V2.1 のクライアント・ソフトウェアは削除してかまいません。 OpenVMS Management Station クライアント・ソフトウェアを削除する場合は,OpenVMS Management Station を終了させてから削除してください。OpenVMS Management Station が動作していると,削除できません。 OpenVMS Management Station Help を実行すると,次の各ファイルが作成されることがあります。
これらのファイルは,OpenVMS Management Station Uninstall プログラムを実行しても,削除されません。完全に削除するには,次の手順を実行してください。
OpenVMS Management Station Uninstall プログラムを実行しても,MMC のサポート・ファイルは削除されません。 |
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