この付録では,OpenVMS オペレーティング・システムをディスクから削除する方法を説明します。
OpenVMS オペレーティング・システムは,次の 2 通りの方法でディスクから削除できます。
ディスクにあるユーザ・ファイルの数が少ない場合: ユーザ・ファイルを他の場所にコピーして,ディスクを初期化する。
ディスクにあるユーザ・ファイルの数が多い場合: PRODUCT REMOVE コマンドを使用して,ユーザ・ファイルをいっさい削除することなく,OpenVMS オペレーティング・システムの古いファイルや重複するファイルを削除する (オペレーティング・システムの一部のファイルは PRODUCT REMOVE で削除できないため,手動で削除またはアーカイブする必要があります)。
Instant Capacity 機能をサポートしているシステムでは,ディスクからオペレーティング・システムを削除しても,CPU のステータス (利用可能なコアの数と,それらのコアが利用可能な状態にある時間) は影響を受けません。 その理由は,CPU のステータスが,Integrity サーバの NVRAM に格納されているからです。
OpenVMS オペレーティング・システムのファイルを削除するには,次の手順を実行します。
システム・ディスクにシステム専用のルートが複数個存在する場合は,システムをブートした後 SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG.COM (OpenVMS Alpha システムの場合) または SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG_LAN.COM (OpenVMS Integrity システムの場合) を実行して,そのブートに使用したルート以外のルートをすべて削除します。
システムをシャットダウンして,配布メディア (または OpenVMS を削除しようとしているディスク以外のシステム・ディスク) からブートします。続いて,次のどちらかの操作を行います。
システム・ディスクからブートした場合は,特権アカウントでログインします。
配布メディアからブートした場合は,適切なオプションを選択して DCL 環境に入ります。
次の各 DCL コマンドを実行します。
$ DEFINE/NOLOG PCSI$SYSDEVICE target-disk $ DEFINE/NOLOG PCSI$SPECIFIC target-disk:[SYSx.] $ DEFINE/NOLOG PCSI$DESTINATION target-disk:[VMS$COMMON]
説明
target-disk ― OpenVMS を削除するディスクのデバイス名
SYSx ― ステップ 1 で削除しなかったルートの番号
ディスクに PCSI ユーティリティでインストールしたレイヤード・プロダクトが存在する場合は,それらも削除することをお勧めします。レイヤード・プロダクトの削除は,必ず PRODUCT REMOVE VMS コマンドの前に実行してください。
次のコマンドを使用すると,すべてのレイヤード・プロダクトを一度に削除できます。削除するプロダクトをメニューから選択します。
$ PRODUCT REMOVE * /REMOTE
レイヤード・プロダクトを 1 つずつ削除する場合は,次のコマンドを使用します。
$ PRODUCT SHOW PRODUCT/REMOTE $ PRODUCT REMOVE product-name /REMOTE
次の DCL コマンドを実行します。
$ PRODUCT REMOVE VMS /REMOTE
PRODUCT REMOVE コマンドを実行しても,一部のファイルは削除されません。ターゲット・ディスクの内容をチェックして,オペレーティング・システムのファイルが残っていれば,それを削除するか,移動するか,あるいはアーカイブするかを選択します。
PRODUCT REMOVE コマンドでは削除できないファイルを次に示します。
target-disk:[SYS*.SYSEXE] 内のファイル (アスタリスク (*) はターゲット・ディスク上の各 OpenVMS Cluster ルートに割り当てられた 16 進のルート番号)
IA64VMSSYS.PAR (OpenVMS Integrity システムの場合)
ALPHAVMSSYS.PAR (OpenVMS Alpha システムの場合)
MODPARAMS.DAT
PAGEFILE.SYS
SWAPFILE.SYS
target-disk:[VMS$COMMON.SYSEXE] 内のファイル
LMF$LICENSE.LDB
PCSI$FILE_SYSTEM.PCSI$DATABASE
PCSI$PROCESSOR.PCSI$DATABASE
PCSI$ROOT.PCSI$DATABASE
RIGHTSLIST.DAT
SYSUAF.DAT
以上のファイルでも次の各ファイルについては,削除よりアーカイブを選択した方が適切な場合もあります。
レイヤード・プロダクトを削除しても,それらのプロダクトによって作成されたファイルがあれば,それらも削除,移動,またはアーカイブの候補になります。
OpenVMS オペレーティング・システムを削除したら,ターゲット・ディスクに残っている [VMS$COMMON...] ディレクトリと [SYSx...] ディレクトリの内容を調べます。これらのディレクトリが不要であれば,削除してかまいません。
どの [SYSx] にも [SYSx]SYSCOMMON.DIR ファイルがありますが,それらはすべて [000000]VMS$COMMON.DIR ファイルの別名になっています。これらの SYSCOMMON.DIR ファイルについては,直接削除しないで,次のように SET FILE /REMOVE コマンドを実行してください。
$ SET FILE /REMOVE [SYS*]SYSCOMMON.DIR
このコマンドを実行して [VMS$COMMON...] 内のファイルをすべて削除,移動,またはアーカイブすれば,[000000]VMS$COMMON.DIR を削除できます。最後に,各 [SYSx] ディレクトリ内のファイルを削除,移動,またはアーカイブします。