OpenVMS オペレーティング・システムのインストールまたはアップグレードが完了しても,システムの運用開始に備えて,重要な作業をいくつか行う必要があります。システムをインストールまたはアップグレードした後に必要となるこれらの作業は,7.1 項 「インストール後の作業とアップグレード後の作業」 のチェックリストで,その実施状況を確認することができます。
表 7-1 「インストール後/アップグレード後の作業チェックリスト」 のチェックリストは,インストールまたはアップグレードの後で必要な作業をすべて実施しているかどうかを確認するために使用してください。特に明記されていない限り,これらの作業は,インストールでもアップグレードでも同じです。
表 7-1 インストール後/アップグレード後の作業チェックリスト
新規にインストールまたはアップグレードしたシステム・ディスクをシャドウ・セットのメンバにしない場合は,この章で説明する作業の前に,システム・ディスクをバックアップしておくことをお勧めします。作業中に問題が発生しても,システム・ディスクのバックアップ・コピーがあれば,インストールやアップグレードを再実行することなく,システム・ディスクを特定の状態へリストアすることができます。
システム・ディスクを複数のメンバからなるシャドウ・セットへ加える場合は,バックアップをとっておく必要はありません。シャドウ・セットは,7.7 項 「シャドウ・セットの作成」の説明に従って作成または再作成しますが,その際に,シャドウ・コピーの処理を通して,インストール/アップグレードしたシステム・ディスクのバックアップ・コピーが作成されます。ただしシャドウ・コピーの処理が完了したら,シャドウ・セットに追加した各メンバを必ずマウントから解除してください。続いて,この章に説明してある作業で必要と思われるものをすべて実行した後,シャドウ・セットを再作成してください。
新規にインストールまたはアップグレードしたシステム・ディスクを,シャドウ・セットのメンバにしない場合は,以下の手順を実行してシステム・ディスクをバックアップします (新規にインストールしたシステム・ディスクのバックアップは,オペレーティング・システムを再インストールする場合と同じ程度に簡単です)。
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システムをシャットダウンします (OpenVMS Alpha システムの場合はA.3.2 項 「システムのシャットダウン」を,OpenVMS Integrity システムの場合はB.7.2 項 「システムのシャットダウン」を参照してください)。
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3.2 項 「OpenVMS オペレーティング・システム・メディアのブート」の説明に従って,オペレーティング・システムのメディアをブートします。
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OpenVMS オペレーティング・システムのメニューからオプション 8 を選択して,DCL 環境に入ります。
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システム・デバイスと,バックアップ・コピーの作成先となるターゲット・デバイスをマウントします (テープにバックアップする場合は,次の手順へ進んでください)。たとえば,システム・ディスクを DKA0: に,またターゲット・デバイスを DKA100: にそれぞれマウントする場合は,次のコマンドを使用します (コロンは必要)。この例では /OVERRIDE 修飾子を指定しているため,ボリューム・ラベルを入力しなくてもシステム・ディスクをマウントできます。BACKUP /IMAGE コマンドを使用する場合は,/FOREIGN 修飾子を指定してターゲット・ディスクをマウントしておく必要があります。
$$$ MOUNT /OVERRIDE=IDENTIFICATION DKA0:
$$$ MOUNT /FOREIGN DKA100:
$$$ BACKUP /IMAGE /LOG DKA0: DKA100: |
/IMAGE 修飾子を指定しているので,Backup ユーティリティは,ブート可能なシステム・ディスクをコピーするのと同等の処理を行ないます。
また /LOG 修飾子により,バックアップの処理に合わせて各セーブ・セットの仕様が順次表示されます。
バックアップ・ファイルとソース・ファイルの比較を行なう場合は,/VERIFY 修飾子を指定します。
この際,相違が検出されると,Backup ユーティリティはエラー・メッセージを表示します。
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システム・ディスクを磁気テープにバックアップする場合は,次のコマンドを実行します。MTA0: には磁気テープ・ドライブを,また label にはボリューム・ラベルをそれぞれ指定します。BACKUP コマンドを実行すると,テープが自動的にマウントされて,バックアップが開始されます。
$$$ INITIALIZE MTA0: label
$$$ MOUNT /OVERRIDE=IDENTIFICATION DKA0:
$$$ BACKUP /IMAGE /LOG DKA0: MTA0:label.BCK |
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DCL 環境からログアウトします。
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メニューからオプション 9 を選択して,システムをシャットダウンします。
-
OpenVMS をアップグレードまたはインストールしたディスクからブートします。
システム・ディスクのバックアップは,カスタマイズの前だけでなく,カスタマイズの作業が問題なく完了してレイヤード・プロダクトをインストールした後も,行ってください。
オペレーティング・システムのメディアからブートしないでバックアップを作成する方法や,シャドウ・セットを無効にしないでシャドウ・ディスクをバックアップする方法など,バックアップ作業の詳細については,付録 F 「システム・ディスクのバックアップとリストア」 を参照してください。また,Backup ユーティリティについての詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』を参照してください。
インストール中に OpenVMS のライセンスを登録しなかった場合は,OpenVMS オペレーティング・システムを使用する前にライセンスを登録する必要があります。OpenVMS レイヤード・プロダクトのライセンスについても同じです。また,購入したオペレーティング・システムがプリインストールされている場合でも,ライセンスの登録は必要です。ライセンスはプリインストールされていません。新規にインストールしたシステム・ディスクに対してボリューム・シャドウ・セットを作成する予定がある場合は,VOLSHAD ライセンスを入力してロードする必要があります。
オペレーティング・システムをアップグレードした場合は,バージョンの新しい OpenVMS とレイヤード・プロダクトのライセンスをすべて登録してください。
OpenVMS Alpha と OpenVMS Integrity ではライセンス方式に違いがあるので注意してください。
OpenVMS Integrity システムの場合は,1 つのオペレーティング環境 (OE) ライセンスで,購入した OE に含まれているコンポーネントをすべて使用することができます。OE のライセンスは,プロセッサ単位の PCL (Per Core Licenses) 方式で提供されます。
ライセンスの登録方法についての詳細は,次のマニュアルを参照してください。
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『HP OpenVMS License Management Utility Manual』
-
『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』
-
OpenVMS Integrity システムについては,
『HP Operating Environments for OpenVMS for
Integrity Servers Software Product Description』(SPD 82.34.xx)
ライセンスの登録では,次の手順に従って OpenVMS License ユーティリティを使用します。
-
OpenVMS のシステム・プロンプトに対して次のコマンドを入力し,OpenVMS License ユーティリティを起動します (代わりに LICENSE REGISTER コマンドを使用することもできます)。
-
License ユーティリティから,次のようなメニューが表示されます。プロンプトに対して Enter を押すか 1 と入力して REGISTER オプションを選択した後,必要な PAK をすべて登録し終えるまで,ライセンスを順次入力していきます。
VMS License Management Utility Options:
1. REGISTER a Product Authorization Key
2. AMEND an existing Product Authorization Key
3. CANCEL an existing Product Authorization Key
4. LIST Product Authorization Keys
5. MODIFY an existing Product Authorization Key
6. DISABLE an existing Product Authorization Key
7. DELETE an existing Product Authorization Key
8. COPY an existing Product Authorization Key
9. MOVE an existing Product Authorization Key
10. ENABLE an existing Product Authorization Key
11. SHOW the licenses loaded on this node
12. SHOW the unit requirements for this node
99. Exit this procedure
Type '?' at any prompt for a description of the information
requested. Press Ctrl/Z at any prompt to return to this menu.
Enter one of the above choices [1] |
-
ライセンスの登録が成功するたびに,ライセンスをロードするかどうかを尋ねるプロンプトが表示されるので,YES と入力します。
-
ライセンスの登録とロードがすべて完了したら,オプション 99 を選択して License Management プロシージャを終了します。
シャドウ・システム・ディスクを作成する予定がある場合は,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルにシステム・パラメータを追加しておく必要があります。MODPARAMS.DAT ファイルの末尾に,以下の行を追加してください。
SHADOWING=2 !Enable volume shadowing
SHADOW_SYS_DISK=1 !Enable shadowing of the system disk
SHADOW_SYS_UNIT=n !Optional: default is 0, which creates DSA0
SHADOW_MAX_COPY=4 !Allow up to 4 shadow copies or merges going on at the same time
ALLOCLASS=x !This number must be non-zero;
!it must be used if local non-FC devices are going to be
!shadow set members
|
システムでゼロ以外の ALLOCLASS 値をすでに使用している場合は,その値を変更しないでください。これらのパラメータと,ボリューム・シャドウイング用に設定できるその他のシステム・パラメータについての詳細は,『Volume Shadowing for OpenVMS 説明書』を参照してください。
クラスタに対して ALLOCLASS を設定する方法についての詳細は,『HP OpenVMS Cluster システム』を参照してください。
V7.1 以降の OpenVMS Alpha には,BAP (Bus-Addressable Pool) の動作を制御するためのシステム・パラメータがあります。
性能を向上させる方法として BAP を使用しているアダプタは数多くあり,CIPCA,CIXCD,KFMSB,および Qlogic ISP 1020 (KZPSM-AA) などのアダプタは,その例です。BAP は I/O バスと 32 ビット・アダプタにある物理アドレスの制限を回避するために使用されるメモリ・プールであり,動的でページングされない物理アドレスのフィルタリングに基づいて動作します。
次の表に,BAP 関連のシステム・パラメータ (以下 BAP システム・パラメータと呼びます) と,そのデフォルト値を示します。
システム・パラメータ | デフォルト値 |
---|
NPAG_BAP_MIN | 0 |
NPAG_BAP_MAX | 0 |
NPAG_BAP_MIN_PA | 0 |
NPAG_BAP_MAX_PA | -1 |
これらのパラメータにデフォルト値が設定されていると,ブートの時に BAP 関連のシステム構成がいっさい行われません。構成対象のシステムで AUTOGEN を実行すると,現在のシステム構成で性能が向上するように,BAP 関連のシステム・パラメータ値が再設定されます。
OpenVMS をアップグレードした場合は,次の手順を実行するようにお勧めします。また,ハードウェアを変更した後でシステムがブートしなくなって,メッセージに正しくない BAP パラメータが表示された場合も,次の手順を実行するようお勧めします。
-
BOOT コマンドを次の形式で実行して,会話型ブートを開始します。
BOOT -FLAGS 0,1 [device-name]
device-name には,ブートに使用するシステム・ディスク・ドライブのデバイス名を指定します。たとえば,システム・ディスクのドライブ名が DKA400 であれば,次のコマンドを入力して Enter キーを押します。
>>> BOOT -FLAGS 0,1 DKA400 |
-
SYSBOOT> プロンプトに対して,次のように入力します。
NPAG_BAP_MIN 0
NPAG_BAP_MAX 0
NPAG_BAP_MIN_PA 0
NPAG_BAP_MAX_PA -1
-
システムがブートするはずなので,ブートしたら,次のコマンドを実行します。
$ RUN SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.EXE |
-
直前の手順で実行したコマンドによって,現在のシステム構成に適した BAP 値を含むファイルが生成されます。具体的な値を確認するには,次のコマンドを実行します (AGEN$FEEDBACK.DAT 内の BAP パラメータは,先頭に NPAG_ が付いていません)。
$ SEARCH SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DAT BAP |
-
次のコマンドを実行して,MODPARAMS.DAT ファイル内に BAP の値を明示的に設定しているエントリが存在するかどうかをチェックします。
$ SEARCH SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT BAP |
MODPARAMS.DAT を編集して,シャドウイング・パラメータを有効化または変更した場合 (7.4 項 「ボリューム・シャドウイング用のシステム・パラメータ設定 (省略可)」を参照) や,ハードコードされた BAP システム・パラメータを削除した (7.5 項 「BAP システム・パラメータの調整 (Alpha をアップグレードした場合のみ)」を参照) 場合は,次の手順に従って AUTOGEN を実行し,システムをリブートしてください。この操作で,変更が有効になります。
-
次のコマンドで AUTOGEN を実行します。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA TESTFILES NOFEEDBACK |
-
AUTOGEN の実行が終了したら,SYS$SYSTEM:AGEN$PARAMS.REPORT ファイルを表示するかまたはプリントして,その内容を確認します。このファイルには,SYSGEN パラメータに加えられた変更と,MODPARAMS.DAT 内に明示的な値または最大値が指定されていたために AUTOGEN で設定できなかった値のリストが含まれています。
-
AGEN$PARAMS.REPORT ファイルの内容を確認した結果,MODPARAMS.DAT にその他の変更を加える必要が生じた場合は,ここで変更します。変更したら,手順 1 から繰り返します。
-
パラメータの設定に問題がなければ,次の AUTOGEN コマンドを実行します。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GENPARAMS SETPARAMS NOFEEDBACK |
このコマンドによってパラメータの変更が反映され,リブートの後で有効となります。
-
次のコマンドを実行して,システムをリブートします。
AUTOGEN の詳細については,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』を参照してください。
ボリューム・シャドウイングの環境でディスクをアップグレードした場合は,シャドウ・セットを再作成する必要があります。新しくインストールしたシステム・ディスクに対してシャドウ・セットを作成する場合は,この時点から実行できます。ただし,そのためには,VOLSHAD ライセンスを入力してロードしておく必要があります。さらに,7.4 項 「ボリューム・シャドウイング用のシステム・パラメータ設定 (省略可)」で説明しているように,いくつかのシステム・パラメータを設定してから,7.6 項 「AUTOGEN の実行によるシステム・パラメータの変更反映」で説明しているように,AUTOGEN を実行してシステムをリブートしなければなりません。
新規にインストールしたシステム・ディスクまたはアップグレードしたシステム・ディスクをマスタにしてシャドウ・セットを作成すると,そのシャドウ・セット内の他のディスクは,システム・ディスクのコピーで更新されることになります (シングル・メンバのシャドウ・セットでは,更新すべきディスクは他に存在しませんが,故障したドライブの交換時にそのシャドウ・セットを利用することはできます)。
シャドウ・セットを作成したら,シャドウ・セットの 1 メンバをディスマウントして,バックアップとして保存します。この章で推奨している作業手順が終了すれば,シャドウ・セットに (最終的なバックアップの代わりに) 別のボリュームを追加したり,以前にマウント解除したボリュームを追加し直したりすることができます。
シャドウ・セットの作成は,次の手順で行います。
-
SHOW DEVICE D コマンドを実行し,使用している現在のシステムで利用できるディスクのリストを表示します。次に,その例を示します。
$ SHOW DEVICE D
Device Device Error Volume Free Trans Mnt
Name Status Count Label Blocks Count Cnt
$11$DKB100: (NODE1) Online 0
$11$DKB200: (NODE1) Mounted 0 I64084 918150 1 31 |
-
次の形式でコマンドを実行します。
MOUNT/CONFIRM/SYSTEM DSAn: /SHADOW=(upgraded-disk:,new-member:) volume-label
指定する引数は次のとおりです。
-
DSAn: シャドウ・セットの仮想ユニット名 (n は 0_999 の範囲にあるユニークな数値)
-
upgraded-disk: OpenVMS をアップグレードまたはインストールしたシャドウ・システム・ディスクの名前
-
new-member: シャドウ・セットにメンバとして追加するディスクの名前
-
volume-label: アップグレードしたシャドウ・セット (または作成しているディスク) のボリューム・ラベル
例
$ MOUNT/CONFIRM/SYSTEM DSA54: /SHADOW=($11$DKB200:,$11$DKB100:) I64084
%MOUNT-F-SHDWCOPYREQ, shadow copy required
Virtual Unit - DSA54 Volume label I64A084
Member Volume label Owner UIC
$11$DKB100: (NODE1) SCRATCH [100,100]
Allow FULL shadow copy on the above member(s)? [N]: YES |
OpenVMS システムは,その使用サイトのニーズに合わせてカスタマイズすることができます。また,Integrity サーバを OpenVMS Cluster 環境で運用する場合は,そのクラスタ環境をセットアップして,クラスタを構成する必要があります。この節では,この時点で実行できるカスタマイズの作業について説明します。これらの作業は新規インストールの場合にだけ行うのが普通ですが,一部のアップグレードでも行うことがあります。具体的な手順を簡単に示すと,次のようになります。
システムのカスタマイズ方法についての説明は,次のドキュメントを参照してください。
-
リリース・ノート ― カスタマイズの計画に関連する注意と制約事項が記載されています。
-
『HP OpenVMS システム管理者マニュアル』 ― システムのカスタマイズ方法と使用方法が記載されています。
この章では,上記以外のカスタマイズ作業についても記載してあります。
7.8.1 ネットワーク・プロキシ認証ファイルの作成 |
|
OpenVMS の新規インストールで DECnet をインストールした場合と,アップグレードで DECnet を追加した場合は,ネットワーク・プロキシ認証ファイルを作成します。ネットワーク・プロキシ認証ファイルには,ネットワーク・プロキシ・アカウントを使用するユーザのセキュリティ認証情報が含まれています。これを作成しないでシステムを起動すると,起動中に次のようなメッセージが表示されることがあります。
Message from user SYSTEM on HOMER
%SECSRV-E-NOPROXYDB, cannot find proxy database file NET$PROXY.DAT
%RMS-E-FNF, file not found |
ネットワーク・プロキシ認証ファイルは,2 つのファイルの総称です。中心となるファイルは NET$PROXY.DAT で,もう 1 つのファイルは NETPROXY.DAT です。ネットワーク・プロキシ認証ファイルを作成するには,以下のコマンドを実行します。
$ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYSEXE]
$ MC AUTHORIZE CREATE/PROXY
$ SET DEFAULT SYS$LOGIN |
ネットワーク・プロキシ・アカウントとネットワーク・プロキシ認証ファイルについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。Authorize ユーティリティの詳細は,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』を参照してください。
7.8.2 キュー・マネージャとデフォルト・キューのセットアップ |
|
OpenVMS を初めてインストールするときは,キュー・マネージャもキューもいっさい作成されません。キュー・マネージャと,デフォルトのバッチ・キューおよびプリント・キューは,この時点で作成することをお勧めします。レイヤード・プロダクトを 7.15 項 「レイヤード・プロダクトのインストールと構成 (新規にインストールした場合と,一部のアップグレード)」の説明に従ってインストールする際は,一部のプロダクトでこれらのキューが必要となります。存在しなければ作成が試みられます。
新しくインストールする OpenVMS のキュー・マネージャとバッチ・キューをセットアップするには,DCL プロンプトに対して以下のコマンドを実行します。
$ START QUEUE /MANAGER /NEW_VERSION
$ INITIALIZE /QUEUE /START /BATCH SYS$BATCH |
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| 注記:
オペレーティング・システムのアップグレードを行なった場合は,START QUEUE コマンドに /NEW_VERSION 修飾子は指定しないでください。
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|
前述したように,キュー・マネージャは OpenVMS の次回のブートから自動的に起動されるようになります。SYS$BATCH キューを自動的に起動させるには,SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM ファイル内にある SYS$BATCH キューの起動行から疑問符 (!) を削除します。同じ行にドル記号 ($) が含まれている場合は,それも削除してください。次に,この行を編集する前と編集した後の例を示します。ファイル内の同じセクションで,デフォルトのシステム・プリント ・キュー (SYS$PRINT) も設定できます。
編集前 | $!$ START
/QUEUE SYS$BATCH |
編集後 | $ START
/QUEUE SYS$BATCH |
キューの作成と起動についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
7.8.3 マルチヘッド・システムの構成 (省略可) |
|
マルチヘッド構成とは,1 台のシステム (HP AlphaServer ES40 など) でグラフィック・オプションを複数個使用できる構成のことです。また,グラフィック・オプションとは,グラフィック・コントローラ (カード) 1 枚と,グラフィック表示インタフェース (モニタ) 1 台の組み合わせのことです。
システムをマルチヘッド用に自動構成させる場合は,個人用のサーバ・セットアップ・テンプレート・ファイルをコマンド・プロシージャ・ファイル (.COM) にコピーします。このコマンド・プロシージャが,DECwindows Motif サーバを起動または再起動した時にロードされます。
マルチヘッド構成を使用できるようにシステムを構成する場合は,次の手順を実行します。
-
次のコマンドで個人用のサーバ・セットアップ・テンプレート・ファイルをコピーし,新しい .COM ファイルを作成します。
$ COPY SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_SERVER_SETUP.TEMPLATE
_To: SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_SERVER_SETUP.COM |
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次のコマンドを実行して,DECwindows サーバを再起動します。
$ @SYS$STARTUP:DECW$STARTUP RESTART |
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_SERVER_SETUP.COM ファイルを使用して,DECwindows 環境をカスタマイズする方法についての詳細は,『DECwindows Motif for OpenVMS インストレーション・ガイド』と『DECwindows Motif for OpenVMS 管理ガイド』の最新版を参照してください。
7.8.4 DECnet の構成 |
|
OpenVMS と一緒に DECnet をインストールした場合と,OpenVMS のアップグレード中に DECnet を追加した場合は,ここで DECnet を構成する必要があります。
インストールした DECnet のバージョンに合った方法に従ってください。
OpenVMS Alpha と OpenVMS Integrity のライセンスに関する要件は,それぞれ以下のとおりです。
-
OpenVMS Alpha システム:
DECnet の基本機能あるいは拡張機能を使用するには,
適切なライセンスが登録およびロードされている必要があります
(それぞれ,DECnet エンド・システム・ライセンスおよび DECnet 拡張機能ライセンス)。
-
OpenVMS Integrity サーバ:
DECnet エンド・システム・ライセンスは Base Operating Environment (BOE) に含まれています。
DECnet の高度な機能 (ルーティング,DTSS サーバ,DNS サーバなど) を利用するには,DECnet-Plus 拡張ライセンスを登録してロードする必要があります。
ライセンスのロードと登録については
7.3 項 「ライセンスの登録」
を参照してください。
DECnet-Plus for OpenVMS ソフトウェアをインストールした場合は,『DECnet-Plus for OpenVMS Release Notes』と『HP DECnet-Plus for OpenVMS Installation and Configuration』を参照してください。このソフトウェアを NET$CONFIGURE プロシージャで構成する方法が記載されています。
DECnet Phase IV をインストールした場合は,『DECnet for OpenVMS Guide to Networking』を参照してください。NETCONFIG コマンド・プロシージャによるこのソフトウェアの構成についての情報が記載されています。
DECnet Phase IV を設定したら,システムのリブートで DECnet Phase IV も起動するように SYS$COMMON:[SYSMGR]SYSTARTUP_VMS.COM を編集します (DECnet Phase V の場合はこの手順が不要です)。DECnet Phase IV を会話モードまたはバッチ・モードのどちらで起動するかに合わせて,以下のように変更します。
会話モード | 変更前 $!$ START/NETWORK DECNET 変更後 $ START/NETWORK DECNET |
バッチ・モード | 変更前 $!$ SUBMIT SYS$MANAGER:STARTNET.COM 変更後 $ SUBMIT SYS$MANAGER:STARTNET.COM |
STARTUP-VMS.COM の編集についての詳細は,7.18 項 「レイヤード・プロダクトとプリント・キューを起動させるための SYSTARTUP_VMS.COM の更新」を参照してください。
7.8.5 HP TCP/IP Services for OpenVMS の構成 |
|
TCP/IP Services for OpenVMS ソフトウェアの実行を予定している場合は,次の点に注意してください。
-
会話型の SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを実行して,ネットワークを使用できるようにシステムを構成してください。
TCP/IP Services for OpenVMS と IPv6 の具体的な構成方法については,『TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィグレーション・ガイド』を参照してください。
-
構成が完了したら,SYS$COMMON:[SYSMGR]SYSTARTUP_VMS.COM 内の TCP/IP Services for OpenVMS に関連するコマンドを編集して,システムのリブートで TCP/IP Services ソフトウェアが自動的に起動するようにしてください (編集方法については7.18 項 「レイヤード・プロダクトとプリント・キューを起動させるための SYSTARTUP_VMS.COM の更新」の指示に従ってください)。
7.8.6 他社製ネットワーク・ソフトウェアのインストールと構成 |
|
ネットワーク・ソフトウェアは,パッチのダウンロードに必要であるだけでなく,一部のレイヤード・プロダクトでは前提条件にもなっています。DECnet または TCP/IP Services for OpenVMS をどちらも使用しない場合は,ここで他社製のネットワーク・ソフトウェアをインストールして構成することをお勧めします。詳細については,提供元ベンダの製品ドキュメントを参照してください。
次に挙げる製品については,初期化や構成を必要に応じて行います。その方法については,併記されている参照先の説明を参照してください。
7.9.1 CDSA の初期化 (省略可) |
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CDSA (Common Data Security Architecture) ソフトウェアは,オペレーティング・システムをインストールまたはアップグレードすると,自動的にインストール,設定,および初期化されます。CDSA が必要となるのは,Secure Delivery などのセキュリティ機能を使用する場合です。したがって,これらの機能を使用しなければ CDSA も不要です。
基本オペレーティング・システムをアップグレードしないで新しい CDSA キットをインストールした場合は,最初に使用する前に,次のコマンドを入力して CDSA キットを初期化しなければなりません。このコマンドは,SYSPRV 特権と CMKRNL 特権の両方を持つアカウント (SYSTEM アカウントなど) で実行してください。
$ @SYS$STARTUP:CDSA$UPGRADE |
次に,このコマンドの出力例を示します。
Module uninstalled successfully.
.
.
.
CDSA-I-Init, CDSA has previously been initialized on this system.
CDSA-I-Init, Re-initializing CDSA.
CDSA-I-Init, Initializing CDSA
MDS installed successfully.
.
.
.
CDSA-I-Init, CDSA Initialization complete
CDSA-I-Init, Initializing Secure Delivery
Install completed successfully.
Install completed successfully.
Module installed successfully.
Module installed successfully.
CDSA-I-Init, Secure Delivery Initialization complete |
CDSA についての詳細は,『HP Open Source Security for OpenVMS, Volume 1: Common Data Security Architecture』を参照してください。
7.9.2 Availability Manager 基本ソフトウェアの構成 (省略可) |
|
OpenVMS オペレーティング・システムをインストールすると,Availability Manager の基本キットも自動的にインストールされます。
ただし,Availability Manager は使用しなくてもかまいません。
Availability Manager やそれに依存する製品を使用しない場合は,次の手順へ進んでください。
Availability Manager の基本キットに含まれているファイルは,Data Collector と呼ばれる機能を使用する場合に必要となります。
Data Collector は,Availability Manager 製品と DECamds 製品のデータを収集するために使用します。
収集したデータを表示するには,ローカル・ネットワーク上の OpenVMS または Windows ベースのノードに,Availability Manager Data Analyzer キットをインストールする必要があります。このキットは OpenVMS のアップグレード・メディアに含まれていますが,次の Web サイトからダウンロードすることもできます。
http://www.hp.com/products/openvms/availabilitymanager
Availability Manager の基本キットに含まれているファイルと OpenVMS V7.2 以降のインストール・キットに含まれていたファイルは同じものです。ただし OpenVMS V8.2 以降では 1 つだけ変更点があります。それは,これらのファイルがオペレーティング・システム・キットのオプション・ソフトウェア製品としてではなく,必須製品としてインストールされるようになったことです。これらのファイルを構成して使用するための手順は,変更されていません。
Availability Manager の基本キットに含まれているファイルの構成方法とその使用方法についての詳細は,OpenVMS における Availability Manager のインストール方法を解説したマニュアル (『HP Availability Manager Installation Instructions』) の「Performing Postinstallation Tasks」の節を参照してください。このマニュアルやその他の Availability Manager 関連ドキュメントは,上記の Webサイトから入手できます。
7.9.3 Kerberos の構成 (省略可) |
|
Kerberos for OpenVMS ソフトウェアは,MIT の Kerberos に基づいて設計されています。OpenVMS オペレーティング・システムをインストールすると,Kerberos for OpenVMS も自動的にインストールされます。
ただし,Kerberos は使用しなくてもかまいません。
Kerberos やそれに依存する製品を使用しない場合は,次の手順へ進んでください。
Kerberos を構成するには,十分な特権を持つ OpenVMS のユーザ・アカウント (SYSTEM など) で,次の手順を実行します。
-
次のコマンド・プロシージャを実行して,Kerberos のクライアントとサーバを構成します。
$ @SYS$STARTUP:KRB$CONFIGURE.COM |
-
自分の SYLOGIN コマンド・プロシージャ,または Kerberos を使用する各ユーザの LOGIN.COM に,次の行を追加します。
$ @SYS$MANAGER:KRB$SYMBOLS |
-
次の例に示すように,SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM を編集して,KRB$STARTUP.COM の行から感嘆符 (!) を削除します (SYSTARTUP_VMS.COM は,HP TCP/IP Services for OpenVMS を Kerberos より先に起動させるようになっており,その順序は変更できません)。
$ @SYS$STARTUP:KRB$STARTUP.COM |
セットアップと構成に関するその他の情報については,『HP Open Source Security for OpenVMS, Volume 3: Kerberos』を参照してください。このマニュアルには,MIT の Kerberos ドキュメントに対するリンクも含まれています。このマニュアルは,OpenVMS V8.4 キットに収められています。
7.9.4 SSL for OpenVMS の構成 (省略可) |
|
HP SSL for OpenVMS ソフトウェアは,OpenVMS オペレーティング・システムをインストールすると,自動的にインストールされます。
ただし,SSL は使用しなくてもかまいません。
SSL やそれに依存する製品を使用しない場合は,次の手順へ進んでください。
VMS$LPBEGIN-050 に SSL$STARTUP.COM コマンド・プロシージャが追加されたことで,SSL を自動的に起動できるようになりました。
次の行を SYS$MANAGER:SYSHUTDOWN.COM に追加してください。
$ @SYS$STARTUP:SSL$SHUTDOWN.COM |
バージョンの古い SSL がインストールされているシステムをアップグレードする場合は,SYS$STARTUP 内の SSL$STARTUP.TEMPLATE ファイルを,同じディレクトリ内の SSL$STARTUP.COM にコピーしてください。
また,SSL のリリース・ノートで説明されているように,これ以外にもインストールやアップグレードを行った後でいくつか作業を行う必要があります。リリース・ノートは,SYS$HELP:SSLnnn.RELEASE_NOTES (nnn は 013 など,SSL ソフトウェアのバージョン番号) にあります。
SSL についての詳細は,『HP Open Source Security for OpenVMS, Volume 2: HP SSL for OpenVMS』を参照してください。
7.9.5 WBEM Services for OpenVMS の構成 (省略可,Integrity のみ) |
|
WBEM Services for OpenVMS は,OpenVMS をインストールすると自動的にインストールされます。
他の同様の製品と同じく,OpenVMS のアップグレードでは,WBEM Services for OpenVMS がすでにターゲット・システム・ディスクにインストールされている状態でないと,自動的にはアップグレードされません。
その場合は,PCSI PRODUCT INSTALL コマンドを使用して,個別に製品をインストールする必要があります。
WBEM Services for OpenVMS やそれに依存する製品を使用しない場合は,このソフトウェアを構成しないでください。
すでにこのソフトウェアを構成している場合は,起動しないように設定することもできます。
HP SIM (Version 5.2 以降) や Instant Capacity および gWLM などの製品によって提供されるサービスを利用するためには,WBEM Services for OpenVMS を構成する必要があります。
ネットワーク経由でサービスを提供するためには,TCP/IP Services for OpenVMS と SSL (セキュリティのため) が必要で,これらを構成し実行しなければなりません
。
TCP/IP Services for OpenVMS の構成方法については,7.8.5 項 「HP TCP/IP Services for OpenVMS の構成」を参照してください。
これまでに WBEM Services for OpenVMS をインストールして構成したことがないシステムで WBEM Services for OpenVMS を構成する場合は,7.9.5.1 項 「WBEM Services for OpenVMS の構成 (以前構成していない場合)」の手順に従ってください。
以前構成したことがあるシステムで製品を構成する場合は,7.9.5.2 項 「WBEM Services for OpenVMS の構成 (以前構成した場合)」を参照してください。
HP WBEM 製品についての詳細は,次の Web サイトを参照してください。
http://www.hp.com/go/wbem
|
| |
|
| 注記: WBEM Services for OpenVMS 製品は,必要がなくても削除しないことをお勧めします。
PRODUCT REMOVE コマンドを使用してこの製品を削除しようとすると,以下のようなメッセージが表示されます。
このメッセージは,OpenVMS で必要なすべての製品に対して,自動的に表示されます。
WBEM Services for OpenVMS を削除しても,他のソフトウェアがサーバでこの製品を使用していなければ,このメッセージの内容ほど重大な結果にはならないこともあります。
%PCSI-E-HRDREF, product HP I64VMS WBEMCIM V2.91 is referenced
by HP I64VMS OPENVMS V8.4
The two products listed above are tightly bound by a software dependency.
If you override the recommendation to terminate the operation, the
referenced product will be removed, but the referencing product will have
an unsatisfied software dependency and may no longer function correctly.
Please review the referencing product’s documentation on requirements.
Answer YES to the following question to terminate the PRODUCT command.
However, if you are sure you want to remove the referenced product then
answer NO to continue the operation.
Terminating is strongly recommended.
Do you want to terminate? [YES] |
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7.9.5.1 WBEM Services for OpenVMS の構成 (以前構成していない場合)
そのシステムで初めて WBEM Services for OpenVMS を構成する場合は,以下の手順に従います。
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次のコマンドを実行します。
$ RUN SYS$SYSROOT:[WBEM_SERVICES]WBEM_SERVICES$CONFIG |
このコマンドを実行すると,WBEM Services for OpenVMS を構成して環境を初期化するユーティリティが起動されます。
-
構成ユーティリティの初期バナーが表示された後,構成ファイルとリポジトリを格納する場所が表示されて,その場所を変更するかどうかを質問されます。
The configuration files and repository will be placed in the following location:
SYS$SPECIFIC:[WBEM_Services].
Do you want to change this location (Yes/No) [No]?: |
デフォルトの場所を承諾すると,次の例のように,構成に必要な質問の回答がすべて終わったことが表示され,続行するかどうかを質問されます。
続行を選択すると,ユーティリティは CIMServer リポジトリ・ツリーを指定の場所に作成します。
CIMServer は,特定のアプリケーションをサポートするためにそのシステムで動作する WBEM Services for OpenVMS のプロセスです。
また,以下のコマンド・ファイルも作成されます。
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com |
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Shutdown.com |
SYS$SYSROOT:[WBEM_SERVICES]WBEM_Services$Define_Commands.com |
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com ファイルでは,WBEM Services for OpenVMS 環境で使用するシステム論理名を定義します。
All configuration questions have been answered.
Do you want to continue (Yes/No) [YES]?:
%WBEMCONFIG-I-CREREPBEGIN, Create Repository Begins...
%WBEMCONFIG-I-CREREPCOMPLETE, Create Repository Complete.
This utility creates:
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com
which should be added to SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM.
This utility creates:
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Shutdown.com
which should be added to SYS$STARTUP:SYSHUTDWN.COM.
This utility creates:
SYS$SYSROOT:[wbem_services]WBEM_Services$Define_Commands.com
which users who use this product can add to their login.com. |
-
CIMServer を起動するかどうかを質問されます。
Do you want to start the CIMServer now (Yes/No) [Yes]?: |
システムで Instant Capacity や gWLM などのアプリケーションを使用するには,CIMServer が動作している必要があります。
CIMServer は,この時点で起動することも,インストールまたはアップグレード後の他の作業を先に実行してから起動することもできます。
この時点で CIMServer を起動することを選択すると,次の例のように,その進行状況とオペレーティング・システムの情報が表示されます。
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 21A00599
%WBEMCIM-I-STARTUPWAIT, Waiting for CIMServer to start... 120 seconds remaining.
%WBEMCIM-S-CSSTARTED, CIMServer successfully started.
OperatingSystem Information
Host: boston.hp.com
Name: OpenVMS
Version: V8.4
UserLicense: Unlimited user license
Number of Users: 1 users
Number of Processes: 29 processes
OSCapability: 64 bit
LastBootTime: Jul 31, 2009 10:52:55 (-0400)
LocalDateTime: Aug 3, 2009 10:14:58 (-0400)
SystemUpTime: 256923 seconds = 2 days, 23 hrs, 22 mins, 3 secs
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 21A00599
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-
CIMServer がリブートのたびに自動的に起動されるように,次の行を SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM ファイルの TCP/IP を起動する行の後に追加します。
$ @SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com
CIMServer がオペレーティング・システムと一緒に自動的にシャットダウンされるように,次の行を SYS$MANAGER:SYSSTARTUP:SYSHUTDWN.COM ファイルに追加します。
$ @SYS$STARTUP:WBEM_Services$Shutdown.com
この製品を使用するユーザはすべて,次の行を各自の LOGIN.COM ファイルに追加する必要があります。
$ @SYS$STARTUP:WBEM_Services$Define_Commands.com
-
OpenVMS Cluster では,WBEM Services for OpenVMS を実行するメンバごとに独自のリポジトリが必要です。
そのため,WBEM Services for OpenVMS の構成手順を,これらクラスタ・メンバのそれぞれで実行する必要があります。
7.9.5.2 WBEM Services for OpenVMS の構成 (以前構成した場合)
以前構成したことがあるシステムで WBEM Services for OpenVMS を構成する場合は,以下の手順に従います。
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次のコマンドを入力します。
$ RUN SYS$SYSROOT:[WBEM_SERVICES]WBEM_SERVICES$CONFIG |
このコマンドを実行すると,WBEM Services for OpenVMS を構成して環境を初期化するユーティリティが起動されます。
OpenVMS Integrity V8.3 で利用可能な WBEM Services for OpenVMS 製品 (バージョン 2.0) がそのシステムですでに構成されている場合は,次のエラー・メッセージと推奨の対処方法が表示されます。
%WBEMCONFIG-E-SYSCOMMONLOGICAL, WBEM_VAR can no longer be defined to point to
a location in SYS$COMMON.
The repository files in WBEM_VAR should not be shared
with other cluster members.
Follow these manual steps to move the repository out of the SYS$COMMON
area and complete the post installation configuration tasks:
o Delete the sys$common:[WBEM_Services.var...] directory tree.
o Deassign the WBEM_VAR system logical.
o Run this procedure again. |
次の例のように,推奨手順を実行します。
$ DELETE SYS$COMMON:[WBEM_SERVICES.VAR...]*.*;*
$ DELETE SYS$COMMON:[WBEM_SERVICES]VAR.DIR;*
$ DEASSIGN/SYS WBEM_VAR
$ RUN SYS$SYSROOT:[WBEM_SERVICES]WBEM_SERVICES$CONFIG |
構成プロシージャを起動したら,7.9.5.1 項 「WBEM Services for OpenVMS の構成 (以前構成していない場合)」に進んで,そこに記載されている手順 2 以降を実行します。
その例を以下に示します。
-
構成ユーティリティの初期バナーが表示された後,構成ファイルとリポジトリを格納する場所が表示されて,その場所を変更するかどうかを質問されます。
The configuration files and repository will be placed in the following location:
SYS$SPECIFIC:[WBEM_Services].
Do you want to change this location (Yes/No) [No]?: |
リポジトリは,CIM クラス・スキーマをコンパイルしたものです。
この例では,現在の場所を承諾したものとします。
-
次の例のように,構成に必要な質問の回答がすべて終ったことが表示され,続行するかどうかを質問されます。
リポジトリ・スキーマが変更されていないことがわかると,ユーティリティはそのことを表示して処理を続行します。
この場合,リポジトリのアップグレードは必要ありません。
現在のリポジトリをアップグレードする必要があるとユーティリティが判断した場合や,リポジトリが見つからない場合は (WBEM Services for OpenVMS がインストールされていても,まだ構成されていない場合など),リポジトリをアップグレードまたは作成するという内容に加えて,プロセッサとディスク I/O の速度によっては 10 分から 15 分かかるという内容のメッセージが表示されます。
次の例では,リポジトリ・ツリーを作成する必要があります。
ユーティリティは,コマンド・ファイル SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com,SYS$STARTUP:WBEM_Services$Shutdown.com,および SYS$SYSROOT:[WBEM_SERVICES]WBEM_Services$Define_Commands.com も作成します。
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com ファイルでは,WBEM Services for OpenVMS 環境で使用するシステム論理名を定義します。
All configuration questions have been answered.
Do you want to continue (Yes/No) [Yes]?:
%WBEMCONFIG-I-CREREPBEGIN, Create Repository Begins...
%WBEMCONFIG-I-CREREPCOMPLETE, Create Repository Complete.
This utility creates:
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com
which should be added to SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM.
This utility creates:
SYS$STARTUP:WBEM_Services$Shutdown.com
which should be added to SYS$STARTUP:SYSHUTDWN.COM.
This utility creates:
SYS$SYSROOT:[wbem_services]WBEM_Services$Define_Commands.com
which users who use this product can add to their login.com. |
-
CIMServer を起動するかどうかを質問されます。
Do you want to start the CIMServer now (Y/N) {Y}?: |
システムで Instant Capacity や gWLM などのアプリケーションを使用するには,CIMServer が動作している必要があります。
CIMServer は,この時点で起動することも,インストールまたはアップグレード後の他の作業を先に実行してから起動することもできます。
ここで CIMServer を起動することを選択すると,次の例のように,その進行状況とオペレーティング・システムの情報が表示されます。
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 21A00599
%WBEMCIM-I-STARTUPWAIT, Waiting for CIMServer to start... 120 seconds remaining.
%WBEMCIM-S-CSSTARTED, CIMServer successfully started.
OperatingSystem Information
Host: boston.hp.com
Name: OpenVMS
Version: V8.4
UserLicense: Unlimited user license
Number of Users: 1 users
Number of Processes: 29 processes
OSCapability: 64 bit
LastBootTime: Jul 31, 2009 10:52:55 (-0400)
LocalDateTime: Aug 3, 2009 10:14:58 (-0400)
SystemUpTime: 256923 seconds = 2 days, 23 hrs, 22 mins, 3 secs
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 21A00599
|
-
CIMServer がリブートのたびに自動的に起動されるように,次の行を SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM ファイルに追加します。
$ @SYS$STARTUP:WBEM_Services$Startup.com
CIMServer がオペレーティング・システムと一緒に自動的にシャットダウンされるように,次の行を SYS$MANAGER:SYSSTARTUP:SYSHUTDWN.COM ファイルに追加します。
$ @SYS$STARTUP:WBEM_Services$Shutdown.com
この製品を使用するユーザはすべて,次の行を各自の LOGIN.COM ファイルに追加する必要があります。
$ @SYS$STARTUP:WBEM_Services$Define_Commands.com
-
OpenVMS Cluster では,WBEM Services for OpenVMS を実行するメンバごとに独自のリポジトリが必要です。
そのため,WBEM Services for OpenVMS の構成手順を,これらクラスタ・メンバのそれぞれで実行する必要があります。
7.9.6 WBEM Providers for OpenVMS の構成 (省略可能,Integrity のみ) |
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WBEM Providers for OpenVMS は,OpenVMS をインストールすると自動的にインストールされます。
他の同様の製品と同じく,OpenVMS のアップグレードでは,WBEM Providers for OpenVMS がすでにターゲット・システム・ディスクにインストールされている状態でないと,自動的にはアップグレードされません。
その場合は,PCSI PRODUCT INSTALL コマンドを使用して,個別に製品をインストールする必要があります。
HP SIM によって提供されるサービスを利用するには,WBEM Providers for OpenVMS を構成する必要があります。
また,WBEM Providers for OpenVMS には WBEM Services for OpenVMS が必要です。
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| 注記:
WBEM Providers for OpenVMS を使用している場合に OpenVMS をアップグレードするには,以下の手順で WBEM Providers を再構成する必要があります。
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WBEM Providers for OpenVMS の構成手順は以下のとおりです。
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まだ未定義であれば,次のコマンドを実行して WBEM Services の論理名を定義します。
$ @SYS$COMMON:[WBEM_SERVICES]WBEM_Services$Define_Commands.com
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CIM Server が実行中であることを確認し,次のコマンドを実行してインストールされているプロバイダを確認します。
次のような出力が表示されます。
MODULE STATUS
OperatingSystemModule OK
ComputerSystemModule OK
ProcessModule OK
IPProviderModule OK
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WBEM Providers for OpenVMS の構成は次のコマンドで行ないます。
$ @SYS$COMMON:[WBEMPROVIDERS]WBEMPROVIDERS$CONFIGURE.COM
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プロンプトが表示され,プライマリの所有者名と連絡情報の入力が求められます。
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%WBEMPROVIDERS-I-STARTING, Info:Starting WBEMPROVIDERS Configuration.
Enter Primary Owner name of the system: system
Enter Primary owner contact information: 25166235
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of EventIndicationConsumerModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of EMSWrapperProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of HPVMSLANIndicationProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of StateChangeIndicationProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of ChassisProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of cpuprovidermodule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of MemoryModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of FirmwareRevisionProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of MPProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of EnclosureProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of HPHealthStateProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of HPVMSLANProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of HPVMSLANCSProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of CSChassisProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of HPVMProviderModule...
%WBEMPROVIDERS-I-CONTINUECONFIG, Info:configuration of HP_UtilizationProviderModule...
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 00006939
%WBEMPROVIDERS-I-WAIT, Info:Waiting for 1 Minute for the Inventory to Initialize
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 0000693F
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is 00006940
%WBEMPROVIDERS-I-PROVCONFIG, Info:Completed configuration of WBEMPROVIDERS.
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数分間で構成処理が完了し,次のような出力が表示されます。
Starting WBEMPROVIDERS Configuration. This would take around
5 minutes
Starting WBEMPROVIDERS. This would take around 2 minutes
Inventory is not ready! Waiting for 2 Minutes
%RUN-S-PROC_ID, identification of created process is
23800EC2
WBEMPROVIDERS configuration is completed.
|
このコマンド・プロシージャは,WBEM Providers ソフトウェアを CIM サーバに登録し,ノード固有のファイルを SYS$SPECIFIC:[WBEMPROVIDERS] へコピーします。
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次のコマンドを実行して,インストール済みプロバイダのリストとその状態を確認してください。
次のような出力が表示されます。
MODULE STATUS
OperatingSystemModule OK
ComputerSystemModule OK
ProcessModule OK
IPProviderModule OK
EventIndicationConsumerModule OK
EMSWrapperProviderModule OK
HPVMSLANIndicationProviderModule OK
StateChangeIndicationProviderModule OK
ChassisProviderModule OK
cpuprovidermodule OK
MemoryModule OK
FirmwareRevisionProviderModule OK
MPProviderModule OK
EnclosureProviderModule OK
HPHealthStateProviderModule OK
HPVMSLANProviderModule OK
HPVMSLANCSProviderModule OK
CSChassisProviderModule OK
HPVMProviderModule OK
HP_UtilizationProviderModule OK
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WBEM Providers for OpenVMS の構成は
『HP WBEM Providers Installation and Adminstrator's Guide』 の説明に従って行ないます。
このマニュアルは,OpenVMS システム・ディスクの SYS$COMMON:[WBEMPROVIDERS.DOCUMENTATION] ディレクトリで参照できます。
最新情報については,下記の Web ページの適切なリンクを参照してください。
http://h71000.www7.hp.com/openvms/system_management.html
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| 注記: WBEM Providers for OpenVMS 製品は,必要がなくても削除しないことをお勧めします。
PRODUCT REMOVE コマンドを使用してこの製品を削除しようとすると,以下のようなメッセージが表示されます。
このメッセージは,OpenVMS で必要なすべての製品に対して,自動的に表示されます。
WBEM Providers for OpenVMS を削除しても,他のソフトウェア (HP SIM など) が Integrity サーバ上でこの製品を使用していなければ,このメッセージの内容ほど重大な結果にはならないこともあります。
%PCSI-E-HRDREF, product HP I64VMS WBEMPROVIDERS V2.0 is referenced
by HP I64VMS OPENVMS V8.4
The two products listed above are tightly bound by a software dependency.
If you override the recommendation to terminate the operation, the
referenced product will be removed, but the referencing product will have
an unsatisfied software dependency and may no longer function correctly.
Please review the referencing product’s documentation on requirements.
Answer YES to the following question to terminate the PRODUCT command.
However, if you are sure you want to remove the referenced product then
answer NO to continue the operation.
Terminating is strongly recommended. Do you want to terminate? [YES] |
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7.9.7 Instant Capacity ソフトウェアの構成 (省略可,Integrity のみ) |
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Instant Capacity (iCAP) ソフトウェアは,セル・ベースの Integrity サーバでサポートされています。
このソフトウェアや Temporary Instant Capacity (TiCAP) をサポートするためには,WBEM Services for OpenVMS を構成する必要があります。
Instant Capacity,Temporary Instant Capacity,Global Instant Capacity のいずれかを使用する場合は,次のコマンドを入力してソフトウェアを構成します。
$ @SYS$MANAGER:ICAP$CONFIG.COM |
Instant Capacity の構成と使用についての詳細は,次の Web サイトにある『HP Instant Capacity (iCAP) ユーザーガイド』を参照してください。
http://docs.hp.com/en/hplex.html#Utility%20Pricing
7.9.9 Performance Data Collector 基本ソフトウェアの初期化と実行 (省略可) |
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Performance Data Collector for HP OpenVMS (TDC) は,構成データと性能データを収集,管理するためのソフトウェアです。収集したデータは,他のアプリケーションで分析することができます。TDC_RT V2.3-20 は,TDC ソフトウェアのランタイム専用 (基本) バージョンです。OpenVMS オペレーティング・システムをインストールすると,そのオペレーティング・システム・プラットフォーム用の TDC ソフトウェアが自動的にインストールされます。
TDC_RT ソフトウェアは使用しなくてもかまいません。
TDC_RT やそれに依存する製品を使用しない場合は,次の手順へ進んでください。
TDC_RT は,システムをブートしても自動的には起動しませんが,十分な特権を持つユーザであれば手動で起動できます。この項では,TDC_RT に関連するシステム・パラメータ,特権とクォータ,起動,および OpenVMS Cluster 環境でのインストールについて説明します。
TDC_RT のユーザには,収集するデータの種類によって,さまざまな特権が必要となります。この収集データの種類とそれに必要な特権は,コレクタ・アプリケーションを実行しているときにオンライン・ヘルプを利用することで調べることができます。すべての種類のデータを収集できるようにする場合は,CMKRNL,LOG_IO,NETMBX,PHY_IO,SYSLCK,SYSPRV,および WORLD の各特権をすべて有効にします。
この製品のユーザは,次の値
よりも多くのワーキング・セット・クォータ (WSQUO) も必要とします。
6000 ページレット (Alpha システムの場合) |
7000 ページレット (Integrity サーバの場合)
|
TDC_RT には,システムがブートする時に実行する必要のあるスタートアップ・ファイルが付属しています。このファイルには,TDC_RT を使用するために必要な論理名が定義されていますが,データ・コレクタを起動するものではありません。
SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM に次の行を追加してください。
$ @SYS$STARTUP:TDC$STARTUP |
TDC$STARTUP.COM を直接実行するには,SYSNAM 特権が必要です。
旧リリースの TDC ソフトウェアに関しては,以下の点に注意してください。
-
TDC V1.n
TDC V1.n は,一部の他社製システム管理アプリケーションを使用しているユーザを対象として,Web サイトからダウンロードする形で配布されていました。TDC V1.n を使用して開発したアプリケーションは,TDC V2.2 SDK (Software Developer's Kit) で再コンパイルしない限り,TDC V2.2 ソフトウェアでは動作しません。この SDK は,次の Web サイトから入手できます。
http://www.hp.com/products/openvms/tdc/
また,TDC V1.n を使用して作成したデータ・ファイルも,TDC_RT V2.2 では読み取ることができません。逆に,TDC_RT V2.2 を使用して作成したデータ・ファイルは,TDC V1.n では読み取ることができません。
V2.1 以降の TDC_RT をインストールしても,TDC V1.n に関連付けられているファイルは削除されません。というよりも,TDC_RT V2.1 (またはそれ以降のバージョン) と TDC V1.n は,1 つのシステムで,なんら問題なく共存できます。古い TDC ファイルは,(DCL の PRODUCT REMOVE コマンドで) TDC をアンインストールすれば削除できます。
-
バージョンの古い OpenVMS にあった TDC V2.2
TDC V2.2 をインストールしてあったバージョンの古い OpenVMS から OpenVMS V8.4 へアップグレードすると,TDC_RT V2.2 と TDC V2.2 に共通するファイルがアップデートされます。共通するファイルにはドキュメントとサポート・ファイルがありますが,そのリストについては,SYS$COMMON:[TDC]README.TXT を参照してください。すべてのキットに共通するファイルのリストが記載されています。TDC キットと TDC_RT キットのベースレベル番号 (例: 102) が同じでなければ,TDC V2.2 と一緒にインストールしてあったイメージ・ファイルはそのときと同じインストール先に置かれたままで,別の場所に移されることはありません。
新しくダウンロードする TDC V2.2 ソフトウェアは,OpenVMS V8.4 と一緒にインストールしてあった TDC_RT V2.2 ソフトウェアより新しくなっているのが普通です。そのためベースレベル番号も大きくなっています。TDC V2.2 と一緒にインストールしたオプションの TDC V2.2 SDK やその他のドキュメント・ファイルは,すべて維持されます。
SYS$STARTUP:TDC$STARTUP.COM を実行すると,TDC/TDC_RT V2.2 の最も新しいイメージが (TDC V2.2 または TDC_RT V2.2 のどちらと一緒にインストールされたかに関係なく) 使用されるようになります。
TDC V2.2 を削除しても,そのベースレベル番号とインストールされている TDC_RT V2.2 のベースレベル番号が違えば,TDC_RT V2.2 の完全性にはいっさい影響しません。
TDC と TDC_RT のイメージ・ファイル名は,OpenVMS V8.2 から形式が統一されています。
つまり,イメージ・ファイルの名前にビルド番号が付加されるようになっています。
たとえば,オペレーティング・システムに付属している TDC_RT のバージョンが V2.2-60 (60 がビルド番号) であれば,インストールされるファイルの名前は TDC$APISHR$I_V840-0060.EXE のようになります。ここで $I は Integrity を示します。
Alpha システムの場合は TDC$APISHR$A_V840-0060.EXE のようになります ($A は Alpha を示します)。
V840 が OpenVMS のバージョン (8.4) を,また 0060 がビルド番号を示しています。
またスタートアップ・ファイル (SYS$STARTUP:TDC$STARTUP.COM) の内容は TDC と TDC_RT で同じなので,使用されるイメージ・ファイルをビルド番号で決定するようになっています。
ビルド番号のより大きいソフトウェアをインストールすると,TDC$STARTUP.COM スタートアップ・ファイルでは,そのプラットフォームに適した,ビルド番号のより大きなイメージ・ファイルを使用することになります。
コレクタ・アプリケーションは,DCL のプロンプトに対して TDC コマンドを入力することで実行できます。ただし,システムのコマンド・テーブル (SYS$LIBRARY:DCLTABLES.EXE) には,その TDC コマンドが含まれていません。そのため,各ユーザは DCL のプロンプトに対して次のコマンドを実行し,TDC コマンドをそのテーブルに追加しておく必要があります。
$ SET COMMAND SYS$COMMON:[TDC]TDC$DCL |
この SET コマンドは,ユーザごとに LOGIN.COM ファイルへ追加することができます。しかし,データ・コレクションの大部分の操作でより高い特権が必要であることを考えると,このコマンドを SYS$MANAGER:SYLOGIN.COM へ追加するのは適切でないかもしれません。
コレクタ・アプリケーションを起動するには,次の TDC コマンドを実行します。
コレクタ・アプリケーションの実行についての詳細は,SYS$COMMON:[TDC]TDC_README.TXT ファイルを参照してください。リリース・ノートは,SYS$COMMON:[TDC]TDC_RELEASE_NOTES.TXT ファイルに記載されています。コレクタ・アプリケーションを実行する前に,これら 2 つのファイルに目を通してください。
7.9.9.5 OpenVMS Cluster でのインストール
TDC_RT は,特に指定しない限り SYS$COMMON:[TDC] にインストールされます。インストールされるのは,TDC_RT の付属していたオペレーティング・システムで,データ・コレクタを実行するために必要なファイルだけです。OpenVMS オペレーティング・システムのバージョンとアーキテクチャがすべてのメンバで同じ OpenVMS Cluster の場合は,各メンバごとに TDC_RT をインストールして SYS$STARTUP:TDC$STARTUP.COM を実行すれば,TDC_RTを実行する準備が整います。
混成バージョンのクラスタや混成アーキテクチャのクラスタの場合は,次の Web サイトから Performance Data Collector キットの完全版 (TDC V2.2) をダウンロードする必要があります。
http://www.hp.com/products/openvms/tdc
完全版キットには,サポートされているすべての OpenVMS を構成するために必要な SDK と,ランタイム環境が含まれています。このキットを使用すれば,混成バージョンや混成アーキテクチャの OpenVMS Cluster 全体にわたって,各メンバの違いを区別することなくインストールすることができます。
7.9.10 OpenVMS Management Station を使用するための準備 (省略可) |
|
インストールやアップグレードで OpenVMS Management Station ソフトウェアをシステムにインストールして使用する場合は,OpenVMS システムと PC でいくつかの作業を事前に行っておく必要があります。この作業は,すべてのオプション・コンポーネントをデフォルトで受け入れるか個別に選択するかとは関係なく,行ってください。具体的な作業は,次のとおりです。
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-
他のノードでの OpenVMS Management Station の起動
-
OpenVMS Management Station を PC へインストールして実行するために必要なメモリ,ディスク容量,メディア,およびソフトウェアの各要件が満たされているかどうかの確認
-
クライアント・ソフトウェアの PC へのインストール
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DECnet ノードの定義 (新規にインストールした場合のみ)
OpenVMS Management Station のサーバ・ソフトウェアとクライアント・ソフトウェアを実行するために OpenVMS システムと PC で実行すべき準備作業の詳細については,付録 H 「OpenVMS Management Station のセットアップ」 を参照してください。
7.9.11 OpenVMS Debugger クライアントの PC へのインストール (省略可) |
|
OpenVMS Debugger の最新バージョンは,OpenVMS Alpha システムと OpenVMS Integrity システムで動作します。デバッグ・サーバは OpenVMS で動作しますが,サーバのユーザ・インタフェースとなるデバッグ・クライアントは,OpenVMS だけでなく,Microsoft Windows 95,Windows 98,Windows NT,Windows 2000,Windows XP,および Windows Vista でも動作します。
OpenVMS で動作するコンポーネントについては,特にインストールする必要はありません。
インストール・ガイドと,OpenVMS デバッガ・クライアントのキットは,OpenVMS の バイナリ CD セットに付属しているレイヤード・プロダクト CD に含まれています。CD 上のディレクトリは,DEBUG_CLIENTS011 です。
KIT.DIR サブディレクトリには,次のファイルが格納されています。
インストール手順については,DOCUMENTATION サブディレクトリ内の INSTALLATION_INFO.PS ファイルまたは INSTALLATION_INFO.TXT ファイルを参照してください。
SYS$WELCOME を使用すれば,システムへログインした時にそのシステム専用のウェルカム・メッセージを表示させることができます。このメッセージは,保守作業によるシステム停止の予定,システムに加えられた最新のアップデート,システムに問題が発生した場合の連絡先といったような情報をユーザに知らせる方法として利用できます。OpenVMS オペレーティング・システムには,このメッセージを作成するためのテンプレート・ファイルが付属しています。SYS$WELCOME ファイルを作成するには,次の手順を実行します。
-
次のコマンドを使用して,テンプレート・ファイルをコピーします。
$ COPY SYS$MANAGER:WELCOME.TXT SYS$SPECIFIC:[SYSMGR]WELCOME.TXT |
クラスタ全体で同じウェルカム・メッセージを表示する場合は,このファイルを SYS$COMMON:[SYSMGR] にコピーします。
-
SYS$SPECIFIC:[SYSMGR]WELCOME.TXT 内のメッセージを,システムに合わせて変更します。
-
SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM を編集して,SYS$WELCOME の定義されている行から疑問符 (!) を削除します。
ノードに固有なウェルカム・ファイルを使用する代わりに,SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM で次のようにメッセージを定義して表示させることもできます。
$ DEFINE SYS$WELCOME “Welcome to node HOMER” |
ログイン時のウェルカム・メッセージを作成する方法の詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
使用しているシステムに固有な次の各ファイルは,アップグレードの後でも [VMS$COMMON] ディレクトリにそのまま残ります。
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[SYSMGR]LAT$SYSTARTUP.COM
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-
-
-
-
[SYSMGR]SYPAGSWPFILES.COM
-
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[SYSMGR]SYSTARTUP_VMS.COM
-
[SYSMGR]TFF$SYSTARTUP.COM
-
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[SYS$STARTUP]ESS$LAST_STARTUP.DAT
アップグレードを行うと,これらのファイルの一部に対応して,新しいテンプレートがインストールされることがあります。そのようなテンプレートには,ファイル拡張子 .TEMPLATE が付いています。この新しいテンプレートには,使用しているシステムに固有なファイルと違って,新しい機能が含まれている場合があります。そのため,新しいテンプレートがインストールされた場合は,使用しているシステムに固有なファイルと比較し,必要に応じてそのファイルの内容を編集してください。
インストールまたはアップグレードを実行した後で,システムにインストールされている OpenVMS オペレーティング・システムのファイルを変更する必要が生じた場合は,OpenVMS オペレーティング・システムのメディアに含まれているメニュー・システムを使用して,ファイルを追加したり削除したりすることができます。
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| 重要: システム・ディスクに特定のオペレーティング・システム・ファイルをインストールしない理由が特になければ,すべてのオプションでデフォルトを受け入れ,すべてのファイルを OpenVMS と一緒にインストールするよう強くお勧めします。ディスクの容量に制約があっても,特別なことがない限りは,一部のファイルをインストールしない理由としては不十分です。問題が発生したときに必要なファイルが存在しないと,容量の大きなディスクを購入するための費用よりはるかに高い損失を蒙るおそれがあります。 |
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| |
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オペレーティング・システムのファイルを追加または削除するには,次の手順を実行します。
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OpenVMS オペレーティング・システムのメディアをマウントして,ブートします。
-
メニューからオプション 1 を選択します。
-
PRESERVE オプションを選択します。
-
システム・ディスクが収容されているデバイスの名前を入力し,表示されるプロンプトに順次応答していきます。
-
詳細な説明が必要かどうかを尋ねるプロンプト (Do you want detailed descriptions?) に応答すると,再構成または再インストールに関する情報が表示されます。この情報を見て,メニューから必要なオプションを選択します。
次に,その画面出力の例を示します。
|
Please choose one of the following:
1) Upgrade, install or reconfigure OpenVMS I64 Version 8.4
2) Display layered products that this procedure can install
3) Install or upgrade layered products
4) Show installed products
5) Reconfigure installed products
6) Remove installed products
7) Find, Install or Undo patches; Show or Delete recovery data
8) Execute DCL commands and procedures
9) Shut down this system
Enter CHOICE or ? for help: (1/2/3/4/5/6/7/8/9/?) 1
***********************************************************
.
.
.
Do you want to INITIALIZE or to PRESERVE? [PRESERVE] PRESERVE
.
.
.
Version 8.4 of the OpenVMS operating system is already installed
on the target disk. You may choose one of the following actions:
o Reconfigure the OpenVMS platform.
This action will allow you to change your selections of which
of the windowing and network products you included with your
OpenVMS operating system installation.
o Reconfigure the OpenVMS operating system.
This action will allow you to change your choices about which
options you included for the OpenVMS operating system.
o Reinstall the OpenVMS operating system.
This action will cause ALL operating system files to be replaced.
You can also change your choices about which options you included
for the OpenVMS operating system.
Reinstall will take longer than Reconfigure. Reinstall may be
appropriate if you suspect that files in the operating system,
or in the windowing and network products have become corrupted.
If you want to reinstall any of the windowing and network products,
choose "Install or upgrade layered products" from the main menu.
If you want to change your choices about which options you included
for any of the windowing and network products, choose "Reconfigure
installed products" (option 5) from the main menu.
Please choose one of the following:
1) Reconfigure the OpenVMS platform.
2) Reconfigure the OpenVMS operating system.
3) Reinstall the OpenVMS operating system.
4) Return to the Main Menu (abort the upgrade/installation).
Enter choice or ? for help: (1/2/3/4/?) 2
The following product has been selected:
HP I64VMS VMS V8.4 Operating System
Configuration phase starting ...
You will be asked to choose options, if any, for each selected product
and for any products that may be installed to satisfy software dependency
requirements.
HP I64VMS OPENVMS V8.4: OpenVMS and related products Platform
COPYRIGHT 1976, ...
Hewlett-Packard Development Company, L.P.
Do you want the defaults for all options? [YES] NO |
|
このプロンプトに対しては,上記の例と同じように NO と応答します。
それ以降は,3.4.3 項 「オペレーティング・システム・メニューのオプション 1 による OpenVMS のインストール」に記載されているインストール手順の手順 19 に従って,必要なオプションを順次選択します (表示される個々のコンポーネント・オプションについては,例 3-1 「オプション・コンポーネントとサブオプション」 のリストを参照してください)。
すべてのプロンプトに応答した後,画面出力がしばらく続いて,インストールが完了します。以下に,最後のプロンプトと,それ以降に表示される画面出力の例を示します。
Do you want to review the options? [NO]
Execution phase starting ...
The following product will be reconfigured:
HP I64VMS VMS V8.4
Portion done: 0%...10%...20%...30%...40%...50%...60%...80%...90%...100%
The following product has been reconfigured:
HP I64VMS VMS V8.4
.
.
. |
OpenVMS オペレーティング・システムをディスクから削除する方法についての詳細は,付録 I 「OpenVMS オペレーティング・システムの削除」 を参照してください。
OpenVMS Alpha オペレーティング・システム・キットに含まれているライブラリは,データ量を少なくするために圧縮された状態でインストールされます。
ディスクの容量が制約されていなければ,システムからライブラリへ高速にアクセスできるようにするためにも,これらのライブラリは展開 (解凍) しておくことをお勧めします。
OpenVMS Integrity オペレーティング・システム・キットに含まれているライブラリは,圧縮されない形式でインストールされます。
これらのライブラリについては,現状のままにしておくことをお勧めします。
その理由は,圧縮するとシステムの性能を低下させる要因となるからです。
コマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:LIBDECOMP.COM を使用すると,システム・ライブラリを展開または圧縮したり,サイズを表示したりすることができます。
圧縮されているライブラリを展開したり,圧縮されていないライブラリを圧縮したりするには,OpenVMS の Library Decompression ユーティリティ (LIBDECOMP.COM) を使用します。
このユーティリティは,OpenVMS Alpha または OpenVMS Integrity のどちらのシステムでも動作します。
Library Decompression ユーティリティを起動するには,次のコマンドを実行します。
このユーティリティに関するその他の情報が必要になったときは,次のコマンドを実行してヘルプを表示します。
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP HELP |
次のコマンドを使用すると,各ライブラリのサイズと形式 (圧縮/展開) がリストになって表示されます。
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP LIST |
システム・ライブラリ・ファイルの展開と圧縮,および LIBDECOMP.COM の使用方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
表 7-2 「各ライブラリの圧縮/展開状態におけるサイズ」 に,OpenVMS V8.4 に付属している各ライブラリと,圧縮および展開状態でのサイズ (概算値) を示します。ライブラリのサイズは Alpha 版と Integrity 版で異なるので注意してください。
表 7-2 各ライブラリの圧縮/展開状態におけるサイズ
ライブラリ名/説明 | OpenVMS Alpha | OpenVMS Integrity |
---|
圧縮時 (出荷状態) のサイズ | 展開時のサイズ | 圧縮時のサイズ | 展開時 (出荷状態) のサイズ |
---|
[SYSHLP] ディレクトリ内の Help ライブラリ・ファイル (.HLB) | | | | |
ACLEDT.HLB |
ACL (アクセス制御リスト) エディタのヘルプ |
| 70 | 102 | 70 | 103 |
BKM$HELP.HLB |
バックアップ・マネージャのヘルプ |
| 156 | 248 | 156 | 251 |
DBG$HELP.HLB |
OpenVMS デバッガのヘルプ |
| 1237 | 2144 | 1237 | 2164 |
DBG$UIHELP.HLB |
OpenVMS デバッガのヘルプ |
| 271 | 441 | 271 | 465 |
| 154 | 229 | 154 | 233 |
EVE$HELP.HLB |
EVE エディタのヘルプ |
| 676 | 1197 | 676 | 1177 |
EVE$KEYHELP.HLB |
EVE キーパッドのヘルプ |
| 99 | 145 | 99 | 148 |
EXCHNGHLP.HLB |
Exchange ユーティリティのヘルプ |
| 83 | 118 | 83 | 118 |
| 10055 | 18701 | 10830 | 21426 |
LANCP$HELP.HLB |
LAN 制御プログラムのヘルプ |
| 116 | 169 | 113 | 163 |
LATCP$HELP.HLB |
LAT 制御プログラムのヘルプ |
| 157 | 243 | 157 | 243 |
MAILHELP.HLB |
メール・ユーティリティのヘルプ |
| 211 | 316 | 211 | 316 |
NCPHELP.HLB |
ネットワーク制御プログラムのヘルプ |
| 262 | 412 | 262 | 412 |
SDA.HLB |
System Dump Analyzer のヘルプ |
| 384 | 581 | 384 | 587 |
SHWCLHELP.HLB |
Show Cluster ユーティリティのヘルプ |
| 88 | 127 | 88 | 127 |
SYSGEN.HLB |
System Generation ユーティリティのヘルプ |
| 369 | 582 | 366 | 578 |
SYSMANHELP.HLB |
System Management ユーティリティのヘルプ |
| 539 | 871 | 559 | 907 |
TPUHELP.HLB |
Text Processing ユーティリティのヘルプ |
| 575 | 1036 | 575 | 1015 |
UAFHELP.HLB |
Authorize ユーティリティのヘルプ |
| 253 | 391 | 249 | 384 |
[SYSLIB] ディレクトリ内のマクロ・ライブラリ・ファイル (.MLB) | | | | |
LANIDEF.MLB |
LAN 内部ドライバ・マクロ |
| 196 | 261 | 196 | 275 |
LIB.MLB |
オペレーティング・システム・マクロ |
| 3039 | 5254 | 3226 | 5515 |
STARLET.MLB |
オペレーティング・システム・マクロ |
| 2558 | 3827 | 2595 | 3576 |
[SYSLIB] ディレクトリ内のオブジェクト・ライブラリ・ファイル (.OLB) | | | | |
STARLET.OLB[1] |
システム・オブジェクト・ライブラリおよび実行時ライブラリ |
| 30664 | 49858 | 69916 | 116397 |
VAXCRTL.OLB |
HP C RTL ルーチン名のエントリ・ポイント。
VAX G 浮動小数点倍精度エントリと浮動小数点エントリ・ポイント |
| 1271 | 1689 | 付属していない |
VAXCRTLD.OLB |
VAX D 浮動小数点倍精度エントリ・ポイントと浮動小数点エントリ・ポイントの一部サポート |
| 1732 | 2802 | 付属していない |
VAXCRTLDX.OLB |
VAX D 浮動小数点のサポート。/L_DOUBLE_SIZE=128 コンパイラ修飾子のサポート |
| 1663 | 2648 | 付属していない |
VAXCRTLT.OLB |
IEEE T 浮動小数点倍精度エントリ・ポイント,浮動小数点エントリ・ポイント |
| 1578 | 2491 | 付属していない |
VAXCRTLTX.OLB |
IEEE T 浮動小数点のサポート。/L_DOUBLE_SIZE=128 コンパイラ修飾子のサポート |
| 1596 | 2493 | 付属していない |
VAXCRTLX.OLB |
G 浮動小数点のサポート。/L_DOUBLE_SIZE=128 コンパイラ修飾子のサポート
|
| 1422 | 2003 | 付属していない |
VMS$VOLATILE_PRIVATE_INTERFACES.OLB |
OpenVMS バグ・チェック処理コード |
| 601 | 873 | 1519 | 2121 |
[SYSLIB] ディレクトリ内のテキスト・ライブラリ・ファイル (.TLB) | | | | |
BASIC$STARLET.TLB |
BASIC 言語版の STARLET ライブラリ (バージョンに依存しないシステム・サービスの宣言を含む) |
| 3896 | 8129 | 3865 | 8197 |
ERFLIB.TLB |
ANALYZE/ERROR デバイス記述 |
| 64 | 85 | 付属していない |
LIB_ADA_SUBSET.TLB |
Ada プログラマ・ツールキット (オペレーティング・システムの定義) |
| 1915 | 3535 | 1914 | 3615 |
NTA.TLB |
Windows NT 定義ファイル |
| 34 | 42 | 34 | 52 |
STARLETPAS.TLB |
Pascal 言語版の STARLET ライブラリ (バージョンに依存しないシステム・サービスの宣言を含む) |
| 3817 | 8959 | 3802 | 8967 |
STARLET_RECENT_ADA_SUBSET.TLB |
Ada プログラマ・ツールキット (オペレーティング・システムの定義) |
| 1144 | 2030 | 1144 | 2058 |
STARLETSD.TLB |
開発言語に依存しない STARLET 定義 (レイヤード・プロダクトのインストール中に使用) |
| 4328 | 7758 | 4297 | 7936 |
SYS$LIB_C.TLB |
C 言語版の LIB ライブラリ (バージョンに依存しないシステム・サービスの内部宣言を含む) |
| 10544 | 22218 | 17356 | 35869 |
SYS$STARLET_C.TLB |
C 言語版の STARLET ライブラリ (バージョンに依存しないシステム・サービスの宣言を含む) |
| 6324 | 13694 | 6559 | 14130 |
合計 | 94141 | 168857 | 132963 | 239525 |
パッチについては,OpenVMS とネットワークに関連するパッチをすべてインストールするようお勧めします。ほとんどのパッチが必須というわけではありませんが,インストールする一部のレイヤード・プロダクトでは,システムにパッチが 1 つ以上インストールされていることが前提になる場合もあります。システムで必要となる可能性があるパッチについての詳細は,『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』,および該当するレイヤード・プロダクトで提供されているマニュアルを参照してください。
OpenVMS V8.3 では,Secure Delivery 機能によってパッチ・ファイルが検証されます。各パッチ・ファイルには,パッチ・ファイルの検証に使用される,関連するディジタル署名ファイル (マニフェストとも呼ばれる) が含まれています。この検証では,配布元 (この場合は弊社) の認証や,ファイルの内容の検証が行われます。
OpenVMS のパッチをダウンロードしてインストールするには,以下の手順を実行します。
-
システム・ディスク以外のディスクに [PATCHES] という名前のディレクトリを作成し,そのディレクトリをデフォルトにします。
-
OpenVMS Alpha システムの場合,次の場所へ移動して (大文字小文字を区別して入力します),適切なパッチを [PATCHES] ディレクトリにダウンロードします。
ftp://ftp.itrc.hp.com/openvms_patches/alpha/V8.4
OpenVMS Integrity システムの場合,次の場所へ移動して (大文字小文字を区別して入力します),適切なパッチを [PATCHES] ディレクトリにダウンロードします。
ftp://ftp.itrc.hp.com/openvms_patches/i64/V8.4
-
ダウンロードしたパッチ・ファイルは圧縮されています。
パッチを解凍するには,次の例のように RUN コマンドを使用します。
$ RUN VMS84I_MX2-V0100.ZIPEXE |
このコマンドにより,パッチが解凍され,インストール可能なファイルになります。
-
パッチのリリース・ノートに説明されているように,解凍したパッチをインストールします。
または,OpenVMS システムから ITRC サイトにアクセスし,以下の手順でパッチをダウンロードすることもできます。
-
システム・ディスク以外のディスクに [PATCHES] という名前のディレクトリを作成し,そのディレクトリをデフォルトにします。
-
システム・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。
-
匿名ユーザ (ユーザ名: anonymous) でログインします。パスワードには自分の電子メール・アドレスを指定してください。
-
ログインした後,FTP> プロンプトに対して bin コマンドを実行し,バイナリ・モードに入ります。パッチを正しくダウンロードするには,バイナリ・モードでファイルを転送する必要があります。この手順以降の各コマンドでは,例に示されているとおりに大文字と小文字を区別して入力してください。
FTP> bin
200 Type is set to I. |
-
次の例のように PASSIVE ON コマンドを実行します。
FTP> passive on
Passive is on. |
-
OpenVMS Alpha システムで,V8.4 オペレーティング・システムのパッチを含むディレクトリにアクセスするには,次のコマンドを入力します (大文字小文字を区別)。
FTP> cd openvms_patches/alpha/V8.4
250 CWD command successful. |
OpenVMS Integrity システムで,V8.4 オペレーティング・システムのパッチを含むディレクトリにアクセスするには,次のコマンドを入力します (大文字小文字を区別)。
FTP> cd openvms_patches/i64/V8.4
250 CWD command successful. |
TCP/IP Services や DECnet などのレイヤード・プロダクトのパッチを含むディレクトリにアクセスするには,次のコマンドを入力します (Alpha システムの場合は,i64 の代わりに alpha と指定してください)。
FTP> cd openvms_patches/layered_products/i64
250 CWD command successful. |
-
ls コマンドを使用して,必要なパッチを探します。その際,コマンドの引数としてパッチ名のユニークな部分を数文字だけ,両側にアスタリスクを付けて大文字で指定します (パッチの名前は,すべて大文字です)。たとえば,VMS83I_MX2-V0100 という名前のパッチを探す場合は,次のコマンドを実行します。
FTP> ls *MX2*
227 Entering Passive Mode (192,151,52,14,235,168)
150 Opening ASCII mode data connection for file list.
VMS83I_MX2-V0100.ZIPEXE
VMS83I_MX2-V0100.txt
226 Transfer complete.
47 bytes received in 00:00:00.00 seconds (45.90 Kbytes/s) |
.ZIPEXE ファイルは,パッチ・インストール・ファイルです。
.TXT ファイルは,パッチのリリース・ノートです (.ZIPEXE ファイルにも含まれています)。
Alpha のパッチには,ファイル拡張子 .PCSI-DCX_AXPEXE が付いています。
-
UPDATE パッチや TCP/IP パッチ (大きなファイルである可能性があります) の場合は,次の例のように hash コマンドを使用することもできます。そうすれば,次の手順でダウンロードの進行を確認することができます (hash を使用すると,ファイルのダウンロードが進行するのに合わせて,シャープ記号 (#) が画面に表示されます)。
FTP> hash
Hash mark printing on (1024/hash mark). |
-
パッチ・ファイルが見つかったら,次の例のように get コマンドでダウンロードします。
ここでも,大文字と小文字を区別して入力することと,すべてのパッチ・ファイル名が大文字であることに注意してください。
FTP> get VMS83I_MX2-V0100.ZIPEXE
227 Entering Passive Mode (192,6,165,75,248,228)
150 Opening BINARY mode data connection for VMS83I_MZX2-V0100.ZIPEXE
(36218732 bytes).
#########################################################################
.
.
.
#########################################################################
#########
226 Transfer complete.
local: USER5:[PATCHES]VMS83I_MX2-V0100.ZIPEXE;1
remote: VMS83I_MX2-V0100.ZIPEXE
2238464 bytes received in 00:00:01.29 seconds (1.65 Mbytes/s) |
-
必要なパッチをすべてダウンロードし終わるまで,手順 8_10 を繰り返します。
-
ダウンロードが完了したら,Ctrl/Z を押して FTP を終了し,DCL プロンプトへ戻ります。
-
ダウンロードしたパッチ・ファイルは圧縮されています。パッチを解凍するには,次のように RUN コマンドを使用します。
$ RUN VMS83I_MX2-V0100.ZIPEXE |
パッチ・ファイルが解凍されて,インストール可能なファイルが得られます。
-
解凍したパッチを,パッチのリリース・ノートの説明に従ってインストールします。
OpenVMS オペレーティング・システム・キットには,レイヤード・プロダクトがいくつか含まれています。そのようなレイヤード・プロダクトには以下に示す各製品のシステム統合製品 (SIP) キットがあって,自動的にインストールされるようになっています。
-
Availability Manager for OpenVMS 基本ソフトウェア (必須)
-
-
Kerberos for OpenVMS (必須)
-
-
Performance Data Collector 基本ソフトウェア (TDC_RT,必須)
-
HP Binary Checker for OpenVMS
-
WBEM Services for OpenVMS (OpenVMS Integrity のみ,必須)
-
WBEM Providers for OpenVMS (OpenVMS Integrity のみ,必須)
また,上記の SIP キット以外にも,OpenVMS オペレーティング・システムをインストールするときにオプションとしてインストールできる製品の SIP キットもあります。このカテゴリに属する製品は,次のとおりです。
-
DECwindows Motif for OpenVMS
-
-
DECnet Phase IV for OpenVMS
-
TCP/IP Services for OpenVMS
これらのレイヤード・プロダクトはオペレーティング・システムのメディアに収められていて,この項で説明している手順を使用しても,7.15.1 項 「別手順によるインストール」で説明している代替の手順を使用してもインストールできます。他のレイヤード・プロダクト (オペレーティング・システムの配布キットに含まれている別の CD で弊社が提供しているもの,Software Product Library CD セットに収められているもの,または他社が提供している CD に収められているもの) は,7.15.1 項 「別手順によるインストール」の手順を使用してインストールする必要があります。
OpenVMS Integrity OE DVD には,上記の SIP のほか,OpenVMS OE の一部となるさまざまな製品のキットが収められています。ただし,OE DVD からブートしているときにこれら OE 製品のキットをインストールする方法は,サポートされていません。これらのキットをインストールするには,7.15.1 項 「別手順によるインストール」で説明されている手順に従う必要があります。
OpenVMS V8.3 では,OpenVMS の配布メディアに収録されている大半の PCSI キットが,Secure Delivery を使用して署名されています。OpenVMS Integrity オペレーティング・システムの配布メディアからインストールされる,署名された PCSI キットは検証されます。
(OpenVMS Alpha オペレーティング・システムの配布 CD からインストールされるキットは検証されません。この制約は,配布 CD の容量の制限によるものです)。OpenVMS Alpha システムと OpenVMS Integrity システムのどちらでも,ユーザが後でインストールする,署名された PCSI キットは検証されます (配布メディア上の署名されたキットも含む)。
オペレーティング・システムのメニューでオプション 3 を使用する手順は,次のとおりです。
-
レイヤード・プロダクトをインストールする前に,システム・ディスクをバックアップします。
-
オペレーティング・システムのメディアからブートしていない場合は,システムをシャットダウンした後,オペレーティング・システムのメディアからブートします。OpenVMS Integrity システムのシャットダウン方法についてはB.7 項 「停止プロシージャとシャットダウン・プロシージャ」を,また OpenVMS Alpha システムのシャットダウン方法についてはB.7.2 項 「システムのシャットダウン」をそれぞれ参照してください。
-
メニューからオプション 2 を選択して,インストールできる製品のリストを表示します。表示されたリストにインストールするレイヤード・プロダクトが含まれていない場合は,7.15.1 項 「別手順によるインストール」で説明している手順に従ってインストールするか,そのレイヤード・プロダクトの付属マニュアルを参照してください。オペレーティング・システムのメニューにある DCL オプションからは VMSINSTAL,PRODUCT INSTALL,およびその他の PRODUCT コマンドを使用できないので注意してください。
-
メニューからオプション 3 を選択して,レイヤード・プロダクトをインストールします。詳細は,1.4.3 項 「オプション 3: レイヤード・プロダクトのインストールまたはアップグレード」を参照してください。
-
インストールが完了したら,メニューからオプション 9 を選択して,システムをシャットダウンします。ターゲット・システムをブートすれば,レイヤード・プロダクトがインストールされていることを確認できます。
レイヤード・プロダクトのインストールに関するその他の情報については,『HP OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。
7.15.1 別手順によるインストール |
|
以下のインストールについては,ここで説明する別手順を使用してください。
-
オペレーティング・システムのメディア (CD/DVD) とはオペレーティング・システムのバージョンが違うターゲット・システムにレイヤード・プロダクトをインストールする場合
-
レイヤード・プロダクトのインストールに VMSINSTAL が必要な場合 (ディレクトリの中でセーブ・セットのファイル名に .A,.B などの拡張子が付いているレイヤード・プロダクト)
-
OpenVMS Integrity OE 製品をインストールする場合
-
SIP キットのインストールで,メディア上のオペレーティング・システム・メニューでオプション 3 が使用できない場合
-
インストールするレイヤード・プロダクトが,「Layered Products」,「Freeware」,「System Tools」,または「e-Business Integration and Infrastructure」のいずれかの CD に収められている場合
-
他社製のソフトウェア製品 (データベース製品,課金ソフトウェアなど) の場合
インストール可能なレイヤード・プロダクトのリストについては,オペレーティング・システム・キットのソフトウェア製品説明を参照してください。一部のレイヤード・プロダクトでは,弊社から購入したライセンス・キー (PAK) の登録が必要になるので注意してください。
次に,手順を示します。
-
レイヤード・プロダクトをインストールする前に,システム・ディスクをバックアップします。インストールするソフトウェアのライセンスがすでにロードされていることを確認してください。ほとんどのレイヤード・プロダクトでは SYSGEN のパラメータや AUTHORIZE の値,および,SYLOGICALS.COM,SYLOGIN.COM,SYSTARTUP_VMS.COM といったシステム・ファイルを変更する必要があるので注意してください。詳細については,以下のドキュメントと本書の記載内容を参照してください。
-
レイヤード・プロダクトのインストレーション・ガイド
-
『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』
-
-
-
ターゲット・システム・ディスクで AUTOGEN を実行し,必要に応じてブートした後,OpenVMS オペレーティング・システムのメディアをマウントします。たとえば,オペレーティング・システムのメディアが入っているデバイスが DKA400: であれば,次のコマンドを実行します。
$ MOUNT/OVERRIDE=IDENTIFICATION DKA400 |
-
利用可能なレイヤード・プロダクトが入っているディレクトリとファイルの場所を調べます。たとえば,デバイス名が DKA400: であれば,次のコマンドを実行します。
$ DIRECTORY /NOHEAD/NOTRAIL DKA400:[*.KIT] |
PCSI ユーティリティを使用すれば,PRODUCT FIND コマンドでキットの所在を調べることもできます。次に,その例を示します。
$ PRODUCT FIND * /SOURCE=DKA400:[*.KIT] |
-
VMSINSTAL を必要とするレイヤード・プロダクト (ディレクトリの中で,セーブ・セットのファイル名に .A,.B などの拡張子が付いているレイヤード・プロダクト) をインストールする場合は,@SYS$UPDATE:VMSINSTAL を実行し,そのプロンプトに対してデバイス名とディレクトリを入力します。次に,その例を示します。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL
* Where will the distribution volumes be mounted: DKA400:[DIAA032.KIT] |
PCSI ユーティリティを必要とするレイヤード・プロダクト (ディレクトリの中で,セーブ・セットのファイル名に .PCSI,.PCSI$COMPRESSED などの拡張子が付いているレイヤード・プロダクト) をインストールする場合は,PRODUCT INSTALL コマンドを使用して,デバイス名とディレクトリを指定します。次に,OpenVMS Integrity システムで PRODUCT INSTALL コマンドを使用する例を示します。
$ PRODUCT INSTALL FORTRAN /SOURCE=DKB400:[I64_FORT075.KIT] |
オプションの DECevent ソフトウェアは,OpenVMS のアップグレード中に自動的に削除されます。DECevent 製品を引き続き使用するためには,アップグレードが完了した後にこのソフトウェアを手作業でインストールしなければなりません。
追加するプリント・キューの数が多くて,しかもシステムの運用をできる限り早く開始する必要があるときは,エリアやワーク・グループごとにプリント・キューを 1 つずつセットアップしておき,他のプリント・キューは,ユーザ・アカウントを作成 (7.19 項 「アカウントの作成 (新規にインストールした場合と,一部のアップグレード)」を参照) してから追加します。プリント・キューの追加方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
必要なレイヤード・プロダクトのインストールと構成がすべて完了して,プリント・キューを追加したら,レイヤード・プロダクトとプリント・キューを起動させるように,SYSTARTUP_VMS.COM ファイルを更新する必要があります。SYSTARTUP_VMS.COM ファイルの更新についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
OpenVMS をインストールすると,その過程で DEFAULT アカウントと SYSTEM アカウントが自動的に作成されます。その他のユーザ・アカウントは,この段階で作成することをお勧めします。弊社のサービス担当者にシステムのテストを依頼する予定や,UETP などのテスト用ソフトウェアを実行する予定がある場合は,その担当者のアカウント,または UETP を実行するためのアカウント (スタンドアロン・システムの場合は SYSTEST,OpenVMS Cluster システムの場合は SYSTEST_CLIG) を事前に作成しておく必要があります。
ユーザ・アカウントを作成して管理する方法,および,弊社サービス担当者用のアカウントと UETP 実行用のアカウントを作成する方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
UETP (User Environment Test Package) は,OpenVMS オペレーティング・システムが正しくインストールされているかどうかをテストするためのソフトウェア・パッケージです。UETP を使用することで,ディスク・ドライブ,テープ・ドライブ,CD ドライブ,ライン・プリンタ,ネットワーク・カードなどのハードウェアをテストできます。UETP の実行は必須というわけではありませんが,インストールの後や,アップグレードで新しいハードウェアを追加した場合は,UETP を実行するようお勧めします。
UETP を使用する場合は,その前に SYSTEST アカウント (スタンドアロン・システムの場合) または SYSTEST_CLIG アカウント (OpenVMS Cluster システムの場合) を作成しておく必要があります。また,弊社サービス担当者が使用するアカウントも作成しておいてください。これらのアカウントは,CREATE_SPECIAL_ACCOUNTS.COM ファイルを使用して作成できます (『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください)。
UETF の使用方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
OpenVMS オペレーティング・システムを使用環境に合わせてカスタマイズするとともに,この章で前述した推奨手順を使用システムに合わせて実行したら,システム・ディスクからテープへのスタンドアロンのバックアップ・コピーを行って,その作業結果つまりその時点の状態を保護します。具体的な方法については,7.2 項 「システム・ディスクのバックアップ」を参照してください。
ディスクに保存する場合は,シャドウ・セットの一部とはならない (または一部ではない) ディスクを指定してください。
オペレーティング・システムのメディアをブートしなくても行える方法など,バックアップ操作に関する詳しい説明は,付録 F 「システム・ディスクのバックアップとリストア」 を参照してください。
アプリケーション,データ,およびユーザの各ディスクについても,日常業務の一環として,系統立ててバックアップすることをお勧めします。詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。
システム・ディスクがボリューム・シャドウイング環境のメンバになっている場合は,シャドウ・セットを作成し直して,そのシャドウ・セット内の他のディスク上に,その時点のシステム・ディスクのシャドウ・コピーを作成します。具体的な方法については,7.7 項 「シャドウ・セットの作成」を参照してください。
OpenVMS オペレーティング・システムをインストールしたりアップグレードしたりすると AUTOGEN.COM プロシージャがシステムによって実行され,システム・パラメータの値,ページ・ファイルのサイズ,スワップ・ファイルのサイズ,およびダンプ・ファイルのサイズがシステム構成に基づいて自動的に設定されます。
システムを通常のユーザ数または典型的なアプリケーションのワークロードで 24 時間以上運用したら,AUTOGEN.COM プロシージャを再実行して,システムを適切な状態に調整します。AUTOGEN は,以下の手順で実行します (OpenVMS Cluster では,この手順をクラスタ内の各ノードごとに実行する必要があります)。
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AUTOGEN をフィードバック・モードで実行し,AGEN$PARAMS.REPORT の内容を確認した後,システムをリブートします。AUTOGEN をフィードバック・モードで実行するには,次のコマンドを使用します。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS SETPARAMS FEEDBACK |
AGEN$PARAMS.REPORT の内容を画面に表示するには,次のコマンドを実行します。
$ TYPE SYS$SYSTEM:AGEN$PARAMS.REPORT |
このファイルの内容は,プリントして確認することも EDIT/READ_ONLY コマンドで確認することもできます。
このレポートに次のようなメッセージが含まれている場合は,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,またはダンプ・ファイルのサイズを変更する必要があります。
%AUTOGEN-W-DSKSPC, The disk on which DKA0:[SYS0.SYSEXE]PAGEFILE.SYS
resides would be over 95% full if it were modified to hold 20000 blocks. |
AGEN$PARAMS.REPORT についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
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2 日間運用したら,AUTOGEN をフィードバック・モードで再実行し,AGEN$PARAMS.REPORT の内容を調べた後,システムをリブートします (最新の AGEN$FEEDBACK.DAT ファイルを作成しておくことの重要性については,4.8 項 「新しい FEEDBACK.DAT ファイルの用意」を参照してください)。
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この時点からシステムが安定する (つまり AUTOGEN で調整すべき項目が見つからなくなる) までの間,週 1 回の割合で AUTOGEN を SAVPARAMS フェーズから TESTFILES フェーズまで実行することをお勧めします。ただし,AUTOGEN の実行は,必ず,システムが通常のワークロードで稼働しているときに行ってください。AUTPGEN を実行したら,AGEN$PARAMS.REPORT の内容を調べて,変更が必要かどうかを判断します。
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システムが安定した後も,将来的にフィードバック情報が必要となる状況に備えて,AUTOGEN を少なくとも月 1 回は実行することをお勧めします。その場合,AUTOGEN は次のコマンドで実行します。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS |
AUTOGEN のフィードバック情報を最新の状態で維持しておかないと,システムを次回アップグレードするときに,必要な情報が手に入りません。その結果,アップグレードしたシステムが正常に運用できる状態になるまで,リブートと AUTOGEN の実行を何度か繰り返さなければならないことがあります。
AUTOGEN の実行方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
AGEN$PARAMS.REPORT の内容を確認した結果,MODPARAMS.DAT 内にあるシステム・パラメータの変更が必要になることもあります。7.25.1 項 「システム・パラメータの変更に関する一般的な注意事項」に示されている注意点に目を通してください。これらの注意点は,OpenVMS を新規にインストールした後でシステム・パラメータを変更するときと,アップグレードした後でシステム・パラメータを変更するときの両方で考慮する必要があります。アップグレードした後でシステム・パラメータを変更する場合は,7.25.2 項 「アップグレード後に行うシステム・パラメータの変更」も参照してください。
7.25.1 システム・パラメータの変更に関する一般的な注意事項 |
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システム・パラメータを変更する場合は,以下の点に注意してください。
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システム・パラメータの値は,特別な理由がない限り,AUTOGEN に計算させてください。パラメータの値を明示的に設定することも可能ですが (例: GBLPAGES=value),そのような設定は AUTOGEN より優先されるため,AUTOGEN で実際の使用状況に基づいた最適値を設定しても無効になる可能性があります。
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MIN_parameter の値 (MIN_GBLPAGES など) を可能な限り使用して,AUTOGEN によるパラメータ値の変更に下限を設定してください。AUTOGEN では,必要に応じて設定値を増やします。また,関連するパラメータが明示的に設定されていなければ,その値も調整します。そのようなパラメータについては,AGEN$PARAMS.REPORT ファイルにその情報が出力されます。パラメータの上限値が分かっている場合は,MAX_parameter を使用してその値を設定します (ただしその設定が必要になることはほとんどありません)。
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数値は,コンマなしの整数として入力してください。たとえば,10,000 ではなく 10000 と入力します。英字は,大文字または小文字のどちらで入力してもかまいません。
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MODPARAMS.DAT ファイルには,値を変更したユーザ,変更日,および変更理由を示すコメントを含めることをお勧めします。感嘆符 (!) はコメントの開始を表します。感嘆符は,行内のどの位置でも使用できます。上記の注意点を反映した設定変更の例を次に示します。
! the following changes made by K.Newcomb on 9/20/03
!
SWAPFILE=0 ! don’t re-size the SWAPFILE on AUTOGEN runs
MIN_gblsections=750 ! required for DECwindows MOTIF
MIN_NPAGEDYN=2750000 ! set npagedyn to a min of 2.75 million
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MODPARAMS.DAT ファイルと,AUTOGEN の通常の使用方法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。
7.25.2 アップグレード後に行うシステム・パラメータの変更 |
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ここでは,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT の内容を確認します。アップグレードを実行すると,このファイルの新しいバージョンが作成され,今まであったファイルは SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT_OLD という名前に変更されます。新しい MODPARAMS.DAT ファイルには,今までのファイルに含まれていたパラメータ (およびアップグレードで追加された各種パラメータ) がすべて含まれており,必要なすべてのシステム・パラメータが,旧バージョンの OpenVMS から確実に引き継がれています。また,新しい MODPARAMS.DAT ファイルの各セクションには,パラメータのソースを示すコメント行がアップグレード・プロシージャによって追加されています。
アップグレードを実行すると,そのたびに,今まであった MODPARAMS.DAT の内容が新しい MODPARAMS.DAT に含められます。そのため,アップグレードの後に MODPARAMS.DAT の内容を確認して不要な箇所を削除しておかないと,同じパラメータが何度も設定されることになります。したがって,アップグレードの後で必ず MODPARAMS.DAT の内容を確認して,重複を回避するようお勧めします。また確認するようにすれば,そのときに,必要に応じてパラメータを変更することもできます。
AGEN$PARAMS.REPORT の内容を確認した結果,MODPARAMS.DAT 内にあるシステム・パラメータの変更が必要になることもあります。
以下の項では,MODPARAMS.DAT 内にあるパラメータの変更が必要になるケースを,例で示します。
AUTOGEN では,次の各ファイルのサイズをシステムに適した値に設定します。
特殊なワークロードや構成に対処する必要がある場合は,次の手順を実行することで,これらファイルのサイズとして異なる値を指定することができます。
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SYSTEM アカウントでログインします。
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次のコマンドを実行します。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS TESTFILES |
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表示されたファイル・サイズを調整する必要がある場合は,MODPARAMS.DAT ファイルに記号を追加し (詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照),ファイル・サイズの調整が不要になるまで,手順 2 を繰り返します。
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ファイルのサイズを調整したら,次のコマンドを実行して,システム・ファイルの新しいサイズがシステムをリブートした後で有効になるようにします。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GENPARAMS SETPARAMS |
7.25.2.2 OpenVMS Cluster のパラメータ
OpenVMS Cluster システムをアップグレードする際は,次の点に注意してください。
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アップグレードを実行すると,システム・ディスクにある各システム・ルートごとに,新しい MODPARAMS.DAT が作成されます。システム・ルートは,通常,同じシステム・ディスクからブートする各コンピュータごとに 1 つ存在します。これらの MODPARAMS.DAT ファイルを個別にチェックして調整する必要があります。
使用しているシステムの MODPARAMS.DAT ファイルは,SYS$SYSROOT:[SYSEXE]MODPARAMS.DAT です。同じシステム・ディスクにある他のルートの MODPARAMS.DAT ファイルは,SYS$SYSDEVICE:[SYSx.SYSEXE]MODPARAMS.DAT です。x はルートの番号で,SYS0,SYS1,SYS2
のようになっていますが,SYSA,SYSB のように 16 進数になっていることもあります。
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EXPECTED_VOTES の値が正しいことを確認してください。この値は,クラスタ内の全ボートの合計です。たとえば,クラスタ内に 5 台のコンピュータがあって,そのそれぞれにボートが 1 つ割り当てられていれば,この値は 5 になります。